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ユーザーにとっての“理想の世界”を可視化し、チームで共有しよう! ~「デザインクライテリア」を用いた共通言語のつくり方【前編】~

株式会社インフォバーン ロゴ画像

みなさん、こんにちは! インフォバーンKYOTOの井登です。

前回コラムを書かせていただいてからしばらく経ちますが、その間にすっかり季節は夏まっさかりですね。弊社支社のある京都では初夏の風物詩とも言える「祇園祭」も終わり、ますます京都らしいねっとりとした夏をクルー一同堪能しております(暑。

さて、前回のコラムでは、コンテンツマーケティングを成功に導くスタートライン”あなたのお客様は誰ですか?―自社にとっての重要な顧客にフォーカスする「ユーザー中心発想」―というテーマで、「誰に」とって必要なコンテンツを、「どのような文脈で」とどけるべきか?を発想・設計するために有効な思考法・手法として、「ペルソナ」と「カスタマージャーニー」を使ったユーザー中心発想法のお話をさせていただきました。

■コンテンツマーケティングを成功に導く「ユーザー中心発想」
https://www.infobahn.co.jp/ib_column/2483

 

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ペルソナもカスタマージャーニーもともに、特定の価値観やパーソナリティをもった「たったひとり」に感情移入することで、あたかもその人が目の前にいるように、そしてリアルに話を聞いているように、“求めていること”や“して欲しくないこと”、そしてどんなことを期待していて、どのような“経験の道のり”を経てその期待を達成したいのか? を発想するための方法ですが、見方を変えると、フォーカスしたいユーザーの“人となり”や感情、行動などを「可視化」するツールであるとも言えると思います。

言葉だけで「こんな感じの人」とか、「○○する時はこう考えるような人」って語り合うだけでも重要なユーザーのことをチーム内で理解しあい、共有することにおいてはとても価値があることですが、それらがきちんと明文化された、誰もが理解しやすいたった1枚のシートで人格化されていたり、感情や行動が時系列でキレイに書面化されていたら、同じ部署のメンバーや、他の関係者とユーザー像を共有し相互理解するのにとても役にたちますよね?

ユーザーを理解し、ユーザーを中心に発想することにおいて、この「可視化」という視点は大変重要な意味を持ちます。

コンテンツマーケティングに限らず、企業が行うマーケティングコミュニケーション活動全般においては同じ部署の中だけでなく、社内の他部署の人たちと一緒に企画やコンテンツを考えていく必要に直面することがしばしばあります。そんな時、他の関係者たちは、あなたと同じ視点や理解で、ユーザーのことを考えているでしょうか?

普段からオフィスなどでたくさん会話し、時には一緒に飲みにも行ったりして語り合い、お互いの考えていることを分かり合っているはずの同じ部署の仲間ですら、いざ「ところで、これは誰のための企画だっけ?」、「お客さまにどんなキモチになってもらうことが重要なんだっけ?」という話題の中で、関係者それぞれが“自分にとってイメージしうるユーザー像とユーザーニーズ”をバラバラに考えがちです。

みんな、自社のお客さまのことをとても一生懸命、大切に考えていることに変わりはないのに…
(これは、仕方ないことなんです。余談ですが、動物、特に哺乳類は、生物として生き残っていくために、生まれながらにして「自分が一番かわいいし、正しい」と考えるようDNAにプログラムされているそうです。人間も動物ですものね。)

普段、長い時間をともに過ごす仲間内ですら、このようにユーザー像の捉え方が、いとも簡単にずれてしまう恐れがあるんですから、ましてや他部署の方や、社外のプロジェクト関係者まで含める場合であればなおさらですよね?

そういう時に、みんなが同じ方向を向くことができるように、ペルソナやカスタマージャーニーをペーパードキュメントや映像といったアウトプットで“見える化”することは、まさにプロジェクト関係者にとっての「共通言語」になってくれます。

わたしたちユーザーエクスペリエンスデザインに携わる者たちは、こういった「共通言語」を誰もが理解できるカタチに“見える化”したものを「クライテリア」や「デザインクライテリア」と呼んでいます。

日本語で言えば、「指針・方針」みたいな意味と考えていただければわかりやすいのではないかと思います。まさに、航海の際に乗組員全員が一緒に見る「海図」や「羅針盤」といったところでしょうか。

それでは、荒波の中を行き先を間違わずにゴールに導いてくれる羅針盤となる「デザインクライテリア」はどのようなものか???

それについては、後編として次回のコラムで具体的なデザインクライテリアの種類やどういったものか? そしてつくり方などについてご紹介したいと思います。

今回のコラムはこれにて!

次回は、京都の夏を結ぶ風物詩「五山の送り火」が終わった頃にお目にかかれる予定です。それではみなさま、ごきげんよう。良い夏をお過ごしください!

井登友一

取締役 副社長

デザインコンサルティング企業においてUXデザインの専門事業立ち上げに参画後、2011年に株式会社インフォバーン入社。UXデザイン/サービスデザインを中心としたイノベーションデザイン支援事業部門「INFOBAHN DESIGN LAB.(IDL)」主管。