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ブランデッドコンテンツとネイティブアド

株式会社インフォバーン ロゴ画像

こんにちは。インフォバーンの今田です。

11月第2週に開催されたアドテックニューヨークに続き、11月12日、シカゴで開催されたネイティブアドサミットに参加してきました。ブランドと代理店とメディアが250名ほど集まり、それぞれの立場でネイティブアドの現状と事例を共有し合うというカンファレンス形式のサミットでした。

 

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参加メディア企業は、Huffington Post、Mashable、New York Times、Washington Postなど。今回は参加していませんでしたが、ギズモード・ジャパンのライセンス元であるGAWKER Mediaもかなり積極的にネイティブアドに取り組んでいます。

昨今、バナー広告はどんどんプログラマティックになっていき、効率化することによって効果を上げる方向に向かっていますが、それと対比する形で、ブランドのストーリーをコンテンツにしてユーザーに丁寧に伝え、ソーシャルで拡散させていくコンテンツマーケティングの有力なディストリビューション手法としてのネイティブアドが注目を浴びています。

その市場規模は2012年時点で16.3億ドル、2017年には45.7億ドルに成長するという予想が発表されており、ディスプレイアドの成長率を超えるとされています。比較的早くからネイティブアドに取り組んできたForbesは、その売上が広告売上の30%を越えたとのこと。実際、ギズモード・ジャパン、ライフハッカー[日本版]などを擁するメディアジーンの売り上げ比率も、それよりかなり上の割合で推移しています。

 

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出典:eMarketer

 

ネイティブアドとは

ネイティブアドという言葉自体は、この数年のあいだに新しく出てきたいくつかの広告の手法をまとめて定義し直すために使われているもので、その定義も解釈も人によって違う、というのがアメリカの現状です。このサミットにおいては、

Native advertising is a form of paid media where the ad experience follows the natural form and function of the user experience in which it is placed.

つまり、ネイティブアドとは、

「ユーザーがいつも使っているメディアもしくはサービスの中で、自然になじむデザインや機能で表示されるペイドメディアの一種」

と定義されていました。

ネイティブアドには、大きく分けて、ソーシャルプラットフォームが自社のサービス展開のコンテンツの一部に差し込む形のプログラマティックな広告枠の形態と、メディアがブランデッドコンテンツを制作し、メディアのコンテンツの1つとして組み込むコンテンツマーケティングの形態があります。

前者は、YouTube、Facebook、Twitterなどのスポンサード枠(各社呼び方が違いますが)として、すでにお使いになっている宣伝担当者の方も多いと思います。Pinterest、Instagram、Tumblrなどもネイティブアドの枠を、これから拡大が期待される収入源として展開しています。

後者は、いわゆるスポンサードポストや記事広告と呼ばれるコンテンツセントリックなネイティブアドとなります。日本でも弊社も含め、早くから取り組んでいるメディアがいくつかあります。

いずれも、コンテンツマーケティングにおけるディストリビューション手法として非常に有効な手段と考えられています。特に、メディア側が語るネイティブアドは、ブランドのストーリーをコンテンツとして、メディアが抱えるオーディエンスに確実に届けていくことに注力をしており、いわゆるブランデッドコンテンツと隣り合わせで語られます。各社、ブランデッドコンテンツの制作チームを持ち、ブランドのストーリーを各々のオーディエンスに適切な形で伝えていくネイティブアドを展開しています。

いくら秀逸なコンテンツをつくってWeb上に置いてみても、自然にバイラルする可能性は非常に低いということは、すでに多くのマーケターの方々が認識されていることだと思います。コンテンツとディストリビューションを組み合わせて、初めて伝えたいことをオーディエンスに届けることができると言えます。

 

オーディエンスの態度変容を促すネイティブアド

信頼するメディアが語るブランドのストーリーは、ディスプレイアドに比べ、オーディエンスの態度変容に影響し、共感を得て、共有させ、そして実際の購買行動につながるということは、「Gizmodoの記事はどれだけ人の心を動かしているのか?を分析してみた!」(MARKETING METRICS Lab.)という記事からも読み取れます。さらに、以下の調査結果もそれを表していると言えるでしょう。

 

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出典:IPG Media Lab and Sharethrough

 

実際にネイティブアドが効果を発揮し、オーディエンスの共感を得て、行動され、共有されるには、

  1. 読者に信頼されているメディアであること
  2. 企業目線ではなく編集部目線での記事であること
  3. 編集記事と同じフォーマットでの記事であること
  4. 記事が面白いこと

の4つが必須の条件になってきます。

自社の商品やサービスをきちんと消費者に伝わるように伝えたいというときに、コンテンツマーケティングは有効な手段ですが、コンテンツの内容やクオリティだけではなく、どのように伝え、そして拡散させるかという、ターゲットに合ったメディア選定と、シェアされるまでの構造の設計をきちんと行い、取り組むことが大切ですね。

メディアを起点としたコンテンツの拡散の構造については、おもしろい結果が出ていますので、また別途データも交えてお話したいと思います。

 

今田素子

同志社中学、同志社高校卒業。1989年、同志社大学経済学部卒業。1991年、イギリスの Sotheby’s にて History of Art course 修了。同年、株式会社同朋舎出版に入社。海外版書籍、雑誌の編集を行う。1994年、雑誌『ワイアード』日本版のビジネス・マネージャーを務める。1998年、インフォバーン設立。代表取締役に就任。2008年、メディアジーン設立。代表取締役に就任、現在に至る。