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コンテンツマーケティングを成功に導く「ユーザー中心発想」

The illustration of road junction on the highway. The road going to the sunrise or sunset. Vector is perfect to illustrate the travels, adventures, logistics, search for the meaning of life, etc.

みなさんこんにちは! インフォバーンKYOTOの井登です。

このコラムでは、コンテンツマーケティングを成功に導くために欠かせない重要なコトのうち、「そのコンテンツは誰のためのものか?」という、とても基本的だけどついつい不明瞭になってしまいがちなポイントについて取り上げ、自社にとっての大切なお客様を深く理解する方法や、お客様のニーズに寄り添ってコンテンツを発想したり企画していくためのコツについて、簡単ではありますが何回かにわたって書かせていただきたいと思います。
※あくまで筆者井登個人の考えや理解に基づくものであることを何卒ご理解・ご容赦くださいませ。
(本コラムでは、図表など弊社サイトでも紹介させていただいております「ユーザーエクスペリエンス中心発想がサイト制作を成功に導く」からの引用が含まれます。よろしければ併せてご高覧ください。)

 

ユーザー中心発想か?を見極める3つのクイズ

まず最初に、わたしから3つクイズがあります。(回答時間は10秒ですよ)

【質問1】
「あなたにとって、最も”重要なお客様”は誰ですか?」

 

はい、10秒経ちました。
みなさん、明確にご自身にとっての重要な顧客像についてお答えになれましたか?

それでは、次のクイズです。(同じく回答時間は10秒です)

 

【質問2】
「その”重要なお客様”が、御社の製品やサービスと関係のあることにおいて、最も重要に考え、求めていらっしゃることは何ですか?」

 

はい、10秒経ちました。
こちらも明確にイメージし、具体的に答えられましたか?

それでは、最後のクイズです。(とても重要なクイズですのでこの質問には30秒差し上げます)

 

【質問3】
「あなたの”重要なお客様”が最も重要と考え、求めていらっしゃることを得るまでにたどって行く、お客様視点での理想の経験のシナリオを具体的にイメージできますか?」

 

はい、いかがでしょう?明快にお答えになることができたでしょうか?

ここまでの3つの質問に全て、明確に、自信をもって、正しく答えられた方は、すでに「ユーザー中心の発想」ができていらっしゃいますし、今でもきっとお客様とのコミュニケーション戦略をうまく実現できていらっしゃる方だとお見受けいたしますので、このコラムは釈迦に説法かもしれません。おみそれしました!また出直してきます(笑。。。

ただ、これらの質問のうちいくつかには答えられなかった、もしくは回答やイメージが不明瞭であった方にとっては、少なからずこのコラムが参考になることもあるかと思いますので、しばしお付き合い頂けると幸いです。

 

ユーザー中心のコンテンツ設計に欠かせない4つのプロセス

コンテンツマーケティングにおいて、良質なコンテンツを企画・設計するために最も重要な要素は、そのコンテンツが、

  • 「誰にとって価値のあるものか?」
  • 「(読者の)どういうニーズや興味・関心に貢献するものか?」
  • 「読者はそのコンテンツを通じて何を体験し、どう行動したいと思うか?」

 

という視点に立ってきちんと考えられているか?ということです。

いくらそのコンテンツに驚くべき情報量があろうと、世間一般に広く受け入れられようと、ビジネスにおいては自社のビジネスにとってインパクトを持つ”自社にとっての重要な顧客(層)”という特定の層に強く、深く貢献し、評価されなければ、そのコンテンツには意味がありません。

(と、はちょっと言い過ぎですが(笑、とはいえ、最終的に読者がコンテンツを通じて自社に強い関心と興味・共感を感じてくれて、ファンになってくれたり、製品やサービスに触れたいと思って頂けなかったら、、、と考えると一理あるとは思いませんか?)

この視点を全うするために必要なプロセスを、弊社では下記の4つのプロセスと定義づけています。

  1. 自社にとっての”重要なユーザー(ペルソナ)”を特定する。
  2. ペルソナにとっての”本質的なニーズとゴール”を明確にする。
  3. ペルソナがゴールにたどり着くまでの”理想的なストーリー”を具体的に描き出す。
  4. ペルソナが理想的なストーリーを全うするために自社が提供すべき”良い体験”を明確化する。

 

簡単にではありますが、ひとつずつ説明していきましょう。

 

■プロセス1:自社にとっての重要なユーザ(ペルソナ)を特定する

まず、1つ目の「自社にとっての”重要なユーザー(ペルソナ)”を特定する」ですが、このコラムを読まれているみなさんであれば”ペルソナ”という言葉や意味するものについては少なからずご存知のこともあるかと思いますが、改めて定義づけるならばペルソナとは

「企業が提供する製品・サービスにとって最重要で象徴的な顧客モデルのこと」

と、私たちは定義づけています。

 

ペルソナ

 

マーケティングの世界でよく用いられる”セグメンテーション”との発想の違いなど、詳細に語りだすとペルソナだけでこのコラム5回分くらいの紙幅を割いてしまいますのでザックリはしょりますが(笑、ペルソナを作る際にとても重要なことは、

・調査から得られたデータ(ファクト)にもとづいていること
・調査については定量調査以上に定性調査(1対1の深いインタビューや観察など)を重視していること
・想定顧客の”スペック”を明記するのではなく、”価値観やパーソナリティ”などのストーリーをビビッドに描いていること

