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ユーザーにとっての“理想の世界”を可視化し、チームで共有しよう!~「デザインクライテリア」を用いた共通言語のつくり方【後編】~

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みなさん、こんにちは! インフォバーンKYOTOの井登です。

前回のコラムからしばらくのご無沙汰ですが、みなさんはどのような夏をお過ごしでしたでしょうか?

わたしはささやかながら休暇を頂いて、義両親の郷里である熊本に数日滞在していました。

熊本では不肖のマイサンと一緒に、雄大な流れをたたえた緑川のせせらぎを聞きながら釣りをしたり、阿蘇山のふもとに広がる草千里にてお馬さんに乗ったりと、たった4日間ではありましたが、とにかく街の喧騒やデジタルライフから少し距離を置いた日々を過ごし、すっかりリフレッシュさせていただきました。

けど、やっぱり常にオンラインが好き(笑。

さて、前回のコラムでは、ペルソナやカスタマージャーニーで具体化した“ユーザーにとっての理想の世界”を、プロジェクトメンバー全員が同じ理解で思い描くための「共通言語」にするための具体的なアウトプット手法として、「デザインクライテリア」という可視化手法に触れました。

■ユーザーにとっての“理想の世界”を可視化し、チームで共有しよう!
~「デザインクライテリア」を用いた共通言語のつくり方【前編】~
https://www.infobahn.co.jp/ib_column/2641

今回のコラムでは、この「デザインクライテリア」が具体的にどういうものか? をご紹介したいと思います。

わたしたちのようにユーザーエクスペリエンスデザインに携わる者が日頃のコンテンツマーケティング設計やデザインプロジェクトで策定しアウトプットすることが多いデザインクライテリアの代表的なものに、

エモーショナル・デザインクライテリア

インタラクション・デザインクライテリア
の2つがあります。

 

エモーショナル・デザインクライテリア

前者のエモーショナル・デザインクライテリアは、”エモーショナル(情緒的)”という言葉が示すように、まさにペルソナにとって「情緒的な心の世界観」をビジュアルに表現したものです。

 

EmotionalCriteria-(1)

 

キモチや感情という、言語化しづらい情緒的な心象要素を、ペルソナ開発の過程で得られる被験者の発言や暮らしぶり、感じ取ることができる価値観などの要素をもとにビジュアル化した成果物です。

アウトプットの方法や作法はさまざまですが、一般的には

  • ペルソナにとって重要なキーワード(言語要素)
  • カラースキーム(色彩的要素)
  • イメージビジュアル(心象要素)

などを総合的に組み合わせることで、一枚の「世界観」に落としこみます。

このエモーショナル・デザインクライテリアが、その後製品やWebサイトやアプリなどの各々の個別テーマを企画・デザインするにあたって、「そのデザインはペルソナにとって適切か?」を情緒的な側面で判断する指針となります。

 

インタラクション・デザインクライテリア

後者のインタラクション・デザインクライテリアは、前者とは対照的に、ユーザーにとっての「行動の流れ」をビジュアル化した成果物です。

 

InteractionCriteria-(1)

 

このクライテリアは、ペルソナとあなた(御社の製品やサービス)とが関わる可能性のある接点(タッチポイント)や、各接点においてどういったことを期待しているか? もしくは逆に、してほしくないことは何か? の大きな経験の流れを可視化したものです。

こちらのクライテリアもアウトプットの方法はさまざまですが、時系列や行動の段階など、ペルソナにとっての”ゴールに向かっていく経験の流れ”を描いていくことが有効です。

このインタラクション・デザインクライテリアは、その後Webサイトなどのユーザー導線設計の際や、クロスチャネルでの施策設計を行う際に、とても便利な指針になります。

 

ひとつひとつのプロジェクトに関わる関与者が社内外の垣根を超えて増加しつつある昨今、みなさんも是非ご自身たちが関わられるプロジェクトの「共通言語」を、ユーザー中心発想でつくってみてください。

きっと少なからず、これまで以上に関係者にとっても、最終的にはお客様にとっても幸せをもたらすプロジェクトになると思いますし、そうなると信じています!

インフォバーンでは、これらのペルソナ開発~クライテリア化をサポートするワークショップ・プログラムのご提供や、設計・デザイニングのアウトソーシングも承っております。ご興味・ご関心をお持ちくださった方は、是非お気軽にご相談ください。

今回のお話はこれにて結びとさせていただきたいと思います……

次回は、マーケターなら誰でも知りたい、生活者自身が言葉にできない「真実の95%」。ユーザー心理の奥深~くに潜んでいる「潜在ニーズ」を知るためのインサイト技法について迫る予定、予定です。

それでは、秋風が頬を撫で始める頃にお目にかかるまで、晩夏のサウダージなひとときをお過ごしください。

今回もご笑覧いただき、ありがとうございました。

井登友一

取締役 副社長

デザインコンサルティング企業においてUXデザインの専門事業立ち上げに参画後、2011年に株式会社インフォバーン入社。UXデザイン/サービスデザインを中心としたイノベーションデザイン支援事業部門「INFOBAHN DESIGN LAB.(IDL)」主管。