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2015.3.18

テクノロジーがもたらす、顧客とのコミュニケーションの変化

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photo:Thinkstock / Getty Images

 

こんにちは、インフォバーンの服部です。変化の目まぐるしいWebの世界では、毎日のように新たな技術やトレンドが登場しています。さまざまなバズワードが飛び交い、勉強しなければいけないことも増加の一途。そういったテクノロジーは、ビジネスにおいてどういった役割を果たすのか。今回は顧客体験にフォーカスを当てて、技術の活用法を考えていきます。

全方向からのコミュニケーションが可能に

企業が持つ、顧客との接点は年々増えています。デジタル領域だけを見ても自社サイト、外部媒体、食べログのようなCGMサービスなど、多種多様なチャネルが存在。たとえば靴を買うだけでも専門店のWebサイトからレビューサイト、そして友人のレコメンドを参考にすることが可能です。Googleの発表している「The Customer Journey to Online Purchase」というツールを使うと、いかに消費者が多くの要因に影響を受けながら商品を購入しているかが見えてきます。

技術の進化はそのほかにも、さまざまなアクションを可能にしました。*NFCや*beaconなどを利用する形で、実店舗でもお客さまに情報を配信。マーケティングオートメーションツールやSNSを使って、リアルタイムに最適な時間帯を狙って、ユーザーとのコミュニケーションを試みることもできます。

このようにデジタルの進化は、あらゆるシーンで顧客とのつながりを持つことを可能にしました。米・Altimeterの調査では、こういった変化がもたらすメリットとして「顧客とのエンゲージメント強化」を挙げる企業が75%を超えていることが明らかになっています。これは「トラフィックの増加」を上回る数字です。これは、単なるリーチを稼ぐだけでなく、売上や*LTVといった経営に直結する数字に寄与するものと捉える企業が増えていることも指しています。

 

*NFC:近距離無線通信に分類されるワイヤレス規格。NFCタグにあらかじめ処理を書き込んでおくと、NFC対応端末でタッチするだけで処理を実行できる。商品情報表示や、クーポン取得などに活用できる。

*beacon:Bluetooth Low Energy(BLE)を使った技術で、近づくだけで通信でき、NFCのようにタッチする必要がない。「ビーコン」と呼ばれる専用端末を設置することでデバイスの位置情報を特定し、位置に合わせた情報配信が可能。

*LTV:Life Time Value(顧客生涯価値)。一人の顧客が取引期間を通じて企業にもたらす利益(価値)のこと。

 

優先すべきは効果の最大化

テクノロジーの進化を活用するためには、全体戦略の設計と最適化が大事になります。

Webが浸透しユーザーの選択肢が増えるにつれて、一つのメディアだけでユーザーの行動を完結することが難しくなっています。顧客の満足度を上げるためには適切なタイミングと、適切なアプローチが、より高い確度で求められるようになりました。前後の接触チャネルも考慮しなければいけません。そのため個別のチャネルでの成果を高めると同時に、全体の流れについて戦略を立てて、しっかりと設計する必要性があります。

SNSはロイヤルティの高いユーザーに対してキャンペーンや商品紹介を通して、自社の商品に接する頻度を高め購入頻度を上げてもらう場。Webサイトでは会員化を目指してコンバージョンを意識し、後のメールマガジンで購入まで結びつけてもらう。このように、それぞれのチャネルについて「意味」と「役割」を明確にし、それぞれの施策がつながった後に求められる「結果」を意識して、施策をパズルのように組み合わせ、一枚の絵を完成させていくのです。

テクノロジーはそういった一連の体験を、裏で支える役割を担います。オンライン・オフラインにおいてユーザーの動きをトラッキングし、顧客情報として蓄積。他チャネルで取得したデータを統合して、最適な解やアクションを導きだします。*DMPや*CRMといった各種ツールは、そういった一連のマーケティング活動を支えるための道具。あくまでも手段にしかすぎず、大事なのは「それを使って何を達成したいのか」ということになります。

こういった環境をフル活用しているのが東急ハンズ。実店舗とのオムニチャネル戦略を進め、SNSアプリを使って顧客との関係性を全方向的に構築していこうとしています。

 

*DMP:Data Management Platform(データマネジメントプラットフォーム)。サーバーに蓄積された自社・外部のさまざまなビッグデータを一元管理・分析し、広告配信の最適化などを実現するためのプラットフォーム。
*CRM:Customer Relationship Management(顧客関係管理)。各顧客の属性や購買履歴といった詳細なデータをもとに個々の顧客に最適なサービスや商品を効率良く提供することで、顧客満足度を上昇させる手法。

 

テクノロジー活用で重要なのは「人」

しかし、テクノロジーが進化したからといって、必ずしもコミュニケーションの質が上がるとは限りません。

たとえば、顧客データひとつを見ても、マーケティングとセールスの部門ごとに重視する指標が違うこともあれば、そもそも名前程度しかわからない価値の低い情報が混ざっていることもあります。そういった状態を評価し、施策を考え、意思決定するのは並大抵のことではありません。組織の構造自体を変える必要があるケースも少なくないでしょう。SNSが広まった2010年ごろに、運用にあたって企業内に新しい部署や、タスクフォースが増えたのも一例です。

個々のメンバーには多様な分野に対する知識も必要となります。顧客の体験を改善するにあたってボトルネックになっているのは、画面のUIなのか、リアル店舗でのオペレーションなのか、それとも適切なレコメンデーションが実施されていないのか。すべての要素を並べて、平等な視点で検討するためには、その道のプロフェッショナルとまではいかずとも、ある程度の知見は必須です。時にはWeb担当者が現場を体験し、実際の数字を追いかけるような経験もプラスになるでしょう。

こうして考えると、テクノロジーの進化は顧客へ提供する価値を増やす一方、組織の改編、人材育成などを含む全社的な動きを促していきます。技術の話が先行しがちですが、実は大事なのは「人」ということは忘れてはいけないでしょう。

 

 

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