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【Web担連載記事②】「定量調査」と「定性調査」の違いを理解して、アンケートやユーザーインタビューの成果を最大化しよう!

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ユーザー理解における2大派閥「定量調査」と「定性調査」の違いについて解説します。この違いがわかると解決したい課題に対して、アンケートやユーザーインタビューなど、どのような調査手法を選択すると効果的かがわかるようになります。記事後半では、前回解説したユーザー理解のレベル(顕在レベル/検証型、潜在レベル/発見型)と定量、定性調査を掛け合わせて、企業でよくある課題をどのように解決していくべきか調査設計例も紹介します。

ユーザー調査の2大派閥「定量調査 vs 定性調査」

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マーケティングにおける調査には、大きく分けて定量調査と定性調査の2つがあります。それぞれがどんなことを調べたいときに適しているのか、定量調査と定性調査の違いから説明していきます。

2つの違いを説明するにあたって、前回説明したユーザー理解のための「3つの掟」が重要になりますので、頭と心に浮かべて読み進めてください。

定量調査 What/「なに?」を知る
定量データの分析や集計で調査

定量調査とは、人数や割合、傾向値などの何かしら明確な“数値や量”で表される「定量データ」で集計・分析する調査方法です

代表的な定量調査は、「アンケート」です。

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一般的なアンケートは、アンケートを回答してくれる人(被験者)が「はい・いいえ」や「1~5のスケールに○をつける」といった「スコアリング方式」と呼ばれる、質問項目に明快に回答できる設問で構成されていて、これらを集計すると設問ごとに必ず明確な数字でデータがアウトプットできます。

つまり、定量調査の大きな役割は、原因や経緯の理解深度はともかく、少なくとも調査者の質問に対して被験者が現時点で「何を選ぶか?」や「何を選ばないか?」が収集・集計でき、とても明快な数値データとして可視化できることです。

店舗の満足度調査から飲み会の日程調整まで、恐らく世の中で用いられている調査でもっとも広く使われている調査方法でしょう。

定性調査 How・Why/「どのように?」・「なぜ?」を知る
新しい理解につながる質的データを得る調査

定性調査とは、個人による発言や行動など、数量や割合では表現できないものの“意味”をリサーチャーが解釈することで、新しい理解やヒントにつながる「質的データ」を得るための調査方法です

代表的な定性調査は、「フォーカスグループインタビュー(以下、FGI)」やマンツーマンで行われる「ユーザーインタビュー」などです。

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これらの調査では「AかBのどちらかが好きか?」などの選択式設問を行うことはありますが、その多くは「どのように好きか?」や「Aが好きな理由は何か?」などの、被験者の考え方やある事象の理由を深掘りするような質問で構成されます。

一方、定性調査の大きな役割は、アンケートなどの定量調査では得ることが難しい、被験者がその回答に至った「経緯」や「理由」、「同じような考え方で選んでいる他の製品はあるか?」などの数値にできない価値観や、情緒的な心理構造を知ることができることです。

もちろん、定量調査の代表的な調査であるアンケートにも「自由記述」で回答を求める設問方式があり、数値化できないデータを収集するものもあります。

二者択一ではなく、定量調査と定性調査を上手に使い分ける

このように、定量調査と定性調査は「知るべきこと」の目的が異なっています。しかし、一概に定量調査と定性調査はそれぞれがガチガチに線引きされているというわけではありません

定性調査の代表的な調査であるユーザーインタビューでも、質問の一環として「カードソーティング法」などの質的思考を統計的に集計するような手法を併用する場合もあります。

ユーザー理解のためのデータ収集は、常に「量と質」の両側面を行き来するケースが多いということを前提のうえで、主として用いる調査手法が定量・定性のどちらに軸足を置いている手法なのかについて、前述した「3つの掟」に照らして明確に意識、理解する必要があります。

※カードソーティング法:調査テーマに関係するさまざまなキーワードが書いたカードを被験者の主観・判断で分類する調査手法。今後の連載で紹介予定です。

「定量調査 vs 定性調査」×「検証型アプローチ vs 発見型アプローチ」

では、定量調査と定性調査のどちらに軸を置いて調査手法を選択すればよいか詳しく見ていきましょう。

前回、「何の目的で、ユーザーの何を理解するか?」によって「検証型」と「発見型」の2つのアプローチ方法があるという話をしました。

調査したいことが、おそらくこのようなニーズがあるだろうと仮説が立てられ、それを検証する必要があるような「顕在レベルのユーザー理解」には、検証型のアプローチが適しています。つまり、数値的に明確に検証すべきものの場合には、定量調査を用いた検索型アプローチで調査を設計するとよいでしょう。

調査したいことが、ユーザー自身もそのニーズを認識しておらず、発見する必要があるような「潜在レベルのユーザー理解」には、発見型のアプローチが適しています。つまり、豊かで深い質的データを集めて、調査チームが文脈的かつ意味解釈を行うことで、新たな発見やインサイトを得るべきものの場合には、定性調査を用いた発見型アプローチで調査を設計すると良いでしょう。

