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2015.2.26

コンテンツづくりに役立つ10のアイデア

 

第87回アカデミー賞の授賞式はご覧になりましたか? 個人的には『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクに主演女優賞をとってもらいたかったのですが、あのサイコなイカれっぷりの演技に審査員もドン引きしたのかもしれません。わたしは、知的で上品でイカれた悪女に弄ばれるのが嫌いじゃないので、ちょっと残念でした。

というわけで、映画をつくるのは本当に大変なんだなあ、と思いつつ、最近読んだ『フィルムスクールで学ぶ 101のアイデア』という本が、コンテンツ制作にも役立ちそうだったので、「101」の中から抜粋して10のアイデアを紹介したいと思います。

 

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コンテンツづくりに役立つ10のアイデア
  1. 最初は強く
  2. 語りすぎずに見せる
  3. ビギニング、ミドル、エンド
  4. ハイ・コンセプトな映画は一行の文章で説明できる
  5. プロットは物語性を、ストーリーは感情をこめて
  6. ストーリーは登場人物特有の性格に、テーマは普遍的な人間性に関係する
  7. すべての映画はサスペンス
  8. 対立軸を実在させる
  9. リズムとテンポ
  10. 簡潔に!

 

1. 最初は強く

映画におけるオープニングイメージは作品のテーマを象徴的に表すだけでなく、ストーリーの背景を明らかにする目的もあります。つまりインパクトを与えるために最初に見せるのは「導入」ではなく、「結論」なのです。ここで言う「結論」とは、いわゆる「ネタバレ」ではなく、「一番おもしろいポイント」を意味します。 Webコンテンツにおいても、情報インフレにマヒした今日のユーザーは起承転結に従って読む時間も余裕もありません。最初に強いインパクトを与え、「おもしろそう」と思わせるかどうかがカギを握ります。

 

2. 語りすぎずに見せる

映画では「わたしは先週、10年間つきあった彼女と別れて、絶望的な気分で何もやる気がおきない」というシーンを主人公に語らせることはまずしません。昼間にカーテンを閉め、ちらかった部屋で無精髭を伸ばしたまま、食事もろくにとらずウイスキーをだらだら飲む……といったシーンが出てくることでしょう。映画は言葉より多くの情報をつめこめる「映像」が主となるので、ムダな会話を極力省き、登場人物の心理描写などは映像で見せるようにします。

ただ「語りすぎる」というのは、言葉で伝えすぎる、ということだけではありません。映像でもムダな説明描写が続けばユーザーは必ず飽きます。あなたの制作したコンテンツが少しでも冗長だと感じたならば、迷うことなく短く削ってしまうことをオススメします。また、届けたいコンテンツが膨大なテキストであふれると思ったら、画像や映像に置き換えてみるのもいいでしょう。それも限りなく短く。

 

3. ビギニング、ミドル、エンド

ストーリ―には必ずビギニング、ミドル、エンドの三幕があります。

      1. ビギニング:問題を確立する(状況設定)
      2. ミドル:事態を複雑にする(葛藤)
      3. エンド:事態は解決に向かう(課題解決)

 

ここで求められるストーリーとは、あなたの会社のストーリーではなく、ユーザー自身のストーリーです。もちろんあなたの会社の歴史や商品開発などに興味深いストーリーがあれば、それを展開しても構いません。しかし、それより重要なのは、ユーザーのストーリーに、あなたの会社の商品やサービスがどのように寄与するか、ということです。

たとえば30歳になるまで、ずっと彼女ができずに悩んでいる男性のユーザーがいたとします。もしあなたの会社がそのユーザーの悩みに応えられそうな商品やサービスを提供できるのであれば、まずあなたは商品自体の魅力を伝えることでしょう。そのときに、ただ一方的に商品訴求をしても、ユーザーが自分ゴト化してくれなければ意味がありません。商品を売る前にまずすべきことは、なぜ彼には彼女ができないのか? というユーザーの抱える問題に耳を傾け、彼が求めるストーリーの道筋を示し、助言を与えることなのです。

 

4. ハイ・コンセプトな映画は一行の文章で説明できる

ハイ・コンセプトとは、ダニエル・ピンクの著作『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』で広く知られるようになった言葉です。

 

 

著書によると、ハイ・コンセプトとは

  • パターンやチャンスを見いだす力
  • 芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力
  • 人を納得させる能力 
  • 一見ばらばらな概念を組み合わせ新しいものを生み出す能力

