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2019.4.12

オウンドメディアで、ブランドの思いをかたちにする——ニチレイフーズ様「ほほえみごはん」事例紹介

CHANNEL IBでは、より現場の声をお届けするため、実績にフォーカスした記事を今後随時アップ予定です。

今回は「冷凍で食を豊かに」という新コンセプトのもと、2018年7月31日にフルリニューアルオープンを行った冷凍食品最大手・株式会社ニチレイフーズ様のオウンドメディア『ほほえみごはん』。メディアを担当される同社経営企画部広報グループの渡辺千春さんをインフォバーンにお招きし、リニューアルとその後のコンテンツ制作・運営を担当するインフォバーン・河野光宏との対談を開催しました。リニューアルに際しての目的と課題、そしてインフォバーンが打ち出した施策とは?

「冷凍食品未利用者4割」という課題が顕在化

——ニチレイフーズ様のオウンドメディア「ほほえみごはん」が最初にローンチしたのは2016年6月1日のこと。当初の目的は?

渡辺 ローンチ以前の2015年、当社は20〜60代の男女約5,000人を対象とした生活者調査を行いました。この調査でわかったのは、冷凍食品未利用者(使用頻度が3か月に1回以下の方)が全体の約4割にも達したこと。これら潜在層の方々にどうアプローチをしていけばよいか——それが当社にとって大きな課題だったんです。

潜在層の方々の中には、そもそも冷凍食品に興味がない方や、現在必要としていない方々も含まれていると思います。そういった方々に冷凍食品そのものをPRしても手に取ってくださらないでしょうし、メッセージも届きづらい。とは言え、“食”に興味のない人は少ないだろう、と考えました。そこで“食全般”にまつわるお悩み・疑問について楽しい解決策・ヒントを提供し、まずは冷凍食品やニチレイブランドに触れていただける機会を少しでも生み出そうと「ほほえみごはん」を立ち上げました。

——「ほほえみごはん」を立ち上げてからどのような課題が見えてきましたか?

渡辺 食全般にまつわる情報提供を通じ、“結果的に”当社のファンになっていただく、それが狙いだとはいえ、冷凍あるいは冷凍食品になかなかフォーカスを当てられないことにジレンマがあり、思うような効果を生み出せませんでした。また当サイトの運用体制にしても、その当時、月4本の記事を企画・制作する中で、やり取りの煩雑さから記事の品質向上にあまり時間がかけられなかったり、本来したかったユーザーの分析や次なる打ち手のための検討などに手が割けなかったりという状態が続いていました。そうした悩みを抱えていた2017年夏頃、インフォバーンさんにご相談しました。

“ダメだし”されたことで後押しされた!?

——ローンチから2年後の2018年7月31日。「ほほえみごはん」はフルリニューアルオープンをして生まれ変わりました。インフォバーンはサイトのコンセプト設計、サイト設計、デザイン制作、そしてリニューアル後のコンテンツ制作・運営をお手伝いさせていただいています。リニューアル前の段階で渡辺さんからのお話を聞いた河野さんの当時の心境は?

河野 渡辺さんたちは冷凍ひいては食のプロフェッショナル。我々はコンテンツのプロ集団です。当社には食の分野にも強いコンテンツプランナーも在籍していますから、両者の強みが合致すればきっと素晴らしいリニューアル企画をご提案できると思いました。とはいえプレッシャーは相当ありましたね(笑)。

渡辺 当時のエピソードで特に印象的なのは、まだお仕事をお願いするかどうかを決めるずっと前の段階で、既に公開されていた「ほほえみごはん」のとある記事の出力紙に、赤ペンで大量のダメだしをされたことです。自分たちなりに頑張って作っていたコンテンツなので正直複雑な思いも感じましたが、ご指摘の一つ一つがとても明確且つ納得できるものでしたので、「こんな人たちとなら「ほほえみごはん」はもっと良くなる!、面白い仕事ができそう!」とも思いました(笑)。

——その後、インフォバーンからどのような提案を仕掛けたのでしょうか?

