ホーム ブログ 商品訴求をユーザーニーズに変換...

商品訴求をユーザーニーズに変換! スマホ時代の「Googleトレンド」企画術

記事「商品訴求をユーザーニーズに変換! スマホ時代の「Googleトレンド」企画術」のメインアイキャッチ画像

ネット化が進んで、「誰でもメディア」の時代がやってきたといっても、コンテンツの企画を立てなければ、何もはじまりません。ところが、この企画立案が悩みどころ。なにをどんな風にとりあげれば、ユーザーに喜ばれるのか……? それを効率化できる方法があるのです。

オウンドメディアでは「ユーザーニーズ」が大事

たとえば、オウンドメディアのコンテンツづくりなら、一番重要なのは「商品訴求」を「ユーザーニーズ」に変換すること。つまり、商品の良さをただ訴えるのではなく、ユーザーのニーズをつかんで、それに合致するように商品を提案することですね。

☓ 商品訴求

 ・商品のアピールポイント
 ・商品の利用シーン
 ・商品のコストパフォーマンス

○ ユーザーニーズ

 ・ユーザーが求めている情報
 ・ユーザーの悩みを解決する情報
 ・一般的に話題になっている情報

いまやスマホの普及率は60%超。ちょっと気になることが出てくれば、誰しもすぐに「スマホで検索」という時代です。そのユーザー行動にうまく入り込むには、やはり「商品訴求」を「ユーザーニーズ」に変換する必要があるのは、自明の理でしょう。

とはいえ、「そんなことを言われても……」という方は、多いはず。実際、私も担当メディアの企画立案の際には考えすぎて、薄毛の進行が心配になるほどです。

そこで、頼りになるのが、やっぱりGoogle先生。ついつい「Googleトレンド」というサービスに手を出してしまうんですね。

検索ワードのトレンドを教えてくれる「Googleトレンド」

 

google_trend

 

「Googleトレンド」とは、検索ワードのトレンドを教えてくれるサイト。訪問すると、まずいま何が検索されているのかランキング形式で表示されています。 

そのランキングを漫然と眺めているだけでも十分楽しいのですが、注目すべきは上部にある検索窓。ここで任意のワードの検索トレンドを調べることができるんです。試しに「オウンドメディア」と、入力した結果がこちら。

2015年7月現在では、かなりの盛り上がりを見せていますね。イケイケドンドンといった感じでしょうか。さて、前置きが長くなりました。本記事のテーマは、この「Googleトレンド」をオウンドメディアの記事企画に活かす方法です。いよいよ本題に入りますよ。

オウンドメディアにおける「ハム」の記事企画を考えてみる

なぜ、「ハム」か? 特に理由はありませんが、たまたま最近、この「Googleトレンド」を使って「ハム」の記事企画の参考にしたことがあったからです。そのときのことを思い出しながら、ご説明しましょう。

オウンドメディアで「ハム」の記事を考えるときに、テーマとして思いつくものといえば、まず「生産者のこだわり」。あるいは「おいしさ」というのもアリですね。「コストパフォーマンスがいい」という打ち出し方もあるかもしれません。ですが、そういうワードは「ユーザーニーズ」として、求められているのでしょうか?

まずは、一旦「Googleトレンド」を離れて、基本に戻りましょう。もっとも単純な「Google検索」で、「ハム_」と入力します。「_」は、スペースの意味。

 

google_serch

 

すると「サジェスト機能」で、よく検索されるクエリの候補が羅列されます。

・ハム_レシピ
・ハム_カロリー
・ハム_賞味期限
・ハム_飾り切り
・ハム_お弁当
・ハム_冷凍
・ハム_将棋
・ハム_作り方

「ハム_」の場合ですと、上記のように表示されました。

この「サジェスト機能」とは「ハム_」と入力したあとに、続けて入力されることが多いワードを表示してくれるもの。「ハム」を調べる人は、合わせてこのような言葉と一緒に検索していることが多いのです。

つまり、「ハム」に対する「ユーザーニーズ」は、Google検索のサジェストに表示された言葉にある。残念ながら「生産者のこだわり」「おいしさ」「コストパフォーマンス」という商品訴求的なワードは、サジェストされていません。