とあります。

著者は「情報化社会はコンピュータのようなロジカル能力によって築かれた。次の時代は、創意や共感などによって築かれる『コンセプトの時代』がやってくる」と予言しています。このようなハイ・コンセプトな映画は一行の文章で説明できる――逆に言えば、一行で説明できないコンセプトのコンテンツでは見向きもされない、ということになります。

 

5. プロットは物語性を、ストーリーは感情をこめて

プロット(筋書き)とは映画の中で物理的に起きる事象で、ストーリーはその事象に対して登場人物が抱く感情の描写を表します。事実だけが描写されてもユーザーの心は動かされません。プロットにストーリーが付与され、ストーリーに感情の揺れや動きが描写されて、はじめてユーザーは自分ゴト化し、共感します。

 

6. ストーリーは登場人物特有の性格に、テーマは普遍的な人間性に関係する

5.「ストーリーは感情をこめて」は、すなわちキャラクターをどれだけ精緻に描くか、ということに尽きますが、テーマは「愛ほど尊いものはない」「正直に生きれば幸せになれる」といった人間が普遍的に抱く思想と言えます。SF映画のようにどんなに非現実的なシチュエーションでも、わたしたちがその世界に入り込んで心を動かされるのは、この普遍的な人間性に関係するテーマが必ず盛り込まれているからです。

 

7. すべての映画はサスペンス

ここでいう「サスペンス」とは、「次がどんな展開になるのか?」と絶え間なく思わせることです。ウィキペディアの説明に「サスペンスは、ある状況に対して不安や緊張を抱いた不安定な心理、またそのような心理状態が続く様を描いた作品をいう」とあるように、必ずしもミステリーやホラー映画に限ったことではありません。

 

8. 対立軸を実在させる

ストーリーをおもしろく際立たせる方法論として確立されているのがこの対立軸です。対立軸とは「変化」と「対比」に置き換えることもできます。その対立軸のギャップが大きければ大きいほど、人の心は動かされます。変化とはストーリーにおける「欠落→回復」「行く→帰る」「問題→解決」のプロセスのギャップ。対比はキャラクター(『アナと雪の女王』のアナとエルサ、『ダークナイト』のバットマンとジョーカー、『半沢直樹』の半沢と大和田)や、構成(善と悪、失敗と成功、貧乏と金持ち、生と死)のギャップです。

あなたのお気に入りの小説や映画、ドラマを思い浮かべてみてください。きっとこの対立軸が明確に実在し、そのギャップはとても大きいに違いありません。

 

9. リズムとテンポ

観客を飽きさせないためには、リズムとテンポのバランスが重要とされます。一般的にリズムのよいひとつのシーンの持続時間は15秒~3分と言われます。ただ、このリズムが2時間ずっと続けば当然観客は飽きてしまいます。テンポは1シーン中に存在するペース配分です。アクション映画ならテンポは速くなり、ヒューマンドラマなら遅くなる傾向があります。ただし、人の心理を丁寧に描こうとするあまり、テンポがゆっくりになりすぎても、やはり観客は飽きてしまいます。

映画ではジャンルの特性や目的に応じて、このリズムとテンポを考慮しながら編集されていきますが、昨今のWebコンテンツにおいては、リズムもテンポも速く短く、という傾向にあります。2分という尺が長く感じ、内容によっては6秒でも十分というケースもありますが、なんでも短くすればよい、ということではありません。伝えたいメッセージに合わせて尺とテンポ、リズムを考えることが必要になります。

 

10. 簡潔に!

人は複雑さを嫌います。あのレオナルド・ダ・ヴィンチも「シンプルであることは究極の洗練された形だ」と語っています。シンプルな言葉であるほど、伝えたいメッセージは強く印象的になります。本書では「どんなに直観力にすぐれ、独創的であっても、ストーリーに対して絶対に必要かどうか、必ず見直すべきだ」と提唱しています。簡潔に! というのは、不要な要素をそぎ落としていく作業なのです。

完全が達成されたというのは、そこにつけ足すものがない状態ではなく、とり除くものがないという状態です。

本書で紹介されている、フランスの作家、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリのこの言葉は、まさにコンテンツづくりにおける編集の重要性を一言で表していると言えるでしょう。

 

 

以上『フィルムスクールで学ぶ 101のアイデア』から一部を紹介しましたが、映画が作られるプロセスを知ることは、コンテンツ作りの参考になるだけでなく、きっと退屈な映画さえも楽しく観る視点を与えてくれるに違いありません。

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