こんにちは。全力中年の増田隆幸です。今回は前回の記事(「はやぶさの大冒険」と「変体少女文字の研究」)の続きです。
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山根一眞氏の『変体少女文字の研究』は、80年代、少女たちが使い出した丸文字の急速な普及の背景に、シャープペンシルの「替え芯の製法の特許切れ」があったことを解き明かした本でした。さて、それが、仕事とどう繋がったのか…。
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仕事をはじめて4、5年経った頃(1990年代の始め)、「月刊ビジネス誌の創刊号企画を考える」という案件に巡り合いました。全体構成(台割)と、個別企画を考えるという仕事。新雑誌創刊の話を具体的に進めるための第一歩としてのサンプル企画だったのですが、私の上司が全体構成といくつかの詳細企画を担当し、私は巻頭特集の企画を担当しました。
硬派なビジネス誌の創刊号、その巻頭特集。当時、バブルは崩壊したとは言え、まだ日本経済には勢いがありましたから、「最新トレンドを追う!」的なわかりやすい企画ではなく、日本の経済発展の根本を探るような、重厚な企画にしようと考えました(若かったですね…)。
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ビジネス雑誌や書籍を読み、図書館にも通って、なんとか捻り出した企画が、
「日本の経済成長には、岸信介が経済官僚として満州国経営で培った知見とノウハウが結実していた」
というもの。日本の高度経済成長期に首相であった岸信介が、戦前に満州で「産業開発5カ年計画」を立案し、実行していたという史実を踏まえ、それを日本の経済成長に結びつけた企画でした。
この企画をまとめ終えたときに、「この手法、仕事の進め方って、『変体少女文字の研究』と一緒だな」と気づきました。目にみえている事柄の裏に潜んでいる事実(原因)を探りだして焦点を当てる…。それ以前にも、構成案を作ったり、企画案を作ったりしていましたが、この案件でなにか仕事に関して「型」のようなものを得た気がしたのでした。
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「アイデアは、ゼロから生み出す」などと言いますし、また一方で、「アイデアは既存の要素の組み合わせ」とも言います。私は、後者派です(笑)。アイデア、あるいは企画とは、ある事柄とある事柄の新しい関係性を見つけ出すことだったり、既存のものを今までにない切り口から見ることで、新しい価値を見い出すことだと考えています。ビジネス誌の巻頭企画も、既存のもの(日本の経済成長)を今までにない切り口(岸信介の満州経営の成果)で捉えたつもりでした。
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山根一眞氏は、1989年に、「情報の仕事術」と銘打って『収集』『整理』『表現』と題した3冊のシリーズを出版。その3冊も購入したことは言うまでもありません。特に『整理』が役に立ったと記憶しています(あれ、ちょっと時系列がおかしいですね。ビジネス雑誌の企画より、この3冊の購入が先かな…)。
ちなみに、個人的には「良くまとまった!」と思ったこの企画案は、実は団塊世代の担当者の「岸にスポットを当てることは許さん!」という一言でNGになりました(笑)。学生時代に「安保反対! 打倒 岸!」で旗を振っていた人だったようで…。
企画案がボツになったことは残念でしたが、1995年に野口悠紀雄氏が「1940年体制—さらば戦時経済」という書籍を出版。その中で、「日本の経済体制は1940年代に作られた戦時経済体制の産物である」と述べられていて、自分が考えた企画もあながち間違いではなかっただな〜と、ひとりほくそ笑んだのでした。


