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「ゴルゴ13」も納得!の3人の顧客

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「俺は、ただ……依頼者が絶対的に求める、技量と、価値観を身につけるよう心がけているだけだ……」

 

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これは「ゴルゴ13」(戦域ミサイル防衛 TMD幻影)に出てくるゴルゴ13のセリフです。
台湾の要人が「国際的に孤立した台湾が中国の圧力をはねつけて、あなたのように強く生き残るためにはどうすればいいのか?」と、ゴルゴ13に尋ねたときに、彼が返した言葉です。

ゴルゴ13ほど顧客第一主義を貫いて、信頼を得ているプロフェッショナルも珍しいでしょう。依頼主が死んでも職務を全うする責任感。約束前に必ず現れる几帳面さ。あとでギャラの追加を提示されても断る誠実さ。どれも顧客第一主義あってのこと。これはまさにコンテンツマーケティングの思想と合致します。

ゴルゴ13と同様に、コンテンツマーケティングの基本は顧客第一主義です。しかし顧客第一主義ではあるものの、すべての顧客を対象にするわけではありません。顧客の見極めと選別が必要になります。ゴルゴ13も顧客選びには細心の注意を払います。「顧客を選ぶ」というと一見尊大に聞こえますが、企業が生き残るためには少しでもムダなコストを抑え、最大効率を図らなければなりません。そのためには顧客の選別をしていくことで、「優良顧客の育成」を最重点目標にすることが求められます。

「顧客を選ぶ」ためには、まず3人の顧客がいることを見極める必要があります。

 

1人目は、「なんちゃって顧客」

「なんちゃって顧客」は、インセンティブ狙いのオーディエンスです。検索で「無料」「プレゼント」「キャンペーン」などを探しまわっているオーディエンスなので、単にPV数を増やすのが目的であれば、これらのキーワードを埋めておくという手もあります。しかし、この「なんちゃって顧客」は、本来の目的が「タダ」なので、お金を払う意志はありません(いつか顧客になる可能性がないとは言えませんが)。

ここで犯しやすい過ちは、“数打ち当たれば”の論理で「なんちゃって顧客」もターゲットにした施策を打つことです。これはターゲットを絞り込むことでパイを減らしてしまう、という不安から最大値を狙うために起こります。しかし、ターゲティングなきマーケティング施策はとても非効率的なので避けなければなりません。コンテンツマーケティングにとって重要なのは、「顔が見えない多くのオーディエンス」を狙うことではなく、「顔が見えるたったひとり」に焦点を絞ることなのです。

ゴルゴ13のもとにも、このような「なんちゃって顧客」はときどき現れます。自分の利益のためにゴルゴ13をハメようとしたり、ただの好奇心で口実をつけて会おうとしたり、ゴルゴ13を騙して違う目的で利用しようとしたり……「信頼」を重んじるゴルゴ13は、当然このような行為をする「なんちゃって顧客」は無視するか、すみやかに抹殺します。

 

2人目は、「見込み顧客」

「見込み顧客」は、商品やサービスを購入してくれる可能性のあるオーディエンスのことです。見込み顧客はまだ商品やサービスを知らない可能性がありますが、コンタクトやコミュニケーションを取ることができます。また何らかの「問題・悩みの解決」を探し、どの商品やサービスを利用するかを検討している段階です。よって、見込み顧客に「問題・悩みの解決」をどれだけ提示できるかが、見込み顧客を顧客に育成していくカギを握ります。

そのような見込み顧客を抽出し、ターゲットの選別、棲み分けをしていくことで、より効率的なマーケティング施策を行うことが必要になります。「見込み顧客」を選別するためには、アンケートや顧客の購入履歴などから、「見込み顧客」が求める商品の見極めやアップセル(別の商品の販売)の可能性を探る方法が効率的です。

コンテンツマーケティングでは「見込み顧客」に存在を知らせて、訪問してもらう必要があります。とはいえ、従来型の企業都合の一方的な情報を不特定多数のオーディエンスに対して発信する「土足マーケティング」では、オーディエンスの興味・関心を惹くことは難しいですし、情報洪水の渦に埋もれて、オーディエンスに見つけてもらうことは至難の業です。

では、どうすればよいのか?

