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【海外事例】飲食業界がチャレンジ「購買につながるSNSの利用方法」

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ビジネスの見直しを迫られている飲食業界。テイクアウト需要が高まったため、マーケティング戦略もそれに合わせて、今まで以上にデジタルにシフトして行く必要がありました。デリバリーアプリへの対応やモバイル注文といった購買行動へデジタル対応していくことはもちろんですが、今まで以上に購買への動機づけをデジタル上で作っていくことは大きな課題であったといえるでしょう。そんななか、ソーシャル・ネットワークを使っていかに購買動機を作っていくかにチャレンジをした3つのブランドの施策をご紹介します。

セレブのクチコミを何段階にも活用してバズを起こす:McDonald’s

movie: https://youtu.be/CuyNId8JanI

若者を中心に絶大な人気を誇るラッパーTravis Scott。彼の人気ナンバーである『Sicko Mode』を流しながら「McDonald’s」のドライブスルーで注文する様子をTik Tokにアップすることが若者の間で大きなトレンドとなりました。曲を流すだけで特定のメニューだということを店員にわからせるというやりとりが面白く、チャレンジしたくなったというところでしょうか。この注文に関する行動は、McDonald’sが仕掛けたものではなく自発的に巻き起こったと言われています。

そもそもはTravis ScottがMcDonald’sの愛好者で、ハンバーガーを食べていることをInstagramに投稿していたことも関係しているようです。そこにMcDonald’sが目をつけて、“Travis Scott Meal”という限定メニューを開発し全米でのキャンペーンとして登場することになりました。この“Travis Scott Meal”は、クォーターパウンダーのハンバーガーにベーコンやレタスをいれたもので、バーベキューソース付きのポテトにミディアムサイズのスプライトという彼のお気に入りの商品で構成されているセット商品です。

そのためかこのキャンペーンに関する話題作りはSNSを中心に行われていました。“Travis Scott Meal”の発売前から、McDonald’sの公式Twitterはユニークな投稿を続けます。公式発表の前に、Travis Scottをイメージするサボテンをハンバーガーと一緒に絵文字だけで投稿。これだけで、もう彼をMcDonald’s好きだと知っているTravis Scottのファンたちが推測をはじめ、コメント欄が沸き立ちます。

twitter: https://twitter.com/McDonalds/status/1301513230058221572

そして翌日にはついにTravis Scott本人にメンションした投稿も。

twitter: https://twitter.com/McDonalds/status/1301565966380392450

公式CMにもTravis Scott(のアニメーション)が登場したり、

movie: https://youtu.be/cYATyMUM0RI

さらにはTravis ScottとMcDonald’sのダブルネームのアパレル商品も発売されるなどの展開を見せ、キャンペーン中は一部の店舗で食材が不足するほど大好評となりました。

Travis Scott本人もSNSに投稿を重ねてファンを楽しませていきます。実際に彼が店舗に訪れたところファンが殺到してしまったハプニングもあったようです。

Instagram: https://www.instagram.com/p/CE5LA6GJqvd

Instagram: https://www.instagram.com/p/CE5RHGmptRy

このキャンペーンが成功した要因は、単なるInstagramやTik Tok内での宣伝にとどめず、“Travis Scott Meal”としてパッケージで売り出したことやSNS投稿、コラボ商品の発売など、幾重にも施策を行ったことではないでしょうか。この“Travis Scott Meal”は全米のTwitterのトレンド1位にもなりました。自然発生的に起こったネットミームを逃さず大きなトレンドに繋げることができたのは、タイミングを逃さなかったスピード感が勝因と言えるでしょう。

アスリート×eスポーツで、ファストフードと相性のいいターゲットを狙い撃ち:Chipotle Mexican Grill

ライブ配信サービス「Twitch」のスクリーンショット
Screenshot:https://www.twitch.tv/chipotle

「Chipotle Mexican Grill」はアメリカを中心に世界各国で展開するメキシコ料理のレストランチェーン。ファストフードというカテゴリーですが、料理のクオリティが高いことで人気になっています。この「Chipotle Mexican Grill」とアメリカ屈指のプロスケートボーダーであり、ビデオゲーマーであるTony Hawkがコラボレーションしてブリトーを発売しました。

