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【海外事例】ボランティア活動は、企業にどのような利益をもたらすのか?

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企業のCSR施策のひとつとして行われているのがチャリティ活動やボランティア活動。活動自体は意義深くても地道な活動が多く、社外ではおろか社内にも知られていない場合も多いのではないでしょうか。だからこそ見直して、企業にとっても従業員にとってもユーザーにとっても良いと感じるものに変えていく必要があります。企業やブランドが社会にどのように貢献しているのか、それは企業のイメージに関わりますし、最近はそのような基準で選ぶ消費者も増えてきています。そんなボランティア活動に関して、海外ではどのような活用事例があるのでしょうか。ここでは3つご紹介いたします。

ボランティア活動も旅やホテルを楽しむコンテンツに:Zoku

2016年に登場したホテルブランド「Zoku」は、ホテルの固定観念を取り払い、ニューウェーブとして注目されているブランドです。例えば1階に仕事もできるリビングとベッドのあるロフト、キッチンには料理に必要な家電や材料が勢ぞろい…という構成の部屋では、仕事・食事・団らんなどさまざまなことが可能です。客室にはコンパクトながらもユニークな工夫があり、家のような気軽さと、オフィスのような利便性を兼ね備えた客室で「暮らすように泊まることができる」ことが特徴です。共有部分にもレストランや、コワーキングスペース、リラックスできる屋上庭園、24時間営業のストアなども揃っており、利便性も十分です。

アムステルダム、コペンハーゲン、ウィーン、パリ(2022年秋開業予定)に存在し、「ホテル客室の終焉」を目指したとまで宣言するこのホテルのブランドタグラインは、「人とアイデアをつなぐ」。人々とつながるのはもちろん、旅行先の都市とつながるためのより良い方法として、Serve the City※と協力し、Zokuのコミュニティのメンバーがホテルに滞在またはコーワーキングスペースを利用しながら、気軽にボランティアに参加できるようにしています。これは、Zokuの環境やサスティナブル推進活動の一環として、地域やアムステルダムの街とつながることで社会に貢献するという活動です。

※注:Serve the Cityとは、困っている人々に個人的な方法で親切を示すボランティアの世界的なNGOです。ホームレスやシェルター、難民センター、孤児院、その他の団体と提携し、支援とサポートを提供しています。

Zokuアムステルダムのコミュニティマネージャー、Laura Ghitoi氏によると、 Serve the Cityでの最近の活動には、ブルーマンデーに老人ホームのためにクッキーを焼くことやガーデニングや屋外の中庭のリノベーションをしたり、従業員が街を緑にする活動に携わることなどがあるそうです。

また、Zokuでは、出張が多かったり、リモートで働いていたりするノマドワーカーの急増を受けて、そのような人々の中で孤独感が広まっていると言います。そのため、都市部で働く人たちの精神的な孤立や孤独を解消するために、人々が交流しやすいイベントも開催しています。

このような社会貢献活動の成果により、2018年、ZokuアムステルダムはB Corp認定(社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際的な認証制度。運営は、米国の非営利団体のB Lab)を取得し、オランダで最初のB Corp認定ホスピタリティ企業になりました。Webサイト上でも、B Corp認定とは何か、ZokuアムステルダムのBインパクトスコアについても見ることができるようになっています。

グローバル企業でも、従業員のボランティア参加機会を一斉に創出できる:BearingPoint

企業が社会的責任(CSR)活動を行う目的のひとつには、外部にその企業が行なっていることをアピールするためであることがありますが、実はグローバルで働く従業員同士に対しても、各チームの活動に関与しコミュニケーションをとることのできる素晴らしい方法でもあります。

オランダを拠点とする国際的なコンサルティング会社「Bearing Point」は、創業10周年を記念して「10 Days of Caring」(10日間の思いやり) と呼ばれる社内CSRキャンペーンを行いました。

Twitter:https://twitter.com/bearingpoint/status/1202588272368726016

世界中に散らばる23拠点のBearing Pointの各チームは、コミュニティへ還元する活動を選び、その活動に関する情報をソーシャルメディアへ投稿しました。

Twitter:https://twitter.com/BearingPoint_FR/status/1201791479779336192

約2000人の従業員がボランティアベースで関わり、NGOなどの40の団体と協業し、150以上の活動が行われました。そして、これらのコンテンツをひとつのWebサイトにまとめました(現在は表示終了)。

このコンテンツは世界中のBearing Pointオフィスに表示され、特にオフィス内のTVスクリーンで表示されました。つまり、見える化により、従業員が自主的にキャンペーンに参加しやすい雰囲気を作り出したのです。ボランティアを促すには、参加したいというモチベーションをいかに作り出すことが大事になりますが、この仕組みにより、お金をかけずにボランティアを促すことにつながりました。

従業員のエンゲージメントを高める仕組みとして活用:AppDynamics

アプリケーションの性能を監視するソリューションを提供しているIT企業「AppDynamics」(現在はCisco傘下)。なんと従業員が毎年5日間をボランティア活動に当てることができる仕組みを導入しています。有給のボランティア休暇を取得することで、従業員がボランティア活動に参加して社会に貢献することを奨励しているのです。

そしてそのボランティア活動のために「AppD Cares」と呼ばれるコミュニティに焦点を当てたプログラムが作られました。このプログラムでは、従業員がそれぞれ大切にしたいと思うことや行いたい社会貢献の内容に応じて、さまざまなボランティア体験が提供されています。

このAppD Caresは、慈善活動に熱心な数人の従業員によって草の根の運動のようにして始まりました。最初は、年間最大250ドルの寄付から始まりましたが、その後はビーチクリーニングへの参加やボランティア活動をチームビルディングへと発展させたのです。

その後、AppDynamicsのボランティアは、子ども、教育、健康という3つのメインの分野で行われるよう。これら3つを特定することは、従業員とAppD Caresに整合性と方向性を与えるために、重要なことでした。

現在、寄付の額は年間最大25,000ドルまで増加しました。また、Time2Giveというプログラムを通して、従業員が支援したい非営利団体や学校に還元するためにボランティア休暇を取得することができます。

ボランティア活動は、会社のイメージを上げるだけではなく、従業員のエンゲージメントも高めます。

これらの活動は、会社のHPでも担当者へインタビューを含めて詳しく説明されています。担当者が幼い頃の個人的なボランティア経験を交えてエピソードを話しており、真実味の高いものとなっています

また、活動の様子は、#AppDCaresというタグで各SNSでも伝えられています。

仮想空間でのオンラインセッションなども行われ、実に全方位にAppDCaresの取り組みが行われています。下記では骨髄ドナーを集めるための団体との勉強会があったようで、多くの従業員の参加があったことが記されています。

Linkedin:https://www.linkedin.com/posts/nadine-james-6277015_appdcares-lunchandlearn-appdcares-activity-6932752801085231104-BCUq?utm_source=share&utm_medium=member_desktop

ボランティア活動はこれから、企業のビジネスに寄与できる存在になっていく

ボランティア活動はこれまで広報やPR活動の一つのコンテンツでしたが、事例のようにホテルの用意するアクティビティの一つになったり、従業員の結束を強めることのできる機会となったりすることがわかり、可能性が広がっていることを実感します。また、その活動もWebサイトやSNSなどのデジタルメディアを使うことで、小さな活動にも拡散が生まれ埋もれにくくなるのでサステナビリティ推進が成功するためのひとつの工夫にもなるでしょう。インフォバーンは、これらの活動も一つのストーリーとして伝えていくことをプランニングしてまいります。ぜひお気軽にご相談ください。

Illustration by Getty Images

EX Journal編集部

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