もちろんこれら2つの指針はそれぞれの極端なケースで、「定量と定性」そして「検証と発見」にはそれぞれ中間が存在します。

それをマトリクス図で表現してみましょう。

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  • A. 潜在レベルのユーザーニーズを、定性的な視点で発見する
  • B. 潜在レベルのユーザーニーズを、定量的なデータを使って発見する
  • C. 顕在レベルのユーザーニーズを、定性的な視点で仮説・検証する
  • D. 顕在レベルのユーザーニーズを、定量的なデータを使って 仮説・検証する

※各指針の具体的な調査手法は記事末で紹介しています。

という4つの指針があります。この4つの指針のどれかに、マーケティング上のさまざまな課題やテーマのどれかは当てはまるはずです。

4つの指針の使い分けを企業でよくある課題で理解しよう

では、この4つの指針が具体的にどんな課題に当てはまるのかをクイズ形式で質問しますので、みなさんもぜひ考えてみてください。

Q1.次世代の製品やサービス開発のために生活者ニーズを調べたい場合は、4つのうちのどの事象に当てはまる?

A1.「A:潜在レベル × 定性調査」です。その理由は、「生活者のニーズを知る」とは生活者自身もそのニーズに気付いていないことも多く、調査する側が生活者のニーズを探索して、発見していく必要があるからです。

具体的な調査設計例:先進的な消費・生活スタイルをもっているイノベーティブなユーザー数名に対して1対1の面談式のデプスインタビューと行動観察を実施します。一般的な生活者の数年先をいっている彼ら・彼女らにとっての期待や未充足ニーズを理解することで、今後数年先にようやく一般化してきそうな将来的なトレンドのヒントを得る、といった調査を行うことになるでしょう。

Q2.ある程度いくつかの仮説がすでに社内で挙げられていて、自社サイトにおけるコンバージョン改善のためにユーザーニーズを理解する場合は?

補足説明:現状と改善後の期待次第でいくつかのアプローチは考えられると思いますが、もっともシンプルなものを選んでください。

A2.「D:顕在レベル × 定量調査」です。その理由は、立てた仮説を定量的なデータを分析して、検証していくと良いからです。

具体的な調査設計例:Webサイトにおけるコンバージョン改善、という明確なゴールが設定されていて、かつアクセスログデータを使って現状分析が明確に行える状況を考えると、サイトの各要素における目標値(KPI)を設定し、現状とのギャップをアクセスログ解析によって数値化します。

ギャップが生まれている原因と考えられるNGポイントを洗い出し、仮説とすり合わせしたうえで、コンバージョンに至るいくつかの要素のなかでもっとも改善によるインパクトが大きい要素を優先順位付けし、優先度の高いものから改善施策の検討と実施を行う、というオーソドックスな手順が手堅いやり方でしょう。

Q3.大量に存在する販売データの中から、今後特売の際に目玉商品とすべき商品の組み合わせを発見する場合は?

A3.「B:潜在レベル × 定量調査」です。その理由は、購買者のニーズを定量的データを使って、何らかの因果関係やパターンを発見していく必要があるからです。

具体的な調査設計例:昨今、小売や流通業界で導入されているPOSデータのデータマイニングによる売れ筋商品のトレンド予測などを行い、隠れたユーザーニーズや行動パターンを導き出します。

マーケティング業界の逸話になっている「おむつとビールの売れ行き相関性」などはご存知の方も多いのではないでしょうか。この領域は、昨今デジタルマーケティングの業界でも「ビッグデータ」というキーワードで話題になっています。

◇   ◇   ◇

さて、3つのクイズを例に出しましたが、日々のマーケティング活動のなかで取り扱われるさまざま課題ごとに、それぞれ適した方法は異なることを少し実感いただけたのではないでしょうか。

前述の3つのクイズについて、「実際に調査設計するとしたら」という視点で、簡単な参考設計例を挙げましたが、これら以外にも他にたくさんの手法やツールが存在します。

では、今後何回かに分けてご紹介を予定している代表的な各手法を、先ほど紹介したマトリクス図に書きだしておきます。

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すでにご存知のものもあれば、初めて耳にされる手法もあるかもしれません。次回からは、これらの各手法のなかで特徴的なもの・日々のマーケティング活動のなかで使いやすいもの・調査周辺の余談などを入れながら紹介していきます。

 


本記事は株式会社インプレスが運営するWebサイトおよびネットマーケティングの実践情報サイト「Web担当者Forum」から転載利用許諾をいただき掲載しています。

 

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元記事:「定量調査」と「定性調査」の違いを理解して、アンケートやユーザーインタビューの成果を最大化しよう! | Web担当者Forum

筆者による連載記事一覧

井登友一

取締役 副社長

デザインコンサルティング企業においてUXデザインの専門事業立ち上げに参画後、2011年に株式会社インフォバーン入社。UXデザイン/サービスデザインを中心としたイノベーションデザイン支援事業部門「INFOBAHN DESIGN LAB.(IDL)」主管。