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ネイティブアドとProgrammatic、世界各国のパブリッシャーの広告ビジネスにおける最大関心事

株式会社インフォバーン ロゴ画像

6月3・4日と、スペインのバルセロナで開催されたDIGIDAY主催の「Publishing Summit」 に参加してきました。ヨーロッパ各国とアメリカのデジタルシフトしたパブリッシャーとメディア向けのアドテクノロジー企業が集うサミットで、アジアから参加したのはメディアジーンのみでした。

 
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主なテーマは、Programmatic、ネイティブアド、モバイルのマネタイズ。「Huffington Post」「BBC」「The New York Times」「BuzzFeed」「Forb」「Economist」など、各国のメディア企業から現状のネイティブアドとProgrammaticへの取り組みの共有がされました。

どこの国でも同じく、アドテクノロジーがミドルマンとしてブランドとパブリッシャーの間に入り、利益を50〜80%ほど搾取されるため、ディスプレイ広告の収益が下がり、ビジネスとして成り立たなくなってきています。そして、モバイル広告市場はGoogleやFacebook、Twitterなどのプラットフォーマーに独占されて、メディアの収益は見込めません。

また、そもそも単純なディスプレイ広告でブランドのストーリーを伝えていくことには、そろそろ限界がきているのではないかということも共通認識としてあります。

 

欧米のパブリッシャーが重要視する広告スタイル【ネイティブアド】

各社とも新しい収益源として、ネイティブアドに取り組みはじめています。このサミットでは、主にネイティブアドにおけるコンテンツの重要性について語られました。

オーディエンスを裏切らない(ステマでないことはもちろん)コンテンツとは、どのようなものなのか。どういったものが良質なコンテンツといえるのか。また、ブランドストーリーを語るという意味で、コンテキストにあっているということが非常に重要であると語られました。

メディアジーンのメディアは、かなり早い時期からネイティブアド(スポンサードポスト)を提供し、3年前ほどからは収益的にも重点をおき、さまざまな取り組みを行ってきました。オーディエンスデータとの組み合わせや、さまざまな効果測定(メジャーメント)など、各国のパブリッシャーに比べても、かなり先端的な取り組みをしているという印象を受けました。

 
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本当にそれってネイティブアドなの? ネイティブアド市場の重要性

日本でネイティブアドに取り組んでいるメディアの数は、かなり増えてきました。しかし同時に、明らかにメディアのオーディエンスやコンテンツとは何も関係のない形で、流行言葉に便乗し、メディアの枠だけを押さえて「ネイティブアドはじめました!」と売り出しているアドテクノロジー企業や代理店も散見されるようになりました。

ネイティブアドはそもそも、パブリッシャーが自社のオーディエンスにブランドのストーリーを伝え、より多くの共感を獲得し、ブランドの商品やサービスの価値を上げる目的で使われるべきです。読者との信頼関係のうえに価値がなりたっているというのが、ネイティブアドの前提です。

パブリッシャーとしては、この市場を大切に育てることにより、ブランドにもオーディエンスにも、そしてメディアにとっても価値のあるコミュニケーションをつくりだせるはずなので、おかしな便乗商材に乗っからないようにしたいものです。

コンテンツマーケティングは、これからますますブランドのストーリーを伝えるコミュニケーション手法として重要になることは間違いありません。そのストーリーをオーディエンスが読みたいコンテンツに変えること。および、それを適切に読んでもらいたい人に届けるコンテンツディストリビューションにおいて、優良なネイティブアドをオーディエンスの信頼を裏切らない形で活用することはとても重要です。

 

今田素子

同志社中学、同志社高校卒業。1989年、同志社大学経済学部卒業。1991年、イギリスの Sotheby’s にて History of Art course 修了。同年、株式会社同朋舎出版に入社。海外版書籍、雑誌の編集を行う。1994年、雑誌『ワイアード』日本版のビジネス・マネージャーを務める。1998年、インフォバーン設立。代表取締役に就任。2008年、メディアジーン設立。代表取締役に就任、現在に至る。