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超絶コンテンツのつくり方

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こんにちは、インフォバーンの成田です。

今回は超絶コンテンツのつくり方について紹介します。超絶コンテンツとは、前回「コンテンツ制作に悩んだら検証したい3つの原型」で紹介した、以下3つの要素を兼ね備えたコンテンツのことを言います。

1. 課題解決型コンテンツ
2. ブランド訴求型コンテンツ
3. バイラル喚起型コンテンツ

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超絶コンテンツの目的は、オーディエンスの抱える課題に答えたり、人生を豊かにするような提言をすることで、企業や商品ブランドへの信頼を育み、ファンになってもらい、さらにはエヴァンジェリストとして、より多くの人に拡散してもらうことです。

オーディエンスの役に立つコンテンツを提供し続け、おもしろいコンテンツがバイラルしても、それが企業の提供する商品やサービスへの興味・関心につながらなければ、本末転倒です。KPIとして「いいね!」数やPV数を目標値に設定して、結果的に達成したものの、検証したときに「良かったね!……それで?」となることは少なくありません。意図と目的が曖昧なままKPIを設定していては、そもそもそのコンテンツをつくった意味を見失ってしまいます。大切なのはオーディエンスのニーズに応えるコンテンツを提供し、それをいかにして文脈に沿ったカタチでブランド訴求を図り、バイラル喚起につなげていくかを考えることです。

では超絶コンテンツは具体的にどのようにつくるべきなのか? またどんな役割を果たすのか? 2つの事例に沿って考えてみたいと思います。

 

ちょっと上質な遊びや、体験を提案

月刊「大人のソニー」PLAY!は、4Kテレビやデジタルカメラ、ハイレゾ関連の商品などの魅力を伝えることを目的としたソニーのブランドサイトです。ブランドコンセプトは「ソニーならではのちょっと上質な遊びや、体験を提案」。当サイトはこれまで既存のメルマガ会員向けに商品訴求を軸としたコンテンツを配信してきましたが、リニューアルにあたって、メルマガ会員以外にも間口を広げ、新たなユーザーへのリーチを目標にしました。そこでリニューアルにあたっては、4Kやハイレゾなどの機能の訴求だけを行うのではなく、「試してみたい」と思わせるような、体験を促すコンテンツづくりにシフトしました。

 

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リニューアルの第一弾はおいしい記録でもう一度。ハラヘリ動画を体験と題して、シズル感あふれるステーキを焼くシーンを紹介。4K映像の美しさを理屈で説明するのではなく、「美しい映像」よりも「おいしい映像」を見せることで、空腹感を促すという体験をしてもらう企画にしました。“論より証拠”、“百聞は一見にしかず”です。録画した焼きたてのステーキの4K映像を見ながら、ごはんを食べる、というナンセンスなオチにしたのも、4Kならではの「目の前にあるような臨場感、リアル感」の訴求を最優先したゆえです。

そして月刊「大人のソニー」PLAY!で掲載したコンテンツをターゲットメディア「ギズモード・ジャパン」にも同時掲載。ソニーのハイテク商品と親和性の高い「ギズモード・ジャパン」というガジェットメディアにコンテンツをディストリビュートすることで、メルマガでは届けられなかったユーザーに対してのリーチを可能にしました。また、「ギズモード・ジャパン」では、「最高に見たくない美食映像」というタイトルに変換し、より「ギズモード・ジャパン」のファンが好む形でコンテンツを配信。結果として、多くのユーザーから反応を得ることができました。

 

ちなみに6月の記事は、まるで映画のワンシーンのような美しい写真を紹介しながら、自分が映画の主人公になった気分になれる撮影術を紹介。一眼レフカメラは操作が難しそうと思い込んでいるターゲットにも、インパクトのある写真を見せながら、自分ゴトしてもらう切り口となっている。

 

Vol.3 人が消えた!?雑踏で自分だけを撮る方法。
| 月刊「大人のソニー」PLAY! | ソニー

 

自分にちょうど良い“ちょっと特別”

2つ目はワコールの男性用下着・パジャマ「BROS」。コンセプトメッセージは「男が知らなかった気持ちよさ。」。

 

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ちょっとした“こだわり”を持つだけで、“気持ちよさ”を体感できることを教えてくれるメッセージです。そんなメッセージを「Small Happiness(小さな幸せ)」をコンセプトとするメディアのroomieにディストリビュートしたコンテンツが「2015年の“上質な暮らし”ってこういうことかも」。

 

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お金持ちでも、派手な暮らしをしているわけでもない等身大の若者の日常風景。それがちょっとした「こだわり」を持つだけで気持ちのよい毎日が送れる、ということを気づかせてくれます。記事中で「BROS」の価値を「決して高いものでも、安いものでもない、自分にちょうど良い“ちょっと特別”」と表現しているように、日常生活にちょっとした彩りを添えたい、なんとなくリア充感のある暮らしをしたい、という若者たちを狙ったブランド訴求と言えます。「上質な暮らし=リッチな暮らし」ではない、という若い世代の空気感をつかんだメッセージは、多くの共感を呼び、3541RT、3252いいね!(5月時点)の高いエンゲージメントを獲得しました。

 

以上2つの事例の共通項は……

1. 暮らしに彩りを添え、豊かにする提言(課題解決)
2. ブランドコンセプトと親和性の高い潜在層にリーチ(ブランド訴求)
3. 直感的に体験、自分ゴト化してもらう(バイラル喚起)

超絶コンテンツとは、ただ多くのいいね!やRT、PV数を獲得してバズらせるだけのコンテンツを意味するものではありません。オウンドメディアを拠点にターゲット視点のコンテンツを発信し、オーディエンスと親和性の高いターゲットメディアへのコンテンツディストリビューション、そしてソーシャルメディアでの拡散と流入。この流れを汲みながら、課題解決型、ブランド訴求型、バイラル喚起型の3つの要素を兼ね備えてはじめて、三方良し(売り手・買い手・世間)の超絶コンテンツになると言えるでしょう。

成田幸久

フェロー。AMEX会員誌、『ワイアード』日本版、JAL機内誌などで副編集長を務めた後、2004年インフォバーン入社。ニフティのブログサービス『ココログ』の立ち上げ時に、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほかにPC・モバイルと連動した通販誌『カタロガー』編集長、セブン-イレブンとヤフーの共同事業メディア『4B』の編集長を務めるなど、数多くのWebメディアの企画・運用を手がける。