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2013.7.3

コンテンツマーケティングに取り組む前に

こんにちは。インフォバーンの佐藤秀樹です。今回のテーマは「コンテンツマーケティングに取り組む前に」です。

このコラムを読まれている方は、少なからず企業のWeb戦略やコンテンツマーケティングについて興味を持たれていることと思います。

私は、インフォバーンのプロデューサーとして数々の企業のWebマーケティング担当者とお話していますが、特にここ最近、「コンテンツマーケティングを検討している」「コンテンツを活かしたオウンドメディア戦略を実践したい」といったご相談を数多くいただくようになりました。しかし、具体的に話を伺ってみると、コンテンツマーケティングに対する誤解や認識のズレから、そのままでは失敗しそうだな、というご相談が多々あります。

 

担当者が陥りやすい、間違ったコンテンツマーケティングへの取り組み方

まずは、私がご相談を受けた、コンテンツマーケティングが失敗しそうなケースを以下に書きますので参考にしてみてください。

1.「コンテンツマーケティングをやること」が目的になっちゃってる

いま話題のキーワード「コンテンツマーケティング」をやることが目的になってしまっているケース。目指しているゴールが、まさにコンテンツマーケティングによって解決すべきものであれば幸せなのですが、そうでない場合も多々あります。目指すべきゴール自体が曖昧なこともしばしばです。

 

 

なぜこのケースが多いかと言うと、相談してくるお客様が、従来の数々のWebマーケティング手法を実践してきた中で(たとえばリスティング広告とか)、その効果が頭打ちになっていて、その打開策をこの新しいマーケティング手法に期待している、という状況が多いからだと思います。

TwitterやFacebook によってソーシャルメディアの施策が流行したときも同様のケースは見受けられましたが、手法自体が目的になってしまうのは本末転倒です。新しい用語とは言え、コンテンツマーケティングも、あくまで「マーケティング手法の一つ」ですから、マーケティング上のビジネスゴールが設定されたうえで取り組まなければ、しばらく運用したあとに、「この施策は何のためにやっているのか?」といった、そもそもの部分が社内で問われ、大失敗します。

 

2.おもしろコンテンツを魔法の施策と勘違い

オーディエンスの興味を惹くおもしろいコンテンツさえ作れば「まだ見ぬ新規顧客の流入が増え」「自社のブランド価値が向上し」「ファンが増えてサイトで囲い込み」「製品が売れるようになる」と思っていませんか? これは、正解のケースもないとは言えませんが、概ね不正解です。実際には、それぞれの目的ごとに適切なコンテンツを複合的に配置していく必要があり、ただオーディエンスにコンテンツで興味を持たせればすべて実現するということはありません。

この場合、中途半端におもしろコンテンツが増え、集客も叶わなければ、購入者も増えないといった結果になります。また、それだとさすがに極端な例かも知れませんが、仮に集客が上手くいっていたとしても、発信するメッセージや文脈が、集客コンテンツと、購入を後押しするコンテンツで一貫していなければ、集められたオーディエンスを購入へと引き込んでいくことは難しいです(おもしろコンテンツだけ読んで満足して帰ります。おもしろメディアとしては成功ですが、もちろんそれだけという訳にはいかないですよね?)。

さらに言うと、それぞれの目的ごとにコンテンツを準備するのに、予算が足りなくなったり、運用が回せなくなったりするのもこのケースです。

 

3.インフォバーンは全ての正解を知っているという誤解

相談事項として「どうやったら成功しますか?」「上手くいくKPIの具体数値を教えてください」「確実に売れるようになるコンテンツを提案してください」といった、いきなり正解を聞かれることも少なくありません。残念ながら、弊社もそれはわかりません。

弊社がお客様に提供できるのは、成功させるためにどんな手順を踏んでいくか、そのために必要な作業は何か、そこから導き出される施策は何か。これらを様々な情報から仮説立て、企画・実施・改善していくお手伝いです。もちろん、最初から完全に大成功することなんてほとんどなく、運用する中で各要素を改善していくことも必須なので、中長期的に運用していく前提です。

企業側のビジネスと抱える課題、市場の実情をすべて内包した本質的なマーケティング戦略のプランニングは、自社で見出すしかありません。私達の持つ経験やノウハウによって「推進していくプロセス」は提供できても、最初から成功を提供することは不可能なのです。これは(弊社に限らずですが)、自社でしか成し得ない業務はなにか、また依頼する業者に何を頼むべきか(=自社に不足していて外部に支援してもらう必要がある業務が何か)を、見極められていないケースになります。

 

