プロジェクト概要

経済産業省の補助事業「みらいのファッション人材育成プログラム」の事務局として、企画から運営までを一貫して実施。ファッション産業のサプライチェーンのアップデートを目指し、デジタル技術を駆使する次世代クリエイターを発掘・育成しました。国内外の専門家ネットワークによる伴走支援や産業界とのマッチング機会の創出を通じ、採択された5組が事業化の実現に取り組みました。本プログラムは、次年度の発展的事業にもつながっています。

課題
  • ファッション産業が抱える、環境負荷問題の解決に向けた持続可能なサプライチェーンへの変革
  • デザインから製造、販売、再生に至るサプライチェーン全体の、リアルとデジタルの両面からのアップデート
  • 既存の枠組みにとらわれず、新たな価値を創出できる次世代のクリエイターの発掘・育成
成果
  • 採択された5組のクリエイターから、具体的な製品開発や新たなビジネスモデルの創出などを実現
  • noteや事業報告書での情報発信を通し、同様の課題解決に取り組む事業者が有益な情報として活用できる実施プロセスや知見、課題、今後の展望などを共有

クライアント

経済産業省

担当領域

プログラム内容の企画・運営
情報発信

期間

2024年3月〜2025年3月

対象URL

「みらいのファッション人材育成プログラム」サイトへ

“ファッション産業のサプライチェーンをアップデートすることのできる人材を育成する”として展開された「みらいのファッション人材育成プログラム」。言うなれば、クリエイティブの力が社会構造の変化までも生み出すことが出来るのかという取組でもあり、非常にチャレンジングでもあったと思います。特に事業運営においては、ファッション産業の中から変革を促すのではなく、どちらかと言えば産業の外側にいるクリエイターを支援することでそれを実現しようという事業設計であったため、今回の事業に採択された各クリエイターの取組自体(成果物)が本当にファッション産業にインパクトを与えるものになっているのか、もしくはなるためにはどのようなメンタリングやサポートが必要なのかという点については、かなり濃厚な議論を事務局の皆さんと繰り返しさせていただきました。抽象と具体を行ったり来たりする議論をまとめ、実践に落とし込むというのは非常に大変な作業であったと思いますが、真摯に取り組んでいただきありがとうございました。

経済産業省文化創造産業課ご担当者様

プロジェクト詳細

サプライチェーン全体の変革に向けた次世代人材の育成

ファッション産業は、石油産業に次いで世界で2番目に環境負荷をかけていると言われています。CO2排出、水質汚染、年間約47万トンにも及ぶ衣類の大量廃棄などの深刻な状況に対し、社会や生活者のサステナビリティへの意識の高まりから、企業にはビジネスモデルの根本的な変革が求められています。

こうした背景から、経済産業省は有識者による「これからのファッションを考える研究会」を発足。その報告書では、デザインから製造、販売、再生に至るサプライチェーン全体を、リアルとデジタルの両輪でアップデートする必要性が提言されました。

この大きな変革を実現するために不可欠なのが、未来を創造する「人材」です。既存の枠組みにとらわれず、アート、デジタル、ライフサイクルといった領域を横断しながら、新たな価値を創出できる次世代のクリエイターを発掘し、その挑戦を社会全体で支援すること。それが「みらいのファッション人材育成プログラム」の目的でした。

インフォバーンは、これらのファッション産業が抱える環境負荷などの課題解決を目的とし、経済産業省の補助事業である「みらいのファッション人材育成プログラム」の事務局として、プログラム全体の企画・設計から運営までを担いました。

実施プロセス

採択された5組のクリエイターに向け、持続可能なサプライチェーンの構築に貢献する製品やサービス、システムを創出するための1年間の実践的な事業化支援プログラムを設計し、提供。

支援は多岐にわたり、活動費の補助や、専門家が事業計画の策定や推進に必要なメンタリングを行う「伴走支援」が提供されるほか、各領域の講師が事業化を後押しする専門的知見のレクチャーを行いました。最終的には、成果報告会などを通じて京都を中心とした研究機関や産業界との情報交換やマッチングの機会を創出しました。

多様な専門家ネットワークによるアドバイザー支援

インフォバーンは、自社の「サービスデザイン」の専門性に加え、アドバイザーである京都工芸繊維大学の水野大二郎教授とともに各分野の第一人者をメンター、講師として招聘。サーキュラーデザイン、デジタル、ビジネス、ファッションといった多様な専門領域から採択クリエイターを支援する体制を構築。これにより、各クリエイターが抱える個別の課題に対し、最適な知見を提供しました。

対話と共創を生むプログラム運営

本プログラムの運用にあたっては、知識を一方的に提供するだけでなく、対話と共創を重視したプログラム運営を徹底しました。

毎月の個別メンタリングでは各プロジェクトの進捗をきめ細かくサポートする一方、共通レクチャーでは講師と参加者、さらにはアドバイザーを交えたクロストークの時間を設け、多角的な視点からの学びを深めました。

あえて対面でのレクチャーや発表会を企画し、採択者同士が頻繁に顔を合わせ、意見交換できる場を意識的に創出。これにより、クリエイター同士の協業が生まれるなど、プログラムが生み出す価値を最大化しました。

次の機会へと繋げる成果発表

プログラムの集大成である成果発表会には、将来的なビジネスパートナーや顧客となりうる産業界や研究機関の関係者を多数招待し、クリエイターとのマッチング機会を創出する場として設計。各クリエイターのブースでは、プロトタイプに触れながら直接対話できる時間を設け、次のビジネスチャンスへと繋がる工夫をしました。

また、本プログラムでは、得られた成果や知見を広く社会へ共有・還元するため、オープンな情報発信に努めました。

具体的には、採択された各クリエイターが自身のnoteアカウントで日々の進捗やメンタリング内容を発信したほか、事務局のnoteアカウントからも詳細なレクチャー内容や全体の活動軌跡を公開しています。

さらに、プログラムの総括として、活動内容、得られた考察、5組の採択事業者による具体的な実践成果を網羅した事業報告書とダイジェストムービーを制作・公開。これにより、プログラムの成果普及と啓蒙を図るとともに、これから同様の課題解決に取り組む事業者が有益な情報として活用できるよう、実施プロセスや知見、課題、今後の展望などを共有することを目指しました。

成果と展望

本プログラムを通し、5組の採択事業者は、それぞれの領域で具体的な製品開発や新たなビジネスモデルを創出し、持続可能なファッション産業の未来を体現する革新的な取り組みを示しました。

インフォバーンは、2025年度には「グローバルファッションIP創出プログラム」の運営事務局としても採択されており、この分野での継続的な取り組みと知見の深化・共有が期待されます。

多様な専門性を持つ人々の共創をさらに促すようなプログラム設計や、採択事業者間での継続的な連携が活性化するような仕組みづくりも、今後の運営における重要な課題と捉えられています。インフォバーンは、多様な産業における持続可能性やDX/GX推進に、継続的に貢献していくことを目指しています。

制作体制

プロジェクト監修|辻村和正
プロジェクトリーダー|赤嶺侑里香
広報ディレクション|山下佳澄
デザインリサーチャー|林佑樹
デザインリサーチャー/エディター|伊原萌櫻
事業報告書制作ディレクション|白樫伸弥

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