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データが変える!? スポーツの新たな楽しみ方

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<photo:Thinkstock / Getty Images

こんにちは、Webディレクションユニットの西原です。僕はスポーツ(特にサッカー)が大好きで、仕事が終わってからサッカーの試合をテレビで観ることや、週末に友達とフットサルやサッカーの試合をするのが何よりの楽しみです。

さて、みなさまは「マネーボール」という映画をご存知でしょうか。「マネーボール」は、お金がないメジャーリーグの弱小球団のGM(ゼネラルマネージャー)を務める人物が、独自のデータ活用法を実践することで、プレーオフ常連の強豪チームをつくっていく、というストーリーの映画です。「マネーボール」は2003年に出版された同名の書籍が元になっているのですが、発売された当初、その斬新なデータ活用方法がスポーツファンの間で話題になりました。

「マネーボール」発売から12年。スポーツにおけるデータ活用は、大きな進歩を遂げました。そして、今ではメジャーリーグのGMだけでなく、僕のような一般のユーザーでも、インターネットを通じてさまざまな専門的なデータに触れることができるようになりました。

今回はスポーツにおけるデータの活用事例と、事例から考える「スポーツとデータの未来」について紹介したいと思います。

 

NBAの全チーム、全選手のデータを無料で公開!

事例1:NBA「stats.nba.com

http://www.nba.com/?33

現在、スポーツにおけるデータ活用をリードしているのは、NBA(北米プロバスケットボールリーグ)です。NBAは2008年に「stats.nba.com」というWebサイトを立ち上げました。ここでは、NBAの全チーム、全選手のデータが、これでもかというほど網羅されています。

【公開されているデータ】

・「ベーシックスタッツ」と呼ばれる得点、リバウンド、アシストなどの基本的なデータ
・プレイヤーの移動距離と移動速度、10フィート以上の距離からパスを受けてすぐ放ったシュートの数や成功率

 

各データは勝ち試合、負け試合、リーグ戦、プレーオフといったさまざまな試合別に記録されており、チーム、選手といった単位で調べることができるうえ、データに貼られているリンクをクリックすると、関連動画も視聴できます。

今年からはNHL(北米プロホッケーリーグ)も公式サイト「NHL.com」内に、NBA同様に、全チーム、全選手に関する膨大なデータの公開を開始しました。この流れは、MLBやNFLといった他のスポーツにも波及していくことが予想されています。

 

サッカーもデータで楽しむ時代!

事例2:Four Four Two「STATS ZONE

http://www.fourfourtwo.com/statszone

僕が大好きなサッカーの世界でも、データを公開する動きが高まっています。このWebサイトでは、UEFAチャンピオンズリーグ、イングランド・プレミアリーグ、スペイン・リーガエスパニョーラ、フランス・リーグアン、イタリア・セリエA、ドイツ・ブンデスリーガの試合ごとのデータを見ることができます。

【公開されているデータ】

・シュート数、ボール支配率、ファウル数、選手個々の走行距離などの基本的なデータ
・「誰から誰にパスした回数が一番多かったのか」「どのエリアでボールを奪う回数が多かったのか」などのデータ

 

日本のJリーグでも、今年から「データトラッキング」というシステムが導入され、選手個々の走行距離やスプリント数(時速24km以上でダッシュした回数)、トップスピードの速度まで、毎節1試合リアルタイムで把握することができるようになりました。少しずつ、日本でもデータを通じてスポーツを楽しむ方法が広がりつつあるといえます。

http://www.jleague.jp/news/article/714

Jリーグが今年から開始した「ライブトラッキング」。
中央の画面にはリアルタイムで選手がフィールドのどこにいるのか表示される

プロスポーツがデータを公開する理由

今まで、スポーツにおけるデータは、勝敗に直結する要素のため、積極的に公開されていませんでした。なぜ、今になって、積極的に公開するようになったのでしょうか。

要因の1つは、ファンのニーズに応えるためです。スポーツファンが潜在的に持っている「すばらしいプレーの秘密が知りたい」「勝敗を左右する要因は何か」といったニーズに応えるためにリーグ運営側が出した答えが、データを公開することだったのです。

データを見たファンは、各々の観点でデータを分析し、時には自分がチームのオーナーや監督になったかのように、「あの選手がこんなミスをしたから負けた」「あの選手がこれだけ走ったから試合に勝てた」といった意見を、自分なりの考えを友人や知り合いに話すだけでなく、ブログやSNSを通じて発表するようになりました(僕もそんな1人です)。

そして、SNSやブログをみた別のスポーツファンが、データを使ったスポーツの楽しみ方を知り、そのスポーツに興味を持つようになります。データを公開したことで、ファンのニーズに応えただけでなく、新たなファンの獲得ができるのです。

 

データがますます活用されるスポーツ界

今後、スポーツの世界で、データはますます活用されていくと思います。また、スポーツにおけるデータの活用は、プロスポーツの世界だけでなく、より一般の人々にも浸透していくはずです。特に、今年4月に発売が予定されているApple Watchは、スポーツに限らず、日々のトレーニングのデータを簡単に記録することができます。Apple Watchの発売をきっかけに、スポーツのデータを活用する人々が増える のではないでしょうか。

「スポーツ」と「データ」。一見関係ないように思える分野ですが、テクノロジーの発達に伴い、今後大きく発展する分野だと思われます。Apple Watchなどのウェアラブル端末で計測した運動データから、ユーザーに最適なトレーニングメニューを作成してくれたり、あるいは、ダイエットしたい人なら、身体の状態にあわせた食事や食品を紹介してくれたりするかもしれません。「スポーツ」と「データ」がどのような発展をみせるのか、今後に注目です。

西原雄一

Web制作会社にて、Webサイト構築、企業サイトの運用業務を経験した後、2014年8月にインフォバーン入社。
個人サイトでは、スポーツのデータ活用事例や、マーケティング事例、試合の感想などを綴っています。