コンテンツマーケティングでは、初期の全体設計が不可欠

では、どうやって前述したような失敗の危機から逃れたら良いでしょうか。ここまで読んでくれば、なんとなく気づいていただけたかと思いますが、コンテンツマーケティングでは、初期の全体設計が非常に重要なのです。

 

 

それだけ聞くと「そんなの、他のどのマーケティング手法だって一緒だ」とおっしゃられるかも知れませんが、それができていないケースが本当に多いのです(余談ですが、それが何故か? については、私の経験的仮説では、おそらく、前述した通りコンテンツマーケティングという選択肢が「他のWebマーケティング施策の代替えプラン」として浮上してきたケースが多かったり、コンテンツマーケティングのプランニングが「コンテンツ企画」のプランニングになりやすいからではないかと思っています)。

 

コンテンツマーケティングに取り組む前にビジネスケースづくりを

「全体設計」をもう少しイメージしやすく言い換えてみましょう。弊社CEO小林監修の、『オウンドメディアで成功するための戦略的コンテンツマーケティング』から引用すると、

「ほとんどの組織にとって、コンテンツマーケティングは新しいもので――ビジネスのさまざまな部分にかかわる傾向があり――事業価値を大きく引き上げる金銭的報酬や具体的数字を示すのは、しばしば困難であるからだ。」

とあります。つまり、コンテンツマーケティングを単純に従来の手法の代替え施策として実践したり、簡単に費用対効果を評価するようなことは困難だというのです。特に“ビジネスのさまざまな部分にかかわる傾向があり”という部分がポイントで、同書ではコンテンツマーケティングのプランニング(=全体設計)とは、「事業全体にイノベーションを起こす可能性を秘めた新しいビジネスケースをつくること」としています。

具体的に、コンテンツマーケティングのビジネスケースづくりをするのであれば、以下の5つの問いの答えを考えてみるのが良いと思います(手順に関する詳しい説明は同書に譲ります)。

  1. コンテンツマーケティングで成し遂げたいことは何ですか?
  2. そのターゲットや機会は狙う価値がありますか?
  3. ビジネスモデルは何ですか?(規模感・必要な要員・既存のマーケティングにどう影響するか考えられていますか?)
  4. 従来の施策から予算を回してでもやるべき、重要な理由はありますか?
  5. 失敗するリスクは何ですか?

 

参考に、上記の問いを踏まえて、最初に事例を示した「失敗しそうなケース」で何が足りなかったか考えてみます。

●目的が「コンテンツマーケティングをやること」

→コンテンツマーケティングで何を成し遂げたいのか、目的が明確になっていません。4番の従来の施策と比較した価値も考える必要があります。

●おもしろコンテンツを魔法の施策と勘違い

→ターゲットや狙うべき価値は不明瞭です。また、ビジネスの規模感や要員も設定できていません。

●インフォバーンは全ての正解を知っているという誤解

→1〜5までのビジネスケースづくりができておらず、答えを外に求めすぎです。特に、自社の業務範囲と外部に委託すべき業務が見極められておらず、失敗のリスク(仮説〜改善の意識)も想定できていません。

 

ビジネスケースづくりは結構大変

ここまで読んでいただいて、逆に「コンテンツマーケティングなんて、とても手に負えないな」と思ってしまった方もいるかも知れません。確かに、ビジネスケースづくりは、結構大変です。

弊社では、そういった場合に、ビジネスケースづくりや初期の全体設計からお手伝いすることも承っております。何はともあれ、最初は御社の置かれている状況を把握するところから、じっくりお話させていただき、必要なことからお手伝いさせていただきますので、気軽にお問い合わせください。

逆に、本コラムを読んで、最初に自社で取り組むべきことがクリアになった方は、ぜひ上記のビジネスケースづくりを、自社に当てはめて試してみてください。これらの問いの答えが明確になっていれば、実行フェーズに入ってからコンテンツマーケティングをやるべき理由を問われても大丈夫。そこで実現させたいことも、社内に熱く語れるはずです(そこから、ターゲットのペルソナ設計や、具体的なコンテンツのプランニングのご相談をいただければ、弊社がばっちりご提案いたします!)。

ちなみに、『オウンドメディアで成功するための戦略的コンテンツマーケティング』の中では、コンテンツマーケティングのビジネスケースをつくる前に、小さなことでもいいので、社内のイノベーションを実現させるためのビジネスケースづくりと、その実践による実績をつくることもお勧めされています。新しい価値の創出に対して、社内に成功と失敗を許容する文化をつくるためです。チャンスがあったら、そこからチャレンジしてみるのも良いかも知れませんね。

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