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セミナーレポート

斉藤 徹 × 佐藤尚之 × 小林弘人 インフォバーンセミナーVol.3 2012年の企業コミュケーションはこうなる!

2011年12月2日開催

日時:2011年12月2日(月)16:30~18:30
場所:青山学院アススタジオ

日本国内においてソーシャルメディアに関するコンサルティング事業を展開。「ソーシャルシフト」をテーマに、ビジネスへのインパクトを広く啓蒙している斉藤徹氏。「さとなおさん」の呼称で知られ、『明日の広告』『明日のコミュニケーション』など、広告の最前線から、企業と生活者との新しい関係づくりを提唱してきた佐藤尚之氏。

多くのWebサービスやメディアをプロデュースし、『フリー』『シェア』『パブリック』の監修・解説を通して、ソーシャル時代の新しいビジネス像を提示している弊社代表取締役CEOの小林弘人。モデレーターの幸田フミさんによる進行のもと、この3名によるトークセッションが行われました。

トークセッション概要

ソーシャルメディアが普及し、企業コミュニケーションの形が変わろうとしています。
それは、社内外の活動がソーシャルメディアを通じて消費者へダイレクトに伝わる「透明性の時代」。その到来に備えるために企業がするべきことは何か、社内で具体的にどのようなプロセスを通して上司を説得すればいいのか、どのような事例を参考にすればいいのか、そもそもコミュニケーション担当者として意識するべきことは何なのか。単に時代が変わっているという事実を認識するだけでなく、実際に社内で担当者が動くための具体的なアドバイスが提示されました。

企業コミュニケーションの形が変化している! でも、そんなにすぐには変わらない!?

斎藤氏は、ソーシャルメディアの普及に伴い、来年は企業にも「透明性の時代」が本格的に浸透していく年になると主張しました。佐藤氏は、時代はそんなに早くは変わらないため、「先に行き過ぎないことが重要だ」と釘を刺した上で、来年は情報伝播の主導権が送り手側から生活者側へ移ったことを企業コミュニケーションに関わる人々が心底理解する年となり、実際に誰もがその時代の変化を実感できるようになるのは2,3年後になるだろうと述べました。

それを受けて、小林は、佐藤氏の意見に基本的には同意するものの、「気づくと変わっている問題」という関心事について説明しました。表面的な時代の変化は2,3年かもしれないが、企業はその変化に備えてしっかりチューニングしておいて、先行者利益を狙うべきだと主張。そのお薦めのチューニング方法は「リアリティの鉱脈探し」というもので、時代変化のリアリティを感じている人を社内に置いておく必要性を説きました。

また、小林が来年予想している変化は「コラボレーションの可視化」であり、過去にもコラボレーションはしてきたが、それが可視化されることによって新しい可能性が広がっていくだろうと述べました。モデレーターの幸田氏が、会場の皆さんに向けて、「透明性というキーワードを聞いて、明日から社内で改革に取り組む自信のある人はいますか?」と尋ね、挙手を求めたところ、会場内では手が挙がらず、3人に社内で突破口をつくるためのアドバイスを求めました。

斎藤氏は、「HERO(Highly Empowered and Resourceful Operatives)」と言われる社内で時代の変化に敏感な社員が変えていくべきだと主張し、そのために次のプロセスを行うことをオススメしました。

1.自分の会社がどのように言われているのかを傾聴する。
2.管理職を巻き込んでいく。
3.トッププレゼンを実施する。

最終的にはトップの理解が重要であり、そのためにはお客様の意見をまとめたグラフよりも実際の生の声に焦点を当てた方が説得しやすく、特に「日本一のファン」などを紹介することができれば大きな効果が期待できるとアドバイスしました。佐藤氏は、それを受けて「上司はそんなに理解があるわけがない」と指摘し、突破するためには上司に伝わりやすいコミュニケーションを意識すべきだと述べ、以下3点をアドバイスしました。

1.ソーシャルメディアは大事だということを伝えるために、上司に馴染みのある言葉を使って説明する。(例:ソーシャルメディアではなく、「ハイパー口コミ」という。)
2.どう扱えばいいかということを、「SIPS」の概念図に並べて説明する。
3.ソーシャルメディアは全能ではなく、これまで上司が築いてきた成功体験も共存する必要があることを説明する。

