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脱サララーメン屋の開業に見る、サイト初期設計の重要性〜コンテンツ企画とあわせて考えたいサイトの構造〜

株式会社インフォバーン ロゴ画像

こんにちは。インフォバーンでWebディレクションを担当している足代です。今後、私が所属するWebディレクションユニットのメンバー持ち回りで、インフォバーン流Webディレクションのポイントについて、少しづつお伝えできればと思います。

 

裏方だけど意外と大事なサイト設計

おかげさまで最近は「コンテンツマーケティングと言えばインフォバーン」というイメージが浸透してきて、コンテンツマーケティングについてご相談いただく機会が非常に増えてきました。しかし一方で「インフォバーンって、コンテンツをいっぱいつくってくれる会社だよね。要するにWeb版の編集プロダクションでしょ?」というイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。

でも、インフォバーンの業務範囲は「コンテンツ開発」だけではありません。

メディア運営のノウハウを生かし、コンテンツ開発はもちろん、プランニングからサイト設計・構築、運用、また流入のためのプロモーション施策まで、コンテンツマーケティングをワンストップでサポートさせていただいています。そしてその中で、Webディレクターが担当する「サイト設計・構築」「運用」は、一見地味ですがコンテンツマーケティングを推進するうえで土台となる部分と言っても過言ではありません。

この土台を疎かにすると、せっかくつくったサイトが、なんとも機動性の低いものになってしまう可能性があるのです。今回は特に、サイト設計の重要性についてお話します。

 

ラーメン屋で考える、サイトの初期設計の重要性

ここで、ちょっと話をわかりやすくするために、Webから離れてリアルのお店に置き換えて考えてみましょう。リアルなお店の運営手法とコンテンツマーケティングの手法はもちろん違いますが、ここでは設計の重要性を知る「たとえ話」としてお読みください。

あなたは脱サラして、小さな飲食店を開業しようとしています。やりたいお店は、仮に「ラーメン屋」だったとしましょう。目指すお店の理想像は、「多少原価率が高くても、味が良くてお客様がバンバン回転してくれる、回転率の高いお店」です(他にも儲け方はいろいろあると思いますが、ここではそこは問わないでくださいね)。

 

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あなたはまずはメニューが重要と考え、ダシにこだわった和風のラーメンメニューを開発しました。

「原価率はちょっと高めだけど、味には自信がある。これならクチコミでお客様が増えそうだ。でも開業資金はなるべく抑えたい。それに一刻もはやくお店を開いて儲けたい」

そう考えたあなたは、たまたま見つけた元々スナックだった店舗を借りて、普段家の建築をメインに大工をやっている友達に頼み込んで簡単な改装を施してもらい、いわゆる居抜き(レイアウト、デザインなどをあまり変更せず、そのまま使うこと)の状態でさっそく開業しました。

ですが、お店にはなかなか人が来ません。なんでだろう?

外から見ると、お店は確かに「ラーメン」の看板を出してはいるのですが、

①どうもラーメン屋の雰囲気が薄い

のです。カウンターも、椅子も、どうにもスナックの雰囲気が漂っていて、なんとなくラーメンがおいしそうな感じがしません。おまけに

②回転数で稼ぐには来客数を増やす必要がありますが、入口の扉にあるスナックで使っていたすりガラスが邪魔をして、一見さんには非常に入りにくいお店になっていました。

おいしいラーメン屋は通りを歩いていると匂いがして、つい入りたくなるものですが、このお店はその匂いもあまり伝わってきません。また、元々スナックだったため、

③入口は狭いのですが、中に入ると意外と空間があり、でも席数は少ないため家賃を考えるとかなりのスペースが無駄になっていました。

そして、

④厨房も無理に改良しているため、厨房内の導線がイマイチで、そのためなんだか店員も動きがぎこちなくなっています。

そんなわけで、たまに人は来てくれるのですが、来店数がとにかく低い。お客様が来ても、いまいち定着しづらい。

あなたはだんだん心配になり、空いている時間はお店の外に立つようになります。ですが、店の前で店長が悲壮な顔をして立っていても、閑古鳥の泣いているお店ですと主張しているようなもので、むしろお店の前を通る人達は、早足に通り過ぎる始末…

あなたは思います。「いったい、何がいけなかったんだろう…」

 

このたとえ話は、私が以前住んでいた家の近所にあった、実際のラーメン屋をモチーフにした創作です。もちろん立地もあるでしょうし、原因はひとつではないと思いますが、お店の設計については、残念ながら抜け落ちがあったように思います。

 

ちょっと寄って行きたくなるラーメン屋にするにはコツがいる

先ほどのたとえ話でいうと、ラーメンはまさに「コンテンツ」です。文中の番号をWebサイトにあてはめると、

①はサイトコンセプト、コンテンツ、デザイン、レイアウト方針が合っていないということが考えられます。

②は外からの見えにくさでいうと、スマートフォン対応が不十分だったり、外部サイトとの連携がうまくできていないことで、流入を取りこぼしていることが考えられます。

③はサイトの構造に問題があるケースで、無駄なインデックスページばかり多くて、望むページにダイレクトにたどり着けないなどのケースが考えられます。

④は管理画面などのつくりや、ステージング環境などの整備不十分などがあげられます。

たぶんこのラーメン屋は今の状態でクーポンサイトなどに出稿しても、基本の構造ができていないのでお客さんはあまり定着してくれないでしょう。

そして、このたとえ話でもっとも重要なポイントは、大工さんがあまりラーメン屋の商売について深く考えなかったことです。

ラーメン屋には、それにふさわしいつくりが必要です。一見なんていうことのないシンプルなレイアウトや、一見コストがかかっていないように見える造作でも、ラーメン屋として押さえるべきポイントがあるのです。

同じようにWebディレクションにも、メディア運用のポイントを知ったうえで押さえるべきポイントがいくつかあり、ひとつひとつは単純なことなのですが、それらがきちんと押さえられているかどうかは、あとあと運営しやすいサイトになるかどうかに関わってきます。

コンテンツマーケティングは、サイトを公開したあとが重要になります。毎月コンテンツ制作のコストがかかってきます。そのため、初期の設計は大変重要になるのです。

 

コンテンツマーケティングのサイトは、運用から逆算して設計する

コンテンツマーケティングを推進するには、「誰に」「何を」「どのように」届けるのかを考えたうえでコンセプトやサイト、運用サイクルを「設計」し、施策がスタートしたのちは絶え間ない「チューニング」を行っていく必要があります。

逆に考えると、「コンテンツマーケティングとはどのような施策で、どういうサイクルが必要になるのか」を肌感覚でわかったうえで、「どうやってつくったらコンテンツは流通しやすくなるのか」「どうやってつくったらチューニングしやすくなるのか」「どうやってつくったら、短い時間で読んでもらえるのか」等々を逆算して考え、初期のサイト設計時によく考慮してつくる必要があるのです。

今回は概論的な話になりましたが、今後のディレクター担当回では、少しづつ具体的な話もしていければと思います。お楽しみに!

足代理