プロジェクト概要
カンロ株式会社は、2025年から始まる新中期経営計画および長期ビジョンの実現に向け、組織として大切にしたい価値観や考え方を言語化した「カルチャーブック」を制作しました。本取り組みは、組織文化と未来像の共有を通じて、社員一人ひとりの自律的・自発的な行動や創発的な組織の醸成に繋げるインナーブランディング施策として進められました。
インフォバーンは本プロジェクトに構想段階から伴走し、プロセス設計・編集・デザインを一貫して担当。社員アンケートをはじめとする参加型の取り組みを通じて、行動変容の土台づくりを支援しました。また、本プロジェクトと並行して確立したトーン&マナーをブランドガイドラインとして整理。全社的なブランド基盤の構築にも寄与しました。
- 課題
- ・部署ごとにアウトプットのトーン&マナーにばらつきが生じており、誰もが共通して活用できる指針を設けることでコーポレートブランドイメージを統合したい
・掲げられたビジョンやブランドの世界観を元に、現場の社員が日々の業務の中でどう判断し、行動すべきかの「よりどころ」となる共通認識を形成する必要があった
- 成果
- ・本プロジェクトを通じて、組織の価値観や未来像を可視化し、日頃の判断のよりどころとなる「カルチャーブック」が完成
・部署横断での対話や社員アンケートの実施など、共創を重視したプロセスにより、カルチャーへの理解と組織づくりへの主体的な参画を促進
・制作と並行して確立したトーン&マナーを、統合報告書やコーポレートサイトなどあらゆる媒体における表現の基準となる「コーポレートブランドガイドライン」として体系化
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クライアント
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カンロ株式会社
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担当領域
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プロジェクトマネジメント
要件定義/プロセス設計
コンテンツプランニング(編集方針、掲載コンテンツの決定)
コンテンツ制作およびディレクション(取材・ライティング・編集)
アートディレクション
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期間
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2025年2月〜2025年12月
プロジェクト詳細
本プロジェクトは、新中期経営計画および長期ビジョン実現に向け、組織として大切にしてきた価値観や考え方をあらためて言語化し、全社で共有することを目的に立ち上がりました。

顧客起点でステークホルダーへ価値提供を行うためには、掲げたビジョンを社員一人ひとりが自分ごととして捉え、失敗を恐れずに挑戦できる環境をつくることが不可欠です。そのためには、まず組織として大切にしたい価値観や目指す姿を明確にし、共通言語として可視化する必要がありました。そこで計画されたのが、「カルチャーブック」の制作です。
当初は、ブランドの考え方や表現を整理することに主眼を置いていましたが、対話を重ねる中でプロジェクトの目的そのものを再定義。単なるルールの整備に留まらず、社員一人ひとりの自律的な判断と挑戦を後押しする「よりどころ」となることを主な目的として掲げました。こうして本プロジェクトは、単なる冊子制作にとどまらず、組織文化の浸透と行動変容を後押しする取り組みへと発展しました。
課題
2025年から始まる新中期経営計画・長期ビジョンの実現に向け、社員一人ひとりが自律的に判断し、行動できる組織へと進化することを目指していました。その過程で、解決すべき二つのテーマが明確になりました。
一つは、ブランド表現の一貫性と安定化です。さまざまな製品ブランドが、各媒体で発信を行う中で、部署や担当者ごとに「カンロらしさ」の解釈に微妙な違いが生まれ、トーン&マナーにばらつきが見られるようになっていました。創業以来大切にしてきた価値観とこれからのビジョンを結びつけ、どの媒体でも一貫した世界観で伝えていくため、新たに「どんなブランドでありたいのか」を定義する「ブランドパーソナリティ」を策定したうえで、視覚面・言語面の両方で共通の基盤を整備することが求められていました。

