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2014.6.27

【書評】先見の明はウェブにあり!—『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』

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こんにちは。プロダクション部門コンテンツ開発ユニット所属の菅原です。本日は弊社の代表である小林弘人の新著『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』をご紹介いたします。

「社会はウェブをコピーする」

これがウェブと現実世界の新しい関係を描いた本書のコンセプト。いままでウェブは、現実世界の補完的なものとして捉えられてきました。しかし、最近では「オープン化」や「シェア」というこれまでウェブ特有の考え方とされてきたものが現実世界に持ち込まれ、大きな成功を納めている例が増えています。「社会はウェブをコピーする」ことで、ビジネスが大きく変わろうとしていることを本書は伝えています。

なかでも特に私の興味を引いたものは、元NASAのエンジニアのTimothy Childsと雑誌『Wired』共同設立者のLouis Rossettoという異色のコンビがはじめた、アメリカのチョコレート工場「TCHO(チョウ)」のケースです。

 

「何をするか?」ではなく「何を与えるか?」

この工場が取り入れたウェブ的な考え方は「オープン化」。カカオの生産者や生活者に対して加工過程を「オープン」にして、ユーザー視点のフィードバックを商品改良に生かしているとのこと。品質に優れ、生活者からの支持を集めることに成功した同社の商品は、2012年に米「ベスト・チョコレート・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、成果を残しています。

「TCHO」を成功に導いた要因としては、本書で取り上げられている「オープン化」のほかに、もう1つの切り口があると私は感じました。それは「特別な体験」です。「オープン」にするということは、ただ「加工過程に参加する」ということだけではなく、「商品を自分ゴト化してもらう体験」を与えることになります。ウェブ特有の考え方を「コピー」し、「オープン化」したら終わりではなく、その先で「何を与えるか」が非常に大切であり、「社会はウェブをコピーする」という言葉の本質なのだと思います。

 

本当の意味で「顔の見える」存在になる

「体験」を提供することの重要性を感じたのには理由があります。先日取材した、福島県のある生産農家さんとの出会いでした。これまで「つくり手」と「たべ手」と分断されていた関係をウェブによって「オープン」にし、収穫体験やBBQなどリアルイベントを開催。それを通じて、「つくり手」は「たべ手」との距離を縮めることに成功しました。バーチャルなつながりをリアルなものに変換できたことで、「つくり手」が「たべ手」と年間契約をして生産物を販売する日本ではまだ珍しい取り組みもスタートしました。生活者にとって生産者がただの「つくり手」ではなく、本当の意味で「顔の見える」存在になるという「体験」を提供しているというところにこの取り組みのおもしろさを感じています。

今後、「TCHO」の例のように、生産活動に生活者を巻き込んでいくことで、生産活動だけではなく、「6次産業化」にもさまざまな可能性が出てくるのではないかと、本書を読んだことによって思うようになりました。

ウェブ特有の考えのもと世界が変化していくという考え方を提唱する本書『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』。今後どのようにウェブと現実世界が交わりビジネスが変化していくのか、そのように考える人にこそ、手に取ってお読みいただきたい1冊です。

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