小林は、社内でフラットな関係性をつくり、時代の変化に敏感なHERO社員で集まって「気づくと変わっている革命」を起こすべきだと主張。そのときのポイントは「小さな成功体験」を作ることで、そのために「フラットなインターネット文化をリアルにコピーすること」の有効性を説きました。例として、ユーザーから発生したカンファレンスの国際的ネットワーク「BarCamp」を紹介し、その社内版を開催するといいのではないかとアドバイスしました。

参考事例

前田建設ファンタジー営業部:
http://www.maeda.co.jp/fantasy/

小林が紹介した企業のメディア化の成功事例です。1人のHERO社員によって運営されています。最近ではガンダムの宇宙基地を作ろうとしていて、前田建設の技術だけでは実現できないので、そのアイデアを公開し、様々な企業から協力のオファーをもらっています。そこで築いた関係から実際の業務提携などにも繋がっているため、とても効果的な方法だと解説しました。

特に成功したポイントとして、運営者が外側視点で社内を見直していることと、そのまま技術を紹介してもおもしろくないので、SFというメタファーを使うことにより、読者が取っ付き易いように工夫していることを紹介し、社内で彼のようなHERO社員をどれだけ遊ばせることができるかが重要であることを指摘しました。

JAL公式Facebookページ:
https://www.facebook.com/jal.japan

斎藤氏が紹介した日本航空のFacebookページです。スタートが震災直後であったことも考慮し、まずは1ヶ月くらい社内のみでテスト運営してみたところ、約4000人が参加して盛り上がったようです。今では20万人以上のファンが「いいね!」しているだけでなく、エンゲージメント率が約2%と国内トップクラスで、平均値の約4倍となっています。

その成功したポイントとして下記4点が挙げられました。

1.担当者に情熱がある。
2.個人の顔と実名(姓のみ)を出して投稿している。
3.毎日欠かさず投稿を続けている。(2週間ごとにコンテンツ計画を立てている。)
4.社員の個性が出るようにするため、コントロールは最小限にしている。

広報担当者が意識すべきこととは?

本セミナーのハッシュタグ「#ibsmn」のタイムラインをスクリーンに映しだすと、会場内の企業コミュニケーションご担当者様から、「広報担当者が意識すべきことは何だろう」という質問がTwitterに投稿され、それについて興味深い話が展開されました。

まず、佐藤氏が「会社を代表してコミュニケーションをするということを考えないほうがいい」と指摘。今は社内のコミュニケーションが染み出していく時代であるため、「社内全体のインナーコミュニケーション」を作る先頭に立つという意識を持つべきだとアドバイスしました。

小林もその意見に賛同しました。「社内でコラボできてないのに社外でソーシャルできるはずがない」と指摘し、まずは社内からコミュニケーションの障壁を低くしていく必要があるという意見を補足しました。

斎藤氏は、その話はほぼ自身の著作『ソーシャルシフト』に書かれていることと一致すると述べた上で、これからの時代はセンターコントロールが効かないで、社員ひとりひとりがお客様の接点になるので、規則で行動を縛るのは不可能となると指摘し、共通の価値観(コアバリュー)を徹底的に共有して、それに基づいて自律的に社員が動いていくような「インナーブランディング」をしていく必要があることを強調しました。

まとめ:企業コミュニケーションはこれからどうなる?

斎藤氏は、アルビン・トフラーが提唱するコンセプト「富の源泉」に触れ、これまでは「暴力⇒富⇒知識」とその源泉が推移してきたが、次は「共感」がパワーを持つ時代が訪れようとしていることを解説しました。それはこれまで企業が無視していたものでもあるため、来年以降は企業がその「共感」の重要性に気付くようになっていくだろうと予測しています。

佐藤氏は、今は同じ問題意識を「共有」して、繋がり続けることができる感じが強くなってきたため、孤独な戦いではなく、これからはみんなで一緒にうねるように変えていくようになるだろうという意見を述べています。

小林は、最近「マーケティング3.0」とか、「オープンイノベーション」などのコンセプトが提唱されているが、実はこれらの概念は元からわれわれの文化に内在しているものであり、いまはツールを使ってそれを疑似体験しているのだと説明しました。
また、これからは「信頼」が重要になっていき、それを担保するためにFacebookは実名制を採用し、初期設定をパブリックにしていると解説。それに合わせてわれわれの考え方も変わってきていて、そういう時に企業がお客様から信頼されるために、どうやってパブリックになっていくかを考える必要があると説明し、トークセッションは締めくくられました。

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