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【アドテック-講演レポ #2】クロスデバイス時代の効果的なオンライン広告配信とは?

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9月16日(火)から3日間に渡って開催されているアドテック2014。「クロスデバイスにおける個人特定のジレンマ」をテーマに行われた、初日の公式セッションをレポートします。

スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、デジタルコンテンツのタッチポイントも拡大。ユーザーは複数のデバイスを利用するようになり、デバイスを横断してのユーザートラッキングはオンラインマーケティングにおける必須課題となっています。

個人情報の取り扱い方もますます慎重になってきているなか、効果的な広告配信には何が重要なのでしょうか? ターゲティングソリューションを提供する2社の事例から、クロスデバイス・マーケティングとプライバシーの保護について考えます。

 

購買意思の決定において力を持つデスクトップ

近年アジアで急成長を遂げているリターゲティングテクノロジー企業Vizuryからは、商品担当VPのスプラ・クリシュナン氏が登壇。ユーザーのマルチデバイス利用時における購買行動の変化を説明しました。

近年、世界中のユーザーが複数デバイス、複数チャネルをまたいでサービスにアクセスするようになりました。しかし、最終的に購買に至る際にはいまだにデスクトップPCが使われている事が多く、購買意志の決定プロセスにおいてクリティカルな存在だといえます。モバイル端末から得られる情報量や検索時のユーザー・エクスペリエンスは、デスクトップに比べるとまだ発展途上なのです。(スプラ氏)

 
Vizuryでは、クロスデバイス経路に影響する複数の要因(商品のジャンル、性別、アクセス地域など)をユーザーの購買経路から分析し、個々のユーザーにパーソナライズされた広告を表示しているとのこと。「モバイルからデスクトップに移行し、商品を購入するユーザーは、その逆よりも3.5倍多い」「アパレル用品を購入するユーザのクロスデバイス率は、ベビー用品に比べて約4倍多い」など、実際の分析結果も具体的な数値で示されました。複雑化する顧客行動を正確に識別・分析してユーザーインサイトを把握することが、効果的なリターゲティング広告の鍵のようです。

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ユーザーが購買に至るまでに利用するデバイスの経路とその割合。
モバイルからデスクトップに移行し、商品を購入するユーザーの方がその逆よりも3.5倍多い。

同社はFacebookやTwitterと業務提携しているほか、2012年には日本にも進出を果たしています。そのサービスは普段直接感じることはなくても、確実に私たちのオンライン体験に影響を及ぼしていると思われます。

 

個人情報を使わずにデバイスを推定する

2人目のスピーカーは、41st ParameterのVP兼プロダクトマネジメント責任者であるスラッグ・パテル氏。同社はもともと提供していた不正検知サービスの技術をデジタルマーケティングに転換し、個人情報を収集しないリターゲティングソリューション「AdTruth」を開発しました。

広告技術における個人情報利用はとてもセンシティブなものとして扱われています。AdTruthはCookieやEmailといった個人を特定するような情報を収集せずにデバイスを推定する技術です。ユーザー自身がプライバシー設定を選択できるようにし、コンシューマーフレンドリーなサービスを提供しています。(スラッグ氏)

 

高いデバイス推定率を誇る同社の技術。その仕組みは、ブラウザ名や画面解像度、ユーザー設定言語やドメインといった100個以上のパラメータを収集・リアルタイム処理し、デバイスごとに独自のIDを割り当てる、というものです。データのピースをつなぎ合わせることで、名前や位置情報といった個人情報を取得せずにクロスデバイスマーケティングを可能にしているのです。

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AdTruthでは個人を特定する情報を収集しない

プライバシー保護の観点から取得できるデータも制限されるようになり、多様化するデバイス上でのユーザー特定はますます難しくなっています。AdTruthは単に従来型データの代用となるだけでなく、独自のデバイス推定技術によりあらゆるデバイスやツールにおいても同一のIDを付与できる、画期的なソリューションと言えそうです。

 
データ分析で個々にカスタマイズされた広告配信を試みるVizuryと、個人情報保護を重視した独自技術をもつAdTruth。異なるマーケティング戦略を掲げる2社のサービスから、クロスデバイスがオンライン広告にもたらした影響力の大きさを実感しました。

児玉萌

ディレクションユニット所属。海外メディアを読み漁りながら、おもしろい事例を常に探しています。