インフォバーン取締役/制作部長の増田です。「全力中年」と題したこのブログでは、1964(昭和39)年生まれの、文字通り中年の私が、日々、仕事やスタッフのマネジメントなどで感じたこと、考えたことを綴っていきます。どんな内容でも、“ソリューション”が必要になった際に、「インフォバーンに相談してみよう!」と思い出していただける一助になればと考えています。
さて、1回目の今回は、「30年ぶりの丸坊主のワケ」です。実は、3週間ほど前に丸坊主にしました。中学生以来です。単なるイメージチェンジではなく、ちょっとした思いがありまして…。
若干、会社の問題点や、私個人の至らない点を晒すような話になりますが、ご容赦ください。
●
インフォバーンでは、毎週月曜日の朝、全社員でのミーティング(「ブートキャンプ」と呼んでいます)を開催しています。私はそのミーティングの場で、ことあるごとに売上達成、利益確保の重要性を訴えてきました。厳しい経済環境の中、いうまでもなく、今期の最重要課題だからです。
また、2009年上半期は、売上や利益以外にも、期待していた若手スタッフの離脱、スタッフ間のコミュニケーション不足による行き違いなど、社内にいくつかの問題が浮上していました。
こうした問題の解決には、代表取締役CEOである小林や、同じく代表取締役である今田、そしてWebディレクション/コンテンツ/クリエイティブの3つの組織をそれぞれ束ねている3名のマネージャー達と連携して臨みました。一例をあげると、定期的に行っている主要スタッフとの面談に、通常は出席しない小林が加わり、小林からダイレクトにスタッフに話をしてもらいました。
小林、今田、そして3名のマネージャーと問題解決に臨んだ結果、いくつかの問題には改善策が講じられ、営業・制作体制の強化に向けた組織変更などが実現しました。
●
現在、下半期がスタートして1ヶ月あまり。上半期と比べると、社内が、いいサイクル、いいフォーメーションで動いています。年末、年度末に向けて、新しいエポックとなりそうな案件の納品もあり、スタッフのモチベーションも高まっています。
そんな下半期がスタートして間もなくのこと、管理部門のスタッフが「下半期の新しい組織図です。確認をお願いします」と1枚のシートを持ってきてくれました。
その新しい組織図を、何気なく眺めていたのですが……。
「アッ!」と、思わず声を上げそうになりました。
組織的に言えば、インフォバーンは制作部と管理部の2つに分かれています。事業で言えば、ソリューション事業に特化しており、その唯一の事業を遂行しているのが「制作部」です。そして、その制作部を統括しているのが、制作部長である私です。極めて、当たり前の話ですよね。どこに「声を上げそうになる」ほどのことがあるのか……。
それは、私の心の中、にありました。
・営業強化のために、小林、今田もメンバーとしたタスクフォースが稼働しています。
・主要スタッフとの面談に、緊急で小林が参加しました。
・スタッフに関する日常的な問題は、今田に相談しています。
・様々な案件は、3名の強力なマネージャーを中心に推進しています。
では、一体、制作部長である私の役割はどこにあるのか? 売上達成/利益確保、スタッフの問題、社内コミュニケーションの問題……。制作部で起きた問題は、すべて私ががっしりと受け止めなければならない問題だったのです。
この極めて当たり前のことを、組織図を見るまで、しっかり認識できていなかったことに、今さらながら気がついたのでした。
重大な問題は小林、今田に頼り、案件の推進はマネージャーに頼り、制作部を統括し、責任を負うべき自分は、両者の間に立って、いちばん楽をしてきたのではないか。そう思い至りました。
小林、今田は、日本のインターネット人口が、まだ数万人しかいなかった時代に、インターネットをテーマにした、しかもテクノロジーの話ではなく、インターネットが社会や文化に及ぼす影響を考察した雑誌「ワイアード」を創刊しました。
1998年には、インフォバーンを創立し、委託販売を10数社に断られ続けながらも、最終的には、雑誌の発刊をやり遂げました。
2003年には、日本の大手ISPの中で先陣を切ったブログサービス、ニフティ様の「ココログ」の立ち上げに参画し、今では当たり前になった「著名人ブログ」や、ブログの書籍化など、日本のブログサービスのひな形を作り出しています。
ビジネスの、あるいは人生の重要な局面において、自ら決断し、責任を背負ってきた2人と言えるでしょう。その2人に、私は取締役でありながら、制作部長でありながら、甘えていました。
●
ここからは、若干お恥ずかしい話ですが……、私はモノを買う時にも、競合商品をできる限りチェックしなければ購入できないタイプです。たとえば、百貨店が近くに3店あるなら、3店とも回らないと決められない。3店回った末に、結局、最初に見た商品を買ったり、何も買わなかったり、というタイプ。
何かを選択することが、その後の可能性を狭めると思ってしまうタイプでした。でも、それは間違いです。選択しない、という行動は、しょせん問題を先延ばしにしているだけです。「選択しない」という選択を消極的に行っているに過ぎません。そして、意識の中では選択しないことで、選択したことから生まれる「責任」から逃げていたのです。
でも、逃げることは決してできません。「逃げていたこと」から来るツケは、必ず自分に帰ってきます。
以下は、行動経済学という最新の経済理論の受け売りですが、人間は「後悔回避」の行動をとります。「現在、そして将来における後悔を避けたい」という思いが、人間の意思決定を左右しています。
そして、私たちは、短期的には「選択して失敗した行為」を後悔しますが、長期的には「やらなかったこと」に対して強い後悔を覚えます。「トム・ソーヤーの冒険」で知られるアメリカの作家、マーク・トウェインは、「20年たてば、したことよりもしなかったことを嘆くようになる」という言葉を残しています。
私も、仕事をはじめて20数年経ちます。いくつか、後悔することもあります。それはやはり、「しなかったこと」への後悔です。
45歳にして、選択し、決断し、責任を背負うことから逃げてきた自らの愚かさ、至らなさに気づきました。
いままで何とかやってこられたのは、日本経済がバブルに向かう直前に仕事を始め、バブルの恩恵はさほど受けなかったけれど、バブルが弾けた影響も受けず、トータルで見れば、何となく右肩上がりになっていた「幸せな時代」に身を置いていたためと言えるかもしれません。
しかし、もうそんな時代ではありません。それに「45歳」で、やっと気づいたのは、明らかに遅すぎます。遅すぎますが、時計の針を戻すことはできません。
気づいたからには、心に刻み、決断し、責任を引き受けて、前に進むしかありません。そのことを忘れないための丸坊主です。短絡的といえば、短絡的ですが、そこは40代半ばの中年なので、行動が古くさいのです(笑)。
「全力中年」のタイトル名にも、実は、そうした思いが込められています。陸上の短距離競技にたとえれば、バックストレートをもう走り終え、最終コーナーと、ゴール前の直線しか残っていないのかもしれません。
でも、「まだ勝負どころの、最後の直線が残っている」と考えることにしました! 取締役/制作部長というポジションを再認識し、「決断と責任」を決して忘れず、全力で走ります!