ゴルゴ13は自ら営業をすることは一切しません。それどころか、常にどこにいるか不明のゴルゴ13へのコンタクトは困難を極めます。それでも世界中から彼への仕事の依頼が後を絶たないのは、冒頭の彼のセリフにあるように「依頼者が絶対的に求める、技量と、価値観」を持っているからにほかなりません。ここでコンテンツマーケティングの定義にちょっと触れてみましょう。以下はCMI(Content Marketing Institute)からの引用です。

――コンテンツマーケティングとは、適切で価値あるコンテンツを作成し、配布する技術である。ターゲットとなる見込み客のことを理解し、これを明確に定義することにより、見込み客を引き寄せ、獲得し、見込み客と関わり合い、見込み客に購買に結びつく行動を促すことを目的とする――。

ゴルゴ13は1960年代からずっと、このコンテンツマーケティングを実施していたということなりますから、本当に驚きです。また彼は、依頼主に会う前の事前調査を決して怠りません。あらゆる情報網を駆使して、依頼主および依頼主に関連するであろう情報について徹底的に調べ上げます。これは自身のリスクを避けるためと、依頼主に余計な心配をさせないためです。

 

3人目は、「顧客」です

「顧客」とは、一度でも商品を購入したりサービスを利用したオーディエンスです。「顧客」はさらに新規顧客と優良顧客の2種類のレイヤーに分けることができます。新規顧客に対しては、リテンション(顧客維持)を図ることで優良顧客を育成していきます。優良顧客は、より満足度とロイヤルティが高く、コンテンツを共有・拡散してくれるエヴァンジェリスト(伝道師)であり、より高額の商品を購入(アップセル)してくれるオーディエンスです。

これらを理解しておくことによって、それぞれの見込み顧客に適切なタイミングで、適切なアプローチができるようになり、見込み顧客一人当たりの収益率が改善されます。見込み顧客から優良顧客になるまでの購買ファネルの各ステップに応じて入念に設計し、効果的なコンテンツを配信することで、顧客エンゲージメントの向上を図ります。

ゴルゴ13はリスク回避のため、ひとつの案件で一度会った同じ顧客とは二度と会いません。ただし、同じ顧客であっても依頼内容が異なればもちろん新しい仕事として受注します。そして、依頼額の大小に関係なく「信頼に足る顧客」のみの顧客としています。また世界中の政府機関や要人などの超優良顧客がリピーターになっているのも大きな特長です。

3人の顧客についてまとめます。

1)なんちゃって顧客
「顔の見えない多くのオーディエンス」を狙うのではなく、「顔が見えるたったひとり」に焦点を絞る。

 

2)見込み顧客
「依頼者が絶対的に求める、技量と、価値観」を身につけ、依頼者(見込み顧客)に見つけてもらう。

 

3)顧客
継続的な信頼関係を結び、長期的かつ安定した売り上げの向上につなげる。

都度、新規顧客をゼロから開拓するよりも、見込み顧客を集めて、動かし、優良顧客に育成していく方がコストパフォーマンスが高く、長期的な顧客エンゲージメントを築きやすいことが、コンテンツマーケティングを活用する最大のメリットでもあります。このようにコンテンツマーケティングでは、見込み顧客や顧客の購入意欲を喚起するよう情報設計を行います。最適なコミュニケーションを続けることで優良顧客を育み、継続的な信頼関係を結ぶことが、長期的かつ安定した売上げの向上につながります。

大事なことなので2回言います。

「俺は、ただ……依頼者が絶対的に求める、技量と、価値観を身につけるよう心がけているだけだ……」

 

成田幸久

フェロー。AMEX会員誌、『ワイアード』日本版、JAL機内誌などで副編集長を務めた後、2004年インフォバーン入社。ニフティのブログサービス『ココログ』の立ち上げ時に、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほかにPC・モバイルと連動した通販誌『カタロガー』編集長、セブン-イレブンとヤフーの共同事業メディア『4B』の編集長を務めるなど、数多くのWebメディアの企画・運用を手がける。