だから、これらのワードをもとにオウンドメディアの記事企画を立案していけばいいのです。ただ、まだ候補の数が多すぎますよね。また、すべてのサジェストワードについて記事化すれば、SEO強化にはつながりますが、効率的ではありません。

「Googleトレンド」で「ハム」の「ユーザーニーズ」をあぶり出す

そこで、さらに深く「ユーザーニーズ」をあぶり出すために、もう一度「Googleトレンド」。上記の組み合わせをすべて調べるのです。その結果がこちら。

●【ハム_レシピ】王道ワード。なぜか、毎年1月に需要が特に高まる様子。

●【ハム_カロリー】これも鉄板。平均的に検索されていますね。

●【ハム_賞味期限】2012年以降、アッパートレンドにいるワード。

●【ハム_飾り切り】2013年以降、検索需要が高まる。若手のエースですかね?

●【ハム_お弁当】完全に上昇カーブ。特に5月と10月に毎回ベースアップ。

●【ハム_冷凍】2011年以降、平均的に人気。着実に成長している様子。

●【ハム_将棋】ハム将棋? 古くからの需要はあるが、ダウントレンド。

●【ハム_作り方】一定の需要が続くワード。

これらは、すべて2011年1月〜2015年7月の期間で調べてみました。その上で、2つのグラフに分類できそうです。

2011年以前〜2015年7月の期間、終始検索されているもの
・ハム_レシピ
・ハム_カロリー
・ハム_将棋
・ハム_作り方

2011年以降、徐々に検索されるようになったもの
・ハム_賞味期限
・ハム_飾り切り
・ハム_お弁当
・ハム_冷凍

この違いは、どこから来るのか? これは完全に私見ですが、2011年前後を境に起こったのは、スマートフォンの急速な普及です。ゆえにスマホで検索されることも増えた。ということは、後者の4項目などは、スマホユーザーのニーズを表しているのではないか。そう思うんですよね。

ちなみに、ひとつだけ違和感のある検索ワード「ハム_将棋」。これはずいぶん前から人気のあった、ハムスターが将棋の相手をしてくれるFlash製のブラウザゲーム「ハム将棋」のことです。スマホの普及でネットユーザーのライト化が進むなか、検索ワード数が減るのも致し方ないことでしょう。

「Googleトレンド」の分析を企画に活かしてみる

以上を鑑みて、いま「ハム」で考えるべき記事のテーマというのは、「賞味期限」や「飾り切り」、「お弁当」、「冷凍」が狙い目。スマホで「ハム」を検索する人は、こうしたトピックを気にしている可能性が高いのです。このワードで記事の企画を考えるとしたら、以下のような感じでしょうか。

【企画例】
・「お弁当」にピッタリ、●●ハムの「飾り切り」の仕方
・「冷凍」した●●ハムを、上手に解凍する方法
・「賞味期限」が短い●●ハム、それにはちゃんとした理由があるのです

こうしたテーマを設定すれば、スマホユーザーの検索流入をはかることが可能です。そのうえで、記事末でちゃんと商品訴求につなげれば、オウンドメディアの記事としての役目を全うできるはず。

もちろん「レシピ」や「カロリー」、「作り方」のあたりも手堅いテーマといえなくもありません。しかし、昔から検索されているワードというのは、他のサイトでもたくさん記事にされている可能性が高く、競合が多そうです。だとしたら、やはり少し視点をずらしたところを狙った方がおもしろいことが起きそうですよね。

まとめ

このように使ってみると、「Googleトレンド」はまさに人類に取って「鏡」のような存在。第三者的な視点で、自らを振り返ることができるツールといえるでしょう。うまく利用して、コンテンツの企画立案に役立ててください。

長田真

株式会社宣伝会議社の月刊誌「編集会議」「ブレーン」の制作に携わった後、2004年より株式会社インフォバーンに入社。国内有数のブログメディア『ギズモード・ジャパン』『ライフハッカー[日本版]』のプロデューサー・編集長を歴任する。その後、ソリューション事業で大手企業のオウンドメディア立ち上げ・運営を担当し、2015年9月よりDIGIDAY[日本版]編集長に就任。