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【海外事例】注目のオンラインゲーム。マーケティングにおけるそのポテンシャルとは

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気軽にスマートフォンのゲームが遊べるようになった現在、世界のゲーム人口は30億人を超えたと言われています。その市場の拡大につれ、ゲームがマーケティングや広告媒体としても注目されるようになりました。ゲームをマーケティング戦略に取り入れたいと考える人も増える一方で、ハードルが高いと感じている人もいるのではないでしょうか。今回はオンラインゲームにおいて広告やマーケティング施策が行われた事例をご紹介いたします。

コンサートの概念を変えた、Ariana Grandeのイベント:Fortnite

YouTube: https://youtu.be/gGYElBtjytU

2021年8月7日~9日の期間、世界的人気のオンラインゲームプラットフォーム「Fortnite」内でAriana Grandeがヴァーチャル・ライヴを行ったことは大きな話題となりました。Marshmello(2019年)とTravis Scott(2020年)に続き、アーティストがライヴを行うのはこれで3度目。女性アーティストとしては初のライヴ・イベントとなりました。

この「Rift Tour feat. Ariana Grande」は、3日間で計5回、世界各国の人が見られるようにさまざまな時間に渡り配信されました。演出はオンラインゲームならではのCGをふんだんに使い、幻想的な世界でその楽曲を堪能できるような演出で、彼女のファンだけでなく、ゲームファンやゲームメディアからも「今までとは違う演出の連続でスゴイ」「これまでで最も印象的なイベントだった」という声があがるほと高評価でした。

さらにゲーム内でのプレイアブルキャラクターをAriana Grandeにできるスキンが有料販売されたことも話題になり、このヴァーチャル・ライヴの前後にはSNSや動画プラットフォームでも拡散、Twitterのトレンド入りも果たし大きな盛り上がりを見せました。これには普段FortniteをプレイしないAriana Grandeのファンたちも、ライブのためだけに有料スキンを購入して参加したと言われています。

Twitter: https://twitter.com/ariana_japan/status/1423129461373890564

ビューワー数はピーク時で1000万人。また、有料スキンなどを含めたコンサートでの収益は2000万ドル(約20億円)以上で、Ariana Grandeのイベント史上最高の利益率だと言われています。アーティストのビジネスにおけるマーケティングの仕組み、演出、興行規模、収益すべての点において既存のエンターテインメント業界の常識を覆したと言われており、オンラインゲームの集客力や影響力を認識できる事例となりました。

ピザ×オンラインゲームの親和性に注目してスポンサードしたオンラインゲーム番組:Pizza Hut

twicth: https://www.twitch.tv/videos/809955441

ピザレストランや宅配ピザチェーンとして有名な「Pizza Hut」は、「Amazon」が提供するライブストリーミング(ライブ配信)サービスのTwitchに注目。2020年11月、Jerichoという配信者とともにゲーム実況のライブ配信動画シリーズ「Friday Night Bites」をスタートしました。ピザをテーマに、有名人、ゲーマー、インフルエンサーが集まり、さまざまなビデオゲームに挑戦。これがが好評を博しTwitchでの第1話から第5話までの視聴者数は540万人、総視聴時間は2,600万分を超え、好評を博しました。

さらに2021年に、eスポーツプラットフォーム「Twitch Rivals」の公式マーケティングパートナーとなったPizza Hut。企業の名を冠したTwitchの配信者やプロゲーマーたちが対戦するeスポーツイベント「Friday Night Bites presented by Pizza Hut」として番組をアップグレードさせて帰ってきました。Twitchの配信者やヒップホップアーティストたちをゲストに迎えゲームを楽しんだり、Pizza Hutでよく注文するメニューを紹介するなどといった番組内容で、Twitch Rivalsの平均視聴数は毎回約250万人と、こちらも成功を収めています。

ピザとゲームの親和性はもちろん、金曜日の夜にゲームを見ながらピザを食べよう!というわかりやすいコンセプトが受け入れられ、参加者を巻き込んでいったものと思われます。

メタバースとファッションブランドの親和性:Vans RobloxにおけるVans Worldの世界

Vans Worldのスクリーンショット
Screenshot: https://www.roblox.com/vans

世界中の子どもたちを夢中にさせているオンラインゲームプラットフォーム「Roblox」。ペットを育てたりするものから対戦型シューティングまで、さまざまなゲームを基本無料で遊べることが人気を呼び、ティーンエイジャーを中心にユーザーを集めているプラットフォームです。2021年9月の時点で毎日のアクティブユーザーが460万人に達しており、ファッション企業とのコラボレーションの成功例も多いことで注目を集めています。

スニーカーで有名なファッションブランド「Vans」は、このRobloxでスケートボードが楽しめるメタバース空間「Vans World」を、RobloxとゲームスタジオThe Gang Stockholmと共に手掛けています。Vans Worldでは、Vansのスニーカーなどをアバターに着用させられるほか、フレンドのキャラクターとスケートをして遊べます。また、実在するスケートパーク“House of Vans London”も再現されています。

YouTube: https://youtu.be/WeoieHvkhqk

この施策の特徴は、他のファッションブランドと異なり数日や数週間の期間限定のマーケティングではない点です。バーチャルなバッグが実際のバッグの販売価格よりも高い値段で売れたという事例も他ブランドでありましたが、アバターに着用させるスニーカーの販売額を目的にするよりも、ブランドへの親しみや愛着をもたせるために「体験」を提供することを目的にしているようです。これらの活動は、長期間にわたってブランドの好意度を維持させるのではないかと考えられています。

ゲームと関連が薄かった企業も次々とオンラインゲームに注目している

近年、ファッションのハイブランドなどをはじめとして、これまでまったくゲームと繋がりがなかったような企業も、オンラインゲームやライブ配信サービスを利用したマーケティングを行う事例が増えてきています。プラットフォームとしてはテクノロジーの進化により、提供できるコンテンツの幅が広がったということと、リアルタイムでのオンラインイベント参加を楽しめるようになったというユーザー側の認識の変化がうまく噛み合ったといえるでしょう。さらに今後も注目されているのはメタバースでのマーケティングです。オンラインゲームだけでも多数あり、それだけにとどまらないメタバースのプラットフォームが次々と登場している現在は、SNSの黎明期を思い起こさせるようにユーザー獲得競争が激化していくことでしょう。
ただしブランド体験をオンライン・オフラインと一貫して提供するためには、そのような「どのプラットフォームが今流行っているか、どのぐらい集客できるか」ということから始めるのではなく、どんな目的で行いどんなメッセージや体験を伝えるのかからスタートしていくのが良さそうです。インフォバーンではそのようなメッセージをはじめとするコミュニケーションの設計からお引き受けいたします。ぜひご相談ください。

Illustration by Getty Images

EX Journal編集部

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