このキャンペーンはゲーム配信に特化したライブ配信サービス「Twitch」からスタートしました。ライブストリーミングを見ていた5,000人の視聴者に無料でブリトーをプレゼントし、「Tony Hawk’s™ Pro Skater™ 1 + 2」の体験版ゲームもアクセスできるようにしたのです。

movie: https://youtu.be/p0mNQxLUHyg

この施策の優れたところは、ファストフードの特性と相性のいいゲーマーやTony Hawkのファンという明確なターゲットの置きどころでしょう。プロスケートボーダーの知名度を生かしたマス層と、ゲーマーというコア層の両方をカバーしたことでヒットの確率も高くなったと思われます。

Twitchの月間利用者は1億人を突破し、世界中にユーザーがいる大人気サービス。Chipotle Mexican GrillのTwitchフォロワーは、このキャンペーン前に2.7万人程度だったようですが、今では7.5万人ほどになっています。現在は「Fortnite」で高額賞金をかけたチャレンジシリーズを展開しており、ゲーマーをターゲットとしたマーケティング戦略は引き続き行われているようです。

インパクトあり×ポジティブな投稿に、ブランド高感度は急上昇:Burger King

Instagram: https://www.instagram.com/p/CHFslPHlDjN/

McDonald’sで注文してほしい–。日本でも人気のハンバーガーチェーン「Burger King」のUK版アカウントでこんな異例の投稿がされました。時は2000年秋、第2回目のロックダウンが行われたことが背景にあります。このソーシャルメディアキャンペーンは、TwitterやInstagramで投稿されました。

メッセージの意図は、個人経営を含むレストランや飲食店に注文してほしいというお願いです。タイトルにあるMcDonald’sだけではなく業界の競合チェーンも対象に含まれており、全体的に苦境に立っている飲食業界に救済の手を差し伸べてほしいという内容でした。特にライバルであるMcDonald’sでの注文を促すことは予想外かつショッキングで人々の感情を揺さぶりました。

実はBurger Kingは過去、SNSでは他のファストフードチェーンとの熾烈な戦いを続けていました。

アメリカ版のアカウントではMcDonald’sのフライドポテトとオニオンリングの交換を申し出たり、

twitter: https://twitter.com/BurgerKing/status/1009826159570407424

「Wendy’s」の女の子キャラクターに「プロムに行かないのか?」と挑発したりと

twitter: https://twitter.com/Wendys/status/994228211075768321

ブラックジョークにも近いユーモアを炸裂させていたトーンから考えてもインパクトがあり話題になったのかも知れません。それでも冒頭の投稿には「こんなお願いをするとは思っていませんでしたが」という一文や、「ワッパーを買うのが最適だが、ビッグマックも悪くない」という表現もあり、「完全無欠の正義」をかざさないところにブランドの一貫性を感じることができたのかも知れません。

UKのアカウントではInstagramやTwitterの投稿だけでも4万件以上のいいねがあったそうで、このキャンペーンは、アメリカ、フランスでも行われるなど世界中で大きな成功を納めました。また、SNSでシェアしやすい内容でインターネットユーザーの間に共感がすぐに広がりやすかったのでしょう。結果的にBurger Kingの好感度が上がったのは間違いありません。

ソーシャル・ネットワークに生まれる波をコントロールする技術が求められている

外食を控えるような風潮にあったこの1年ほど、飲食業界がそのユーザーの気持を転換させて購買へと向かわせるにはとても強い動機が必要だったに違いありません。新商品キャンペーンや割引クーポンなどといった今までの常識では通用しなかったでしょう。その点において、この3つの施策の成功要因はソーシャル・ネットワークを軸にしてデジタルマーケティング戦略を考え購買動機を生み出していったことにあります。気軽にユーザーが参加しやすいという強みを持ったプラットフォームにおいてさまざまなチャレンジをして波を起こしたり、すでに起きている波に乗っかったりという柔軟性が、これからも忠誠心の高いファンを生み出す原動力となるでしょう。インフォバーンでも、ソーシャル・ネットワークを利用したコミュニケーションプランの設計や施策の実績がございます。まずはお気軽にご相談ください。

Illustration by Getty Images

EX Journal編集部

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