もう一つは、新たに定義した「ブランドパーソナリティ」を、いかに社員の具体的な行動へと反映させるかという点です。社内にはすでに「パーパス」「ビジョン」「クレド(行動指針)」が存在しており、そこに新たな概念を加えることで、現場での解釈が複雑になる懸念がありました。そのため、それぞれの言葉がどのような関係性にあり、組織の中でどう機能するのかを明確に言語化・体系化することが重要となりました。
編集方針
感情を動かす「ストーリーテリング」と「ビジュアル」
編集方針として、価値観を一方的に伝えるのではなく、社員一人ひとりの感情を動かすことを重視しました。
「誰が読んでもわかること」に重きを置き、トップダウンのメッセージをそのまま提示するのではなく、経営層の想いに加え、対話やアンケートを通じて現場の声を丁寧に反映しています。本社や各拠点、工場など、カンロで働く一人ひとりに光を当て、誰しも実感がわく具体的なエピソードや表現を織り交ぜながら、価値観の背景にあるストーリーを「カンロらしい」言葉遣いで立体的に描いています。抽象的なビッグワードや教科書的な表現に頼らず、新入社員からベテランまでが自身の行動と結びつけながら読める構成を目指しました。

手法と施策
インフォバーンは、完成物だけでなく制作の過程そのものを文化醸成の機会と捉え、カンロとの対話を重ねながらプロジェクトを推進しました。
1.目的の再定義:自律を支える「よりどころ」への転換
当初の制作目的は、ブランドの考え方やありたい姿を整理することでした。しかし、議論を重ねる中で、単にルールを整備するだけでなく、カンロとしてありたい姿を明確にし、社員一人ひとりの自律的な判断・行動を支えることこそが重要であるとの認識に至ります。
そこで本プロジェクトは「文化の浸透と行動を支える第一歩」として位置付けを再定義。パーパスと日々の行動との繋がりを整理し、社員が自分なりに解釈しながら実践へと結びつけられる構成へと落とし込みました。
2.参加型プロセスの設計:多様な声を反映するボトムアップ型の進め方
トップダウンに偏らず、できるだけ多くの社員の声を反映したいというカンロの考えを尊重し、社員アンケートを行いました。「カンロらしさ」や「未来への想い」といった生の声を元に、外部パートナーとしての視点も踏まえながら創業200年を迎えた会社の姿を描く「未来予想図」などのコンテンツに反映。制作の過程そのものが、社員一人ひとりがブランドやパーパスについて考える機会となるよう設計しました。
3.ビジュアルや“言葉の整理”を起点とした目線合わせ
抽象度の高い概念については、言語化に先立ってイラストやデザイン案といったビジュアルを提示し、視覚的なイメージを媒介に対話を重ねました。

また、パーパス、ビジョン、ブランドパーソナリティ、クレドなどカンロのカルチャーを構成する要素を再定義。全員が各要素のつながりとその意義を直感的に理解できるように「カルチャーモデル」として体系化しています。さらに、ブランドパーソナリティとクレドをどう紐づけるかというヒントを提示することで、社員の皆様が「会社のカルチャー」と「自分の行動」を結びつけやすくなるように設計しました。
ビジュアルや言葉をブラッシュアップしながら議論を重ね、認識をすり合わせることで、価値観や目指す姿についての解釈のずれを解消。社員同士が共通の土台で語り合える状態を目指しました。
4.トーン&マナーのガイドライン展開
制作過程で確立したトーン&マナーは、全社的な発信の共通基盤となる「コーポレートブランドガイドライン」として体系化しました。

成果と展望
本プロジェクトでは、社員アンケートや部署の垣根を超え、意見を出し合うプロセスを取り入れることで、カルチャーを「遠い理念」ではなく「手に取りやすいテーマ」として届けることができました。これが社員一人ひとりの判断のよりどころとなり、個人と会社を接続しながら、今後の対話型施策を展開するための土台にもなっています。
また、制作過程で確立したトーン&マナーを、新たに「コーポレートブランドガイドライン」として集約。これにより、部署を横断する共通言語が確立され、統合報告書やコーポレートサイトなど、コーポレートブランドにまつわる媒体における、表現検討の明確な基準が整いました。
完成したカルチャーブックは、全社員への配布を通じて「カンロらしさ」を共有・更新し続けるための「共通の地図」として活用されます。今後は、社内での自発的な対話を促すだけでなく、ステークホルダーがブランドへの理解を深めるためのコミュニケーションツールとしての役割も期待されています。
制作体制
デザインストラテジスト|西原雄一
コンテンツディレクター|藤本真帆
アートディレクター|上野菜美子
パートナー
編集・コピーライティング|me and you
イラスト|市村譲
写真|安彦幸枝、西谷玖美
デザイン|栗原あずさ
印刷|藤原印刷
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