などが挙げられます。
こういった手順を踏むことで、なんの根拠もなく思いつきや想像でつくられた”なんちゃってターゲット像”とは一線を画する、まるで目の前に実在の人物が存在するかのような活き活きとした人格像を描き出すことが可能になるわけです。

 

■プロセス2:ペルソナにとっての”本質的なニーズとゴール”を明確にする

次に2つ目の「ペルソナにとっての”本質的なニーズとゴール”を明確にする」について。
当然、重要なユーザーのニーズなんて知ってるよ!という方も多いとおもいます。
しかし、あなたが把握しているユーザーのニーズは、本当にペルソナにとって最も重要な期待なのでしょうか?
そのニーズを把握するために、どういった方法で知りましたか?
アンケート調査ですか?それともグループインタビューでしょうか?
ひょっとしたら、あなたが把握している”ユーザーニーズ”のうち、いくつかのものは本質的なユーザーの期待ではないかもしれません。
理由は、ユーザーは「自分自身が”本当の意味での”自身のニーズを明確な言葉で語ることができない」生き物だからです。
生活者が自分自身で言葉にできる自身の欲求はせいぜい、本来の欲求のたった5%程度だと言われています。
まさに”氷山の一角”ですね。

 

氷山の一角

 

顧客が自分自身で明確に言葉にできる欲求はすでに自分の中で顕在化している欲求ですから、たとえその欲求を解決できたところで“マイナスをゼロ付近に戻す”ことに過ぎません。(勿論、カイゼンという視点で言えばそれもとても価値のあることなのですが。)
言い換えるならば、顧客自身がまだ言葉にできなかったり気づいてすらいない”潜在的なニーズ”をいち早く理解し、そのニーズに応えることで”最高の感動体験”を生み出せると言えます。
あなたが、そして私たちが理解し把握しないといけないのは、まさにこういった顧客の”本質的なニーズとゴール”なのです。
こういったレベルのニーズ理解についても、前述のペルソナをきちんとした手順で開発していく中で、ペルソナ自身が語りかけてくれます。

 

■プロセス3:ペルソナがゴールにたどり着くまでの”理想的なストーリー”を具体的に描き出す

そして3つ目、「ペルソナがゴールにたどり着くまでの”理想的なストーリー”を具体的に描き出す」については、ユーザー中心発想でマーケティングシナリオをデザインする中で最も重要なプロセスと言えます。
ペルソナを明確にし、ペルソナにとっての本当のニーズとゴールを把握したら次にすべきことは、”ペルソナにとって理想的な状態でゴールを達成させてあげる”ためのストーリーを描くことです。
これには「カスタマージャーニー法」という手法を用います。
まさに読んで字の如く、ペルソナと一緒に(ゴールに至るまでの)”旅をする”ように発想し可視化することで、ペルソナがゴールに至るまでの自社とのタッチポイントや、出会う障壁、そして心地よいと感じることなどを時系列・経験の価値軸で可視化する手法です。
(参考:カスタマージャーニーセッション手順例 http://www.infobahn.co.jp/wp-content/uploads/ux/step2.png

 

カスタマージャーニー

 

このプロセスを自社の関係各部署メンバー内、そして私たちのようなコミュニケーションエージェンシーと共に行うことで、以降のマーケティング戦略立案をユーザー中心発想という共通言語で検討してくことが可能になります。

 

■プロセス4:ペルソナが理想的なストーリーを全うするために自社が提供すべき”良い体験”を明確化する

最後は4つ目の「ペルソナが理想的なストーリーを全うするために自社が提供すべき”良い体験”を明確化する」です。
前述のカスタマージャーニーセッションを通じて、ペルソナがゴールに至る最良のストーリーを発想・可視化できたら、次に行うことは、ペルソナが最高の体験を得るために必要とされるコンテンツを具体的なアイデアに落としこんでいくことです。
ペルソナにとって重要な期待をサポートするために必要な情報は何で、どのタイミングに、どのチャネルで、どういった文脈や見え方で提供されるべきか?
きっとこの段階まで進むと、あなたや、あなたのパートナーにとっては手に取るように浮かんでくることでしょう。
(ペルソナにとっての期待、だけでなく「あって欲しくないこと」の除去についても同様に貢献すべきコンテンツを発想できます。)

 

カスタマージャーニー2

 

これら4つのプロセスを適正に実行することで、コンテンツマーケティングにとって最も重要な”コンテンツそのもの”を、最適な指針で発想・企画することが可能になります。
さぁ、ユーザーの思考と感情の海に思い切ってダイブすることで、あなたのコンテンツマーケティングを成功に導くための航海図を手に入れましょう!

長文にもかかわらず、最後までご高覧いただきありがとうございました。
※本コラムで紹介させていただいた色々な手法や考え方について、弊社サイトやSlideShareなどで関連情報を公開させていただいております。よろしければご笑覧ください。

■弊社オフィシャルサイト内関連記事
https://www.infobahn.co.jp/special/user_experience

■筆者のSlideshare内関連スライド

 

 

井登友一

取締役 副社長

デザインコンサルティング企業においてUXデザインの専門事業立ち上げに参画後、2011年に株式会社インフォバーン入社。UXデザイン/サービスデザインを中心としたイノベーションデザイン支援事業部門「INFOBAHN DESIGN LAB.(IDL)」主管。