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2015.2.2

メディア運営で重要なのは人間性。Ginzamarkets「FOUND Conference in Tokyo」レポート

 

2015年1月20日に行われた「第2回FOUND Conference in Tokyo~コンテンツマーケティングカンファレンス~」に参加してきました。

本カンファレンスは以下の3部構成。

  • 第1部「見込み客との接点をつくり、顧客育成のためのコンテンツ企画とは?」
  • 第2部「コンテンツ制作体制をどう構築しているのか?」
  • 第3部「コンテンツをプロモートするためのSEOとソーシャルの取り組みは?」

 

今回はインフォバーンのメディアプロデューサー・長田真がモデレーターを務めた、第2部「コンテンツ制作体制をどう構築しているのか?」を再録いたします。

 

パネラープロフィール

㈱nanapi 事業戦略室 中島義久氏(写真左)
ユーザー投稿による生活の知恵が集まる情報サイト「nanapi」を運営。広告に対して第三者的な立場の100%ペイドメディア。
㈱三越伊勢丹 EC事業部 事業戦略担当 営業本部 菅沼武氏(写真左から2番目)
日本の最新ファッション文化を配信するニュースメディア「FASHION HEADLINE」の担当者。メディア運営を得意とするイード社との合弁会社で運営。オウンドメディアとペイドメディアの中間的存在。
㈱ドクターシーラボ マーケティング部 eコマースグループ 笠井友嗣氏(写真左から3番目)
化粧品・美容に関する情報を発信するメディア「美肌総合研究所」を運営。自社商品のインバウンド・マーケティングを狙った、100%オウンドメディア。

 

ビジネスモデルも体制も違うそれぞれのメディアは、どのように運営されているのでしょうか。

 

自社でメディアを運営する体制やその特徴は?

三越伊勢丹:編集長と編集者6人、外部の専門家で構成。ライティングに関しては100人規模のライターネットワークでまかなっている。

ドクターシーラボ:編集はひとりで行っている。細かいところはすべてアウトソーシングでまかなっているが、コンテンツのテーマ制作・タイトル・キーワード構成・ライティング・検証をすべて共同で行っている。メディアづくりの背景としては、化粧品業界には薬事法があり、悩みを抱えている顧客に対して、こういう言葉でお伝えしたいということがあっても言えない・言ってはいけないということが多々あった。その情報をほかの方法で発信をしたいという思いからメディアを立ち上げた。

nanapi:2人の編集社員と25~30人の編集スタッフで運営している。編集スタッフもディレクションをする。

 

KPIは?

三越伊勢丹:企業としてWebメディアビジネスを本気でやるということが大きなKPI。ニュースメディアとしては、営業的な価値を含めPVをKPIとしている。現在は月間PV250万。UUが80万。今後はUUを増やすこと、記事の質にこだわっていくことが目標。メディア立ち上げ当初のKPIは、このメディアを2年で単月黒字にすることだった。これは期限の1カ月前に達成することができた。

ドクターシーラボ:「美肌総合研究所」については、SEOの面でトラフィックやページごとの滞在時間をKPIとしている。ページ数は多くないが、一つひとつページの質にこだわっているので、その点に注目している。もう1つは、eコマースへの影響。メディアからの流入はどれだけあったか、売り上げの変化などを見ている。

nanapi:サービスづくりのフェーズごとにKPIは変わるが、現状は訪問者数を上げることと、その結果として広告収益を上げること。

 

スマホ対応・CMSは?更新頻度は?

三越伊勢丹:インターフェイスについては、ハイファッションブランドの広告を意識して、画像の美しさやブランディング面でのバランスを見ながらサイトをつくっている。FASHION HEADLINEでは合弁会社である株式会社イードのCMSを使用している。イード社がメディアを10媒体ほど持っており、二次配信のためのシステム基盤があったので、イード社にのるかたちで、早期にPVを伸ばすことに成功している一方、横軸なので最大公約数の制限を受ける。記事更新は1日約15本。

ドクターシーラボ:WordPressを使っており、更新はアウトソーシングでお願いしている。

nanapi:WordpressといったCMSは更新のしやすさを担保できるというメリットがあると思う。弊社は自社にエンジニア・デザイナーがいるため、より柔軟性を求めて自社開発を選択している。

 

ライターとのコミュニケーションについて

三越伊勢丹:更新のルールや記事作成のトンマナの共有をしっかりすること。三越伊勢丹の記事でも他社記事でも一辺倒にならないよう、記事の中立性を保つことは常に意識してもらっている。

ドクターシーラボ:直接ライターとのやりとりはなく、アウトソーシングでディレクションしているが、共同体制だということを意識して丸投げはしない。記事ひとつひとつにきっちり目を通して質を落とさないようにすることを心がけている。

nanapi:記事のフィードバックを適切にすること。信頼関係を築くために1クォーターごとに面談を設けて、人間性・趣味・嗜好を把握すること。モチベーションを管理するために月間でMVPを決めている。(執筆時間やPVやSNSでバズったかどうかなど)

 

リスクヘッジは?

三越伊勢丹:トラブルを避けるためソース元をしっかり確認すること。編集側で検閲を入れること。ニュースはスピードが命だが、質を保つ必要もあるので、質・スピード両方のバランスを見極める。

ドクターシーラボ:個々のライターと直接やり取りすることはないが、更新前には必ず社内チェックのフローを通している。薬事法の関係でどうしてもはじかれてしまう部分もあるが、そこはライター側が注意深く書いてくれている。

nanapi:How Toなので間違いがあってはいけない。その対策としてとにかくダブルチェックをしっかりする。ライター同士でチェックしあうこと、著作権・肖像権など確認することに注意している。

 

メディアを立ち上げる際のアドバイス

三越伊勢丹:新しいことを始めるときに、助走の部分が長くなってしまい、スピードをもって取り組むことは難しいかもしれないが、まずは「やってみる」こと。社内で協力者を得ること、企業にとってプラスになるツールだということをアピールすること。

運用に関しては、継続することは苦労の連続で、立ち止まってしまうこともあると思うが、中長期的なゴールを見据えて行動すること。

ドクターシーラボ:リソースが足りず、でも運用しなくてはいけない状況になったときに、助けてもらえるような人間関係を築くこと。アウトソーシングをうまく利用できる体制をつくること。あとは机上であれこれ悩まず「やってみる」こと。

nanapi:悩みすぎないこと。自分たちのサービスをどうしていきたいのか考えること。nanapiは「できることを増やす」というテーマでメディアを運営しているので、こだわりを持って積み上げること。つくったものをよく省みること。

 

まとめ

メディアとしてのnanapiは6年目、FASHION HEADLINEと美肌総合研究所は3年目。若いメディアではありますが、それぞれが高い目的意識を持ってメディア運営に取り組んでいることがわかるセッションとなりました。

3社ともに、メディアを運営していく上で重要なのは「とにかくやってみること」「協力体制を築くこと」をあげているのが印象的でした。移り行くメディアの波の中で、確固たる意思とメディアへの愛が、成長を続けるメディアとその運営者の条件だと言えるのではないでしょうか。

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