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【海外事例】企業の多様性・公平性・包括性(DEI)を、ユーザーに効果的に伝えるためには?

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Z世代を中心に高い関心を集めているのが、「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)」を指す「DEI」です。Z世代がブランドやサービスを選ぶときの1つの大きな基準となっていることはすでにご存知の方も多いでしょう。一方で、自社のブランドをDEIの観点から十分にアピールできていない、伝え方が分からないという声も多く聞かれます。今回はそんなお悩みに参考になりそうな海外事例をご紹介いたします。

認知の高いブランドコピーを利用し、人種差別問題に意義を唱える :Nike

Youtube:https://youtu.be/drcO2V2m7lw

「Nike」といえばすぐに「Just Do It.」と連想できるほど、有名なスポーツブランド。このキャンペーンはそれを「覆した」として話題になったキャンペーンです。

2020年5月25日、米国でアフリカ系アメリカ人であるGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏が白人警官によって押さえつけられ死亡するという事件が発生。抗議活動「Black lives matter」に発展しました。Nikeはこの5日後、実にスピーディにこの動画を発表しました。その名は「For once, Don’t Do It」。動画の内容は、人種差別撤廃に向けて行動を促す1分間のメッセージです。

普段の「Just Do It.」というタグラインと真逆の表現を使い、「For once, Don’t Do It」として見事にインパクトある抗議活動に変換したことが称賛、そして拡散されました。
同社は、過去にも人種差別に抗議するキャンペーンやクリエイティブを発表してきました。アメリカンフットボールリーグのNFLで、人種差別への抗議のために国歌斉唱時の起立を拒否したコリン・キャパニック選手を、2018年の広告「Dream Crazy」に起用。これは米国の保守層を中心に炎上を起こしましたが、それがメディア露出量の拡大につながり、支持層からの売上を獲得。この広告は前年同期比110%の売上に貢献したと報じられました。

Twitter:https://twitter.com/Kaepernick7/status/1036695513251434498

先のGeorge Floyd氏の事件が起こった直後、Nike CEOのJohn Donahoeは、米国にまん延する人種差別を憂える発言をスタッフに共有したとのこと。このことに象徴されるように、常に人種差別への感度を高く持つ社風がこの対応につながったと考えられます。「For once, Don’t Do It」の動画は黒い背景にただ文字が表示されるだけですが、人種差別について「やってはいけない(Don’t Do It)」と啓蒙する力強いコピーが綴られた結果、インパクトの強いものになりました。この動画はYouTubeで130万回以上再生されており、ある調査結果では16〜49歳の消費者の多くが「他の広告よりもメッセージが伝わり、力を与えてくれた動画だ」という感想を持ったそうです。

Twitterの投稿は、最初の2時間以内に1万以上のRetweetと1.9万のいいねを集めました。現在は、9.2万のRetweetと21万いいねがついており、いままでの経緯や、クリエイティブ、そしてスピード感すべてが成功につながった事例と言えるでしょう。

Twitter:https://twitter.com/Nike/status/1266502116463370241

一番強いファクトである顧客をクリエイティブに起用 :Bumble

Bumbleのキャプチャ
screenshot:https://bumble.com/en-us/

近年競争が激化しているマッチングアプリ市場の中でも、後発組である「Bumble」(2014年創業)は、1通目のメッセージは女性からしか送れないという仕様にユニークさがあり、出会いの場の主導権を女性が握ることができるアプリとして注目を集めています。

Tinderで副社長を務めたのち、このBumbleを創業したWhitney Wolfe Herdは、女性起業家としても注目されている人物です。2022年の上場セレモニーでは、赤ちゃんである息子を抱えながらナスダックのベルを鳴らし世界中のニュースで取り上げられました。彼女は男性中心のビジネス界で、女性差別やセクシャルハラスメントを受けた経験をバネにしてキャリアを積み上げており、デートアプリにおいて女性が受け身になってしまう事象やそうあるべきだという考え方を変革したいという考えから、このBumbleを開発したと語っています。またBumbleのDEIはそれだけにとどまらず、アプリ内での「ボディシェイミング(外見について意見を言う行為)」に該当する発言やメッセージを禁止するという新しいルールを導入することも発表しました。

広告キャンペーンの「Find Me On Bumble」でもその姿勢は一貫しており、アプリの考え方に賛同した実際のユーザーであるニューヨーカーたちが動画&SNSキャンペーンに登場しました。人種はもちろん、職業も政治家、起業家、オペラ歌手、モデルや活動家など多種多様な人々を起用しています。

Youtube:https://youtu.be/SZwz-Fx98ig

顧客にフォーカスした「だけ」と思われるかもしれませんが、企業やブランドのパーパスを的確に表しつつも、かつそのファクトを提示するという2つの要素を見事にクリエイティブに昇華させている一例だと言えるでしょう。この広告をみて、実際にこの人と出会いたいから始めたい、と思ったユーザーも多かったようです。

新しい造語を作り、男性らしさを再定義する:AXE

Youtube:https://youtu.be/h9dzEzVmMHI

グローバルに展開し、日本でも認知を獲得している「Unilever」の男性化粧品ブランド「AXE」。女性を惹き付ける男性のセクシーさを演出するブランドであるかのようなかつてのイメージを、この数年で変化させてきています。伝統的な男性の固定観念や古い価値観で‘男らしさ’を押し付けることをやめ、グルーミング製品で個性の表現を奨励するような方向性に舵を切ったのです。

2019年のキャンペーンでは、男性らしさを表す言葉「masculinity」をもじり「Bathsculinity」という新しい用語を作りました。バスルームの内外で自分の肌を快適に保つために手入れをするさまやその人のことを表現しています。コメディアンのLil Rel Howeryが浴槽でリラックスし、キャンドルを灯してバスタイムをエンジョイしたり、VRを楽しんだりしており、いい男になる方法は1つではないというAXEのメッセージを伝えています。この動画に連動した#BATHSCULINITY というハッシュタグは、男性たちが自分のバスタイムをSNSでシェアするというムーブメントを起こしました。

この例は、DEIに対する広告戦略とは企業活動をSNSで紹介することではなく、社会的または環境的な角度でブランドや商品のポジションを変えることで、企業やブランドのDEIの側面をアピールできることを示しています。つまり、ブランドや商品のアイデンティを再配置することで、新しいマーケットの獲得にも繋がり、特に社会的および環境に配慮した取り組みに注視しているミレミアムやZ世代の人々に、より強力なマーケティング効果をもたらすことができます。
実際、今後男性向けグルーミング商品の市場は157億ドルにもなるという調査もあり、DEIの考えの元で広告を考えることは、ビジネス上多くの利点があると考えられています。

DEIをテーマにした情報発信は、慎重、かつ大胆に。

近年特に多くの人が関心を持っているDEI。繊細な問題だからこそ、トレンドに乗っかったような表現や、取ってつけたような企画にすると炎上にもつながりかねません。そのため、ファクトをもとにしたプランニングを行ったり、クリエイティブ制作で多様な観点でチェックを行ったりと慎重に取り組む必要があるでしょう。しかし、うまくインパクトを出すような表現ができれば、企業のイメージや認知度を一気に上げることができるチャンスにもなります。
企業やブランドに眠るDEIの精神やファクトを丁寧に発掘し、そのストーリーを魅力的に見せるのが私たちの役割です。お悩みの方はインフォバーンにぜひご気軽にご相談ください。

Illustration by Getty Images

EX Journal編集部

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