河野 既存サイトの課題を洗い出し、ゼロベースから戦略定義をまとめていきました。なかでも私たちの戦略としては、お子さんのいる専業主婦のほか、仕事と子育てに忙しく“食卓のもう一品”として冷凍食品活用のニーズが高いリターナー(復職層)やDEWKs(子どものいる共稼ぎの夫婦)もメインターゲットと考えました。そのうえで新たなコンセプトを「冷凍で食を豊かに——『冷凍』と『冷凍食品』で、食生活を賢く、豊かに。忙しい人のための、『食』ライフハックメディア」と設定し、サイト構造やデザイン、コンテンツの方針・記事制作ルール等もフルリニューアルしています。

また、せっかく作ったコンテンツも生活者に届かなければ意味がない。Facebook広告やYahoo!コンテンツディスカバリー(YCD)など、メインターゲットと相性の良いディストリビューション施策を打っていきました。

成功に導く秘訣は「対話を重ねること」

——リニューアル後のコンテンツ制作・運営方針については?

河野 「ほほえみごはん」のメインターゲットは、忙しくて時間がないけど栄養には気をつかいたいし、家族での食事の時間も大切にしたい人たち。だからこそ「冷凍食品を使うことがスマートだ」という価値観を伝えていきたい、というのが先ほどの新コンセプトの意図です。

その新コンセプトを軸に、冷凍食品のパイオニアであるニチレイフーズ様だからこそ伝えられる正しい情報やお役立ち情報を提供することで、食全般を扱いながらもターゲットとニチレイフーズ様との橋渡しとなるようなコンテンツ制作を心がけています。

具体的には一般的な料理のレシピや食にまつわる豆知識はもちろん、冷凍という人類が編み出した知恵と魅力を伝える記事、あるいは冷凍食品を上手に使った漫画形式のレシピなど、SEOやトレンドへの配慮と同時に「冷凍」することや「冷凍食品」全体のイメージアップを狙うことも意識しながら企画・提案させていただいています。

渡辺 もう1つ印象深いエピソードがあります。ご提案のなかで「ほほえみごはん」というメディア名について「もっと“冷凍”といったキーワードが前面に出るように変更しては?」と河野さんからご提案いただいたことです。

河野 ありましたね! ユーザーにとって「どんな情報が得られるのか」「何が解決できるのか」がメディア名だけで分かったほうが、広告出稿などをしてメディアがひとり歩きしたときのためにも良いと思ったんです。何度かそのお話はしましたが「絶対に変えたくない!」という渡辺さんの意思は強く、断念しました(笑)。

渡辺 「ほほえみごはん」は単に「冷凍」することや「冷凍食品」をPRするためだけの場ではないからです。共働き率の増加などライフスタイルが多様化していくなか、忙しい日々の中で食事づくりをいかにしてくかは、現代を生きる人にとって共通の悩みの一つだと思います。そうした状況に対処する一つの選択肢として、「冷凍食品」はこれからもっと生活者の方々のお役に立てるんじゃないか、というのがニチレイフーズの考えです。「冷凍食品」が生活の中に当たり前に溶け込んでいる未来の姿を実現するためにも、“食全般”の中での「冷凍」することや「冷凍食品」という見せ方にこだわりたいと思っています。メディアのaboutページにあたる「ほほえみごはんの想い」には改めてそんな思いを記させていただきましたし、河野さんにはそうした思いもすべて汲んでいただけたと思います。

河野 でも結果的に「ほほえみごはん」のままでよかったと思い返しています。「ほほえみごはん」というメディア名には渡辺さんの思いが集約されていて、リニューアル後はフェーズが変わっただけ……。ともあれ、渡辺さんとは本当にたくさんの対話を重ねましたし、そのことでリニューアルをよりよい方向へ導けたと感じています。

リニューアル後に生まれた想定以上の効果

——リニューアル後の成果・手応えはいかがでしたか?

河野 ご提案当初は「前年比約4.8倍のPV」というKPIを設定しました。具体的なKSF(重要成功要因)として「サイト流入数」(検索・ソーシャル・広告という大きな3つの流入チャネルを最大化させる)、「回遊性」(1訪問あたりのPV数を高める)、「記事本数」(何度も訪問してもらう回数を増やすために、記事本数を増やす)という3本柱で挑みましたが、おかげさまでKPIも無事クリアでき 、サイト流入数も如実に上がっていると思います。

渡辺 私がうれしかったのは、2018年12月に公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会が主催する「第6回Webグランプリ」の企業グランプリ部門で「企業BtoCサイト賞」優秀賞を受賞したこと。そうした反応は我々にとって大きな自信になりましたし、社内的にもイントラネット等を使ってじゃんじゃん記事の更新を周知するようになりました。会社内でもPVも上がり、あまり面識のない人からも時折「この前の記事、面白かったよ!」なんて声もかけてもらうようになったんですよ!

——懸念事項の1つだった運用体制の改善についてはいかがですか?

渡辺 記事本数も毎月4本から12本に増えましたが、インフォバーンさんにお願いするようになってから“作業者”としての負担はまず感じませんし、ほとんど私が口だしすることはありませんね。

河野 渡辺さんの負担を減らすことはリニューアル当初から現在に至るまで、常に意識しています。そうした意識はメンバー間にも広がっていて、クライアントの潜在的な課題もじっくりと考えるようになったという点で、渡辺さんたちに育てていただいているという実感があります。

——最後に、生まれ変わった「ほほえみごはん」で今後実現していきたいことを双方の立場からお聞かせください。

河野 パートナーの立場から言えば、最初の1年間はあくまでベースづくり。2年目からは「ほほえみごはん」、ひいては渡辺さんのいらっしゃる広報グループやニチレイフーズとして実現したいことを視野に入れながら、オウンドメディア以外の手法も取り入れ、さまざまなチャレンジをしていきたいです。

渡辺 これからも変わらず「ユーザーファースト」に。その意味で読者に読み続けていただける質の高いコンテンツづくりに変わりはありませんが、ゆくゆくはもっとニチレイフーズの商品の魅力を上手に伝えるようなコンテンツも拡充させていきたい、という思いはあります。そのための継続的な知恵出しにもインフォバーンさんには期待しています!

 

PROFILE
※2019年3月当時

渡辺 千春さん
株式会社ニチレイフーズ 経営企画部 広報グループ マネジャー
惣菜売り場向けの冷凍食品の営業、家庭用冷凍食品の企画、商品パッケージ開発などに携わり、2011年よりニチレイフーズの公式ホームページ、SNSの運用責任者として従事。
WEBメディアを活用して、如何に生活者の方々とのコミュニケーションの幅を広げていけるか、ブランド力の向上につなげられるか日々奮闘している。
座右の銘は「今日の仕事は、明日への仕事」「情けは人の為ならず」
趣味はちっともうまくならないゴルフとドライブ。 

河野 光宏
株式会社インフォバーン ソリューション部門 マネージャー
アパレルメーカー、制作会社、IT企業、PRエージェンシー等で就業。デジタルプロモーションやサイト制作、アプリ制作、PRではさまざまな企業PRや地方自治体PR案件に携わり、2016年インフォバーン入社。現在はリアルからデジタルまで全方位にお客様の課題解決に取り組んでいる。
座右の銘は、「三方良し」。
趣味はフットサル(こちらの記事をご覧の会社さま、交流戦やりましょう!)。

 

ニチレイフーズ様 「ほほえみごはん」
第6回 Webグランプリ「企業グランプリ部門」企業BtoCサイト賞【優秀賞】受賞

担当領域
・課題整理
・メディア戦略設計
・メディアコンセプト設計
・メディアデザイン設計、制作
・コンテンツ戦略、制作、運営
・ディストリビューション設計、運営

INFOBAHN STAFF
・アカウント/プロジェクトマネージャー:河野光宏
・プランナー:大浦雅俊
・コンテンツプランナー:佐々木智恵美、林千尋
・コンテンツディレクター:高木惠
・Webディレクター:高田梨佳
・メディアプランナー:嶋村壽晃
・リサーチャー:服部豊
・アートディレクター:相野谷直明
・テクニカルディレクター:中谷智美

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