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アナリティクスサミット2014 速攻レポート!

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こんにちは。インフォバーンKYOTOでWeb解析を担当している遠山です。
今回は、2014年5月21日にベルサール汐留で開催された、アクセス解析イニシアチブ主催のイベント『アナリティクスサミット2014』に参加してきましたので、早速レポートします。

 

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あいにくの雨の中とはなりましたが、昨今のデータ熱の高まりもあってか参加者の意欲が相当高かったようで、アクセス解析イニシアチブ公式Twitterによると、同団体がこれまで主催したイベントの中で過去最高の出席率となったようです。

 

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それでは以下、各セッションの簡単なレポートと、まとめと続きます。なお、当日会場での録音や撮影ができませんでした。内容に万が一誤りがありましたら、すみやかに修正しますのでお知らせください。

 

セッション1:なぜデータ分析をビジネスに役立てられないのか? ~分析力を武器にする大阪ガスの挑戦~

■講演者:大阪ガス 河本薫さん

■内容:河本さんが所長を務める大阪ガスビジネスアナリシスセンターは、大阪ガス独立採算で分析を担当しているチームです。発足から約10年の間に様々な苦労を経て、当初の“受け身の分析”から“攻めの分析”へ転身してきたという経緯を、実例を元にお話しされました。紆余曲折を経て現在、ビジネスアナリシスセンターさんには次の3つの力(フェーズ?)があり、特に1と3が重要であると認識されているとのこと。

  1. 見つける(力):取り扱うビジネス課題は(大阪ガス)社内に落ちているわけではないので、社内から“攻めの姿勢”で見つけてくる必要がある。
  2. 解く(力):ビジネス課題を分析可能な課題に落とし込み、データ化し、解析し、知識にするフェーズ。
  3. 使わせる(力):知識をビジネス上の意思決定に変換してアウトプットし、現場にて使ってもらうフェーズ。元々データを使わずに運営されていたような組織は、具体的な意思決定までしてあげないとデータを活用する気になってくれない。

■感想:実例とともに紹介された苦労ポイントが、組織を実際に動かすことの大変さだとか、分析課題を手に入れるまでの話であったりして、会場にいた“解析を普段している人たち”の共感度が高かったように思います。大企業の中の人でもやはりそこに苦労するのだな、という感想。

 

セッション2:アクセス解析からアナリティクスへ

■講演者:Adobe 清水誠さん

■内容:なぜ“アクセス解析”から“アナリティクス”への変化を迫られているのかということを、米国の生活にいかにデジタル(アプリやwebサービス)が浸透しているかという体験談を元にお話しされました。とにかくたくさんのアプリを紹介されていたのが印象的。また、データ分析活用の段階(これまでの経緯)として、

  1. DESCRIPTIVE(起こったことを説明する)
  2. DIAGNOSTIC(起きたことを診断する)
  3. ADVANCED DIAGNOSTIC(②が高度化)
  4. PREDICTIVE(視点が将来に向いている)
  5. PRESCRIPTIVE(データからアクションまでを決めてくれる)

があったことを紹介。

■感想:清水さんが紹介されていたアプリの中には、日本でもローカライズされて使われているようなものも多数ありつつ、日本未上陸な概念のアプリもちらほらありました。ただそれらのアプリは、具体的に言えば『Spotify』や『NET FLIX』、『air bnb』など、法律や規制で縛られているものが多い印象です。良くも悪くも日本市場の変化はゆっくり米国を追従すると思うので、そのうち日本も似たような状況になる・・・かもしれませんね。そしてそういう未来が来ると同時に、オムニチャネルの分析力がもっと必要になるため、今のうちに学んでおかねばと焦るばかりです。

 

ランチセッション:Excelから始めるデータ活用 ~集計・解析・レポートがもっと身近に

■講演者:日本マイクロソフト 斎藤泰行さん

■内容:Excelとその関連ツール「Power BI」「Power Pibot」「Power Map」で分析の効率化を図る方法をひたすらデモンストレーションされました。ウェブ(今回はWikipediaを事例に)から一瞬でデータを引っ張ってくる様子なども実演。

■感想:短い時間で行われた“1対多”の説明だったこともあり、詳しい活用方法を理解するまでには至リませんでしたが、Excelでできることの凄さと自分の使いこなせていなさは十分理解出来ました。会場の反応がすごく良くて、多くの人が「そこまで出来るのかー」と思っていたようです。もっとExcelを使いこなさねば。

 

セッション3:成功事例に学ぶ!ビジネスに貢献するコーポレートサイトの改善手法

■講演者:ビービット 三宅史生さん & 日本ハム 香川朱里さん

■内容:日本ハムさんが運営している3つのwebサイトそれぞれの有効性(どれもECや資料請求サイトのように目的がはっきりとしていないサイト)を計測するために行った、ビービットさんとのプロジェクトが紹介されました。三宅さん曰く、コンテンツがゴール達成に有効であるかどうかは、以下の方法で検証可能とのこと。

  1. 閲覧者にアンケートを取る。
  2. 閲覧と購入をつなげる(ウェブに戻ってくる仕掛けを持っている場合)。

今回の日本ハムさんとの案件では、ビービットさんの提案で、スクロールで最下部まで読んだ回数(割合?)を指標に設定し、しっかりサイトユーザーがコンテンツに最後まで触れたかどうかを定常的に見ていくことにしたそう。その結果、PVやセッションを指標にしていた頃に比べ、社内での説得力が上がったのだとか。

■感想:画面スクロールでの読了率計測は、満足度の計測にとてもよい方法だと思います。

 

セッション4:データ分析結果を用いたパーソナライゼーション

■講演者:ALBERT 管由紀子さん & 日本旅行 須藤光さん

■内容:ALBERTさんの仕組みを使った日本旅行さんのパーソナライゼーション施策(方針?)の実例を説明されました。

■感想:パーソナライゼーションはコンテンツマーケティングでも使われています(というか密接な関係ですね)。あまりやり過ぎるとアメリカの量販店Targetの失敗例のようにプライバシーに関わる話にもなってきそうですが、日本はまだまだですね。

 

セッション5:無印良品のDigital Marketing戦略 Big Data活用法

■講演者:良品計画 奥谷孝司さん

■内容:MUJI Passportを中心とした、無印良品さんのデータドリブンな施策について説明されました。MUJIパスポート導入の目的は3つあったそう。

  1. ネット・リアルの区別なく無印良品のファンとコミュニケーションを図る
  2. 持続的な来店客数増加→売上増加
  3. マーケティング施策効果の可視化

これからコマース(奥谷さんは「エンゲージメントコマース」と定義)の可視化をするためには、オムニチャネルなアナリティクスが必要だとおっしゃっていました。

■感想:MUJI Passportを中心にオンラインだけでなくオフラインの顧客データも紐付きで把握されていて、さらにソーシャルメディアとの連携も自然とさせることができているという話だったので、「さすが無印さん!」という印象を受けました。しかし最後に「このような施策を行う際の苦労」について質問され、MUJI passportでデータ取得するために会員にポイントを配布することに社内からの反発もある、というような裏話を話されていて、そこにとてもリアリティを感じました。どこも苦労していらっしゃいますね。

 

セッション6:分散するマーケティングデータを一元化する ~デジタルマーケティングを機能させる組織のあり方~

■講演者:デジタルインテリジェンス 横山隆治さん

■内容:テレビも含めた様々なチャネルのデータを収集するプライベートDMPの話や米国での事例の話など。米国企業がこの分野での進化が急速である一方、日本企業は組織の仕組みも影響していまいちうまく推進されていないということを危惧されていました。

■感想:以前にも横山さんのお話は伺ったことがありますが、それでもかなり刺激的なセッションでした。横山さんによる企業内のマーケティング体制の話を聞きながらウェブ解析士として考えたのは、ウェブメディア編集部のあるべき体制像をイメージして、そこに必要不可欠な分析官のイメージを今よりもっと具体化できると、きっと新しい解析士像が出来上がるだろうなということで、想像しながらとてもワクワクしました。

 

全体的な感想

全体テーマが『アクセス解析からアナリティクスへ』ということで、各発表者それぞれの考える「アナリティクス」を発表したのだと思うのですが、アナリティクスの定義が定まっていないからか全体的に俯瞰するとすこしぼやっとした内容になっている気もします。転換期ですから取り上げるべき話題も多岐に渡りますし、仕方ないですね。

個々の発表から得るものはたくさんありましたので、それは今後の業務に活かしていきつつ、自分なりに「今後のアナリティクスどうするよ?」みたいなことは考えなくてはいけないなと思いました。

以上、アナリティクスサミット2014速攻レポートでした。

 

遠山怜欧

2011年に設立されたインフォバーンKYOTOに、初期メンバーとして入社。大手メーカーやECサイトのディレクション業務を担当する一方で、上級ウェブ解析士資格を取得。コンテンツマーケティングを推進するインフォバーンにおいて、コンテンツアナリストとしてデータ解析を担当している。