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【海外事例】食行動の変革を目指したコミュニケーション施策3選

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食は、すべての人が毎日といっていいほど関わる身近なテーマでありますが、その分生活習慣や文化、個々の嗜好やこだわりが色濃く出る分野でもあります。ですが、今後は、サスティナブルな暮らしを見据えた代替肉などの選択肢に適応したり、パーソナライズニュートリションなどに代表されるように個々に最適化された食事・栄養摂取スタイルなどへの変革が消費者にも求められるかもしれません。どのようなメッセージを伝えればユーザーのアクションをうながせるのか。海外の事例をご紹介いたします。

小さなステップを提示して大企業、そして消費者を巻き込む | Veganuary

2014年にイギリスで始まり、今年からアメリカを含めた世界中で急激に広がりつつあるのが、Vegan(ヴィーガン)とJanuary(1月)を掛け合わせた、「Veganuary(ヴィーガニュアリー)」という取り組みです。1月の1ヶ月間、身体にも地球環境にも優しいヴィーガンの食生活にチャレンジしようというものです。イギリスの非営利団体「Veganuary」が始めた このキャンペーンは、スモールステップを理念に呼びかけることで多くの人が参加しやすいキャンペーンとなっています。

毎年1月にレポートが公開されており、2023年1月に発表されたものは36ページにわたり、アメリカ、イギリス、ドイツ、南米と国別にまとめています。NGOや食産業の企業だけではなく、あらゆる企業にとって参考になる活動レポートとなっています。

また、世界最大の食品会社「Nestle」が運営するプラントベースの食品ブランド「Garden Gourmet」もこの活動に積極的に参加を表明。「McDonald’s」や「Starbucks」も続々とコラボレーションを行っており、ユーザーにとっては年々参加ハードルが下がってきています。

2023年のVeganuaryには228の国から700,000人以上の人が参加した実績もあり、今後中長期的に続いていく文化になっていきそうです。

インターネット・ミームを活用してオンラインとオフラインの垣根を取り払う | Zomato

Instagram:https://www.instagram.com/p/Cm6bZ_kpVh4/?utm_source=ig_web_copy_link

「Zamato」はインド版食べログとも言われており、レストラン検索サイト機能に加えて、フードデリバリー機能も備えたサービスです。インド以外にも現在16か国で事業を展開しています。

Zomatoのマーケティング戦略は、競合他社ブランドの中で目立つために「インターネット・ミーム」(インターネットで拡散されるなかで、言葉が特殊な意味をもったり、現象が言語化されること、また変化した言葉そのものを指す)を利用するというユニークな方法を開発しました。その結果、多くのオーガニックトラフィックを生み出し、最終的に全体の収益増に貢献してきました。

インターネット・ミームはフレンドリーで親しみやすいイメージをつける効果があり、人々の行動に影響を及ぼすと考えたZamatoは、顧客とのやり取りやインスタグラムの投稿において、コンテンツにインターネット・ミームを積極的に取り入れて注目を集めることに成功しました。

例えば、子会社の「Blinkit」が2023年の初めにインドグルガオンで掲げた路上看板には、”Doodh mangoge, doodh denge(あなたがミルクをオーダーするのであれば、我々はミルクをお届けします) “というコピーが書かれました。これは、2002年に公開された映画「Maa Tujhe Salaam」の名台詞「Tum doodh mangoge hum kheer denge; tum Kashmir mangoge hum cheer denge(あなたがミルクを求めたら、私たちはキールを与えます。 あなたはカシミールを求めたら、私たちはそれを引き裂きます)」をひねったものであり、映画をこよなく愛する多くのインド人の心をくすぐるコピーです。この路上看板は、もちろん人々が写真を撮ってSNSでシェアするだろうという予想の元に作られています。BlinkitとZomatoのインスタグラムに投稿された後、5日間で9.6万ものいいねを獲得。OOHがデジタル広告の世界と融合したことで新たな成功事例となりました。また、インターネットユーザーや他のブランドがZamatoとBlinkitのこのキャンペーンのパロディーも流行しました。

ブランドに特定の印象を持つ前に、ブランドとユーザーが関わるケースも多いSNSにおいて、インタラクションが生まれやすいというのはこのインターネット・ミームを利用する強みでしょう。インドにおいても一般的な広告のクリック率低下やリードの質の低さは同様の課題であり、この戦略は突破口となっているようです。現在、このZamatoには毎日平均 300 万件の注文があります。 また、6,500 の ZomatoGoldレストラン、80万人の会員、月間約9,000 万人の訪問者があるということを考えれば、十分な成功事例といえるでしょう。

AIが視線から食べたいメニューを読み取り提案 | HungerStation

YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=HuAQ3UyyjaU

サウジアラビアを代表する食品宅配アプリ「HungerStation」は、AIを使った画期的なプロジェクトを行いました。それが「Find Your Subconscious Craving」です。これは、AI を使用して潜在意識で欲しいものを見つけ、住んでいるエリアのHungerStationが契約するレストランから食べ物を自宅まで配達してくれるというものです。

食べ物を注文する際、人は平均して年間約132時間もメニューを見ながら何を食べるのか考えており、そんな優柔不断さによって多くの間違い電話が起こっています。心理学者は人間がこのように選択肢が多すぎることでストレスや不満を感じる状況を「情報過負荷」と呼んでいます。HungerStationのAI機能は、その問題解決をサポートするサービスです。

HungerStationのWebページでは、さまざまな料理の画像が画面に表示されるのと同時に前面カメラが高度なアルゴリズムを使用して視線を注意深く追跡し、潜在意識が求めているもののデータおよびレポートからユーザーにリストを提供します。このキャンペーンは、開始から最初の2週間で250万のインプレッション、63万回のポータル訪問、78,000人の新規顧客、つまり1日あたり6,000人の新規顧客を生み出したそうです。

最近の研究によると、顕在意識は毎秒40ビットの情報しか処理できないのに対し、潜在意識は最大50万倍の速度で情報を処理できるとのこと。AIの技術によって、人々が潜在意識とよりよくつながり、探しているものを正確に見つけることができるように手助けすることができるそうです。

食習慣・食文化を変革するコミュニケーションに「体験」を

食習慣の変化や意識変革を促すようなサービスは、一般的に人の食への関心が高いことから参入障壁は低い一方で、普及・定着させることが難しいようです。そのため、コミュニケーション施策を実施する際には、サービスに接触する前から「やってみたいと思わせる楽しさ・ユーモア」や「モチベーション喚起」といったところを重視することが必要ではないでしょうか。そのため、私たちインフォバーンは、サービス利用へとつながるカスタマージャーニーを描き体験を戦略的にプランニングしつつ、最適なクリエイティブをご提案いたします。食にまつわるコミュニケーション施策をお考えの方は、ぜひご相談ください。

Illustration by Getty Images

EX Journal編集部

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