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【海外事例】すべては、企業の透明性を伝えるためにーー驚きの3つ手法

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かつて企業内の情報は、多くのものが機密情報とされ外に出すことはタブーとされていました。料理のレシピ、取引先の詳細、従業員の給料まで、それを秘密にすればするほど成功に繋がっていたのです。しかし現在、それらを隠せば隠すほど、従業員エンゲージメントの低下やブランドに対する親近感が生まれにくいなど、逆効果となるリスクが高まっています。特に若いZ世代に置いてはその現象が顕著で、透明性がない企業には不信感さえ抱く可能性があるとも言われています。本記事ではそんな従来の常識を打ち破り、企業内の情報を開示することで透明性のある企業であることをアピールした手法を3つご紹介いたします。

全社員の給料を公開!:Buffer

Bufferのキャプチャ
screenshot:https://buffer.com/salaries

複数のプラットフォームをまたがるSNSアカウントを一括して管理することができ、予約投稿などができるSNS管理サービスの「Buffer(バッファー)」。この企業は、CEOも含めた全社員の給与リストを開示したり、世界中のメンバーをタイムゾーンごとに確認できるなどの革命的な戦略を打ち出しています。Bufferは、“透明性の追求”という企業文化で知られており、その戦略は極端ともいえるほどです。

同じページには給与の計算方法が表示されており、「役割」×「場所ごとに生活にかかるコスト(割合)」で給与が計算されると表明しています。

このように透明性を高めるメリットとしては、社内の給与における不平等を是正し、不満を抑えることができます。

給与を開示していると多くの従業員からの改善を求める声や提案が生まれ、結果的には数年ごとに給料公式を調整することにつながるそうです。それにより、今では、世界中の人にとって給料面でも魅力的で不平等がない透明性の高い会社となったのです。

このように透明性を極限まで高めることで、「経営陣が隠し事をしているのではないか」というような従業員が疑心暗鬼になることを少なくする事ができます。リモートワークで仕事をする従業員同士が直接会う機会が少なかったとしても、こうした取り組みが組織への信頼感の醸成につながり、従業員のモチベーションの維持にもつながっているそうです。

また、給与の透明性は魅力的な人材を採用する点でも役に立っているようです。同社が2013年後半に給与と給与計算式を公開した際、1か月の求人応募は1,263から2,886に上昇し、約229%増加したそうです。

Bufferは、2012年から世界中にいるメンバーに対して「フルリモートワーク」という働き方を採用しています。世界中にメンバーが分散していることで、顧客からのメールの80%に対して、1時間以内に回答できるようになったという利点があります。そう言った意味においても、世界中から魅力的な人材を集めることは、ビジネスの成長と直結しており、このような戦略をとったBufferは広く注目を集めることで地名度を上げ、優秀な人材を集めることに成功しました。アプリ開発などのIT業界では、腕の良いエンジニアやプログラマーをいかに雇用するのか、というのは会社の生き死にを分けるぐらい大事なこと。透明性は魅力的な人材確保にも効果を発揮し、Bufferは業績においても現在でも継続して成長し続けています。

原材料からパートナー企業まで、SNSで丁寧に情報を開示:Girlfriend Collective

Girlfriend Collectiveのキャプチャ
screenshot:https://girlfriend.com/

「Girlfriend Collective」は、プラスチックゴミ問題に取り組むアスレジャーブランドです。シアトルを拠点とするこのブランドは、環境に優しいと認定された染料とペットボトルからリサイクルされた素材を使って柔らかい繊維を作り出し、レギンスやヨガウエアといった身体にフィットするデザインのスポーツアイテムを販売しています。

ブランドが重きを置いているのは、製造過程や原材料における「透明性」であり、施設やパートナー選びに至るまで、プロセスのあらゆる部分が非常に丁寧にウェブサイトで公開されています。透明性を謳った企業であっても、ここまで丁寧に情報を公開しているところは無く、CSRという観点でも一目置かれています。

また、Black Lives Matter運動に際して、会社の多様性に関する理念をソーシャルメディア(Instagramなど)に「完全な透明性」という内容で投稿しました。

Instagram:https://www.instagram.com/p/CIYxDBlgoCk/

上記の投稿では、21人という規模ではあるものの組織内の人種の割合・人数について明らかにし、どの団体に寄付するのかの詳細についても明記しています。

このような企業の姿勢が多くの消費者の支持を得て、会社は順調に成長。2016年創業時の売り上げは800万ドルでしたが、2021年には1億万ドルへと大きく飛躍しました。

「Transfarency」というキーワードのもとに、料金設定に透明性を:サウスウエスト航空

サウスウエスト航空のキャプチャ
screenshot:https://www.southwest.com/html/air/transfarency/

サウスウエスト航空は、世界最大の格安航空会社とも言われる米国の航空会社です。同社のマーケティングキャンペーン「Transfarency」では、料金における透明性を打ち出すことで、顧客が格安航空会社に持っている不満・不安を払拭し、信頼に変えました。

Transfarencyとは、同社が作り出した造語ですが、顧客が誠実かつ公正に扱われ、運賃も実際に低額であるという哲学です。予想外の荷物の料金、変更料金、または隠れた料金設定がないことを宣言しています。

Twitter:https://twitter.com/SouthwestAir/status/652303494104281088

また、同社はソーシャルメディアでも#FeesDontFly(サーチャージ料は取りません)を使うことで、企業における透明性が企業の哲学であることを示しています。

このハッシュタグは2022年現在も、Twitter、Instagram、Facebookなどで活用されています。Facebookだけでも500万近くのいいねを獲得し、サウスウエスト航空が競合他社と一線を画す企業であるという信頼感を得ることに繋がりました。

また#FeesDontFlyと名を冠したイベントも行われました。他のエアライン利用社へ同社の優位性を説明した後、他のエアラインに払ったサーチャージ料を相殺したり、次のフライトでも選んでもらえるようにギフトカードや無料チケットを提供し、リピーターを獲得しました。

近年ではTransfarencyを含めたDEI Progress Updateというプログラムにて、多様性、平等、インクルーシブを軸に、雇用、奨学金制度、障害者採用などの社内方針をまとめ、発表。企業内の情報開示にも積極的であることを示しています。

サウスウエスト航空のキャプチャ
※上記画像はhttps://www.southwestairlinesinvestorrelations.com/news-and-events/news-releases/2021/09-21-2021-160114950より引用

透明性は、企業の「当たり前」になっていく

これらの事例を見ると、従業員や経営層の人種や給与といった情報を開示することは企業にとってとてもハードルが高いことであると思われますが、だからこそ注目を集めることができ、ブランディングやマーケティングにも寄与し結果を出していることがうかがえます。

ただし人々がブランドを選ぶ新たな基準として透明性が加えられる時代はもう到来しています。これらの事例は今後、めずらしいことでなくなってくるのではないでしょうか。今から企業内のあらゆることを開示し説明できるように、企業風土や仕組みを整えておくことも重要だと考えます。インフォバーンでは、企業・ブランドの透明性を伝えるストーリーを発見し情報発信することを得意としています。ぜひお気軽にご相談ください。

Illustration by Getty Images

EX